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奥泉光「ビビビ・ビ・バップ」

2021年11月06日 | あ行の作家


講談社文庫
2019年6月 第1刷発行
解説・大森望
822頁

時は21世紀の終わり
2029年に出所不明のコンピュータウィルスが蔓延しパンデミックにより全世界で多くの人命と膨大な量のデータが失われます
この未曽有災厄から数十年がかりでどうにか立ち直った人類はあまねく浸透した高度な人工知能の管理のもと、台頭した多国籍超巨大企業群に支配され、それなり繁栄を享受しています
主人公は女性ジャズピアニスト・フォギーこと木藤桐、34歳
ピアノだけでは食べていけないので音響設計士で生計をたてており、今の上得意は世界有数のロボット工学者にして、ロボット制作販売の巨大企業モリキテックの大立者である山萩貴矢
各種のアンチエイジング処置で老化を食い止めてきた山萩博士ですが年齢は130歳を超え、いよいよこの世に別れを告げるべく電脳空間に架空の墓を建設中で10年ほど前に浅草のジャズレストランで知り合ったフォギーが直々に仕事を請けているというわけ
なぜフォギーがそれほど贔屓されているのかというと…遠い昔、彼女の曾祖母にあたる初代フォギーこと池永希梨子とのあいだに浅からぬ因縁があったからなのです
初代フォギーは本書の姉妹編にあたる「鳥類学者のファンタジア」のヒロインです
どんな因縁なのでしょう
それが今のフォギーにどう関わっているのでしょう

山萩博士の作り出す大量のロボットは落語家、映画監督からジャズミュージシャン、さらにムーミントロールやゴジラまで多種多様でハチャメチャです
大森さんの解説冒頭
本書はさしずめ、おもちゃ工場を1ダースばかりまとめて爆破して、その中身を東京ドームにぶちまけたような小説である。AI、仮想現実、アンドロイド、テレロボティクス、人格のデジタル化(全脳送信)、コンピュータウィルスなど、今どきのSFネタを全部盛にしたうえ、古今東西の実在有名人をよりどりみどりにトッピングする。
作者がこれほど楽しそうに、やりたい放題やって、なおかつ読んでおもしろい小説も珍しい。


生体ウィルスも出てきます
ペストをはじめ過去のウィルス禍の経緯を眺めれば…云々の件はまさに今のコロナ禍を予見しています

「鳥類学者のファンタジア」をさらに成長させた物語とは聞いていましたが、ここまでとは!
恐れ入りました<m(__)m>




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