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フェルドウスィー「王書」

2013年12月09日 | 海外の作家

 

古代ペルシャの神話・伝説

訳・岡田恵美子
岩波文庫
1999年4月 第1刷発行
2012年7月 第3刷発行
359頁

 

 

ササーン朝ペルシャがアラブの侵攻で倒れて三百数十年
11世紀初めにアラブ中央政権に対抗して書かれたペルシャ民族高揚の叙事詩
神話・伝説・歴史時代の三部構成からなるペルシャ建国の物語
今も、誰でもその一節を暗誦することができる、と言われるほどイランの人々に愛されている『王書』からその名場面を抄訳

 

ある意味ではわたしたちの『古事記』にもあたる諸王列伝

第一部「神話の王たちの時代」では、どのように文化が発達し、偉大な統治者があらわれ、彼に傲慢心がきざして人の世に悪が広まっていったが述べられます
悪王の治世が始まりますが「世直し」の革命がおきて世は正常に戻ります
しかし、この世の常態とは善と悪があい争うことに他なりません

第二部「英雄伝説の時代」に登場するのは神話の王より遥かに人間的なヒーローたち
恋、邪恋、父と子の愛、敵の術策、冒険や宿命的な争いを描き出します

 

詩人は主要人物が死ぬたびに、人の世の儚さ、与えては奪う運命の惨さを嘆いています
ひとは不当な仕打ちを受けた時、最もよく嘆くといいます
我が子を手にかけた父のわが身を呪う嘆きに対し、死に行く子は「なるべきように、ことが行われた」と天を恨むよりは天輪のからくりを静かな心で認めるのです

 

 

壮大な物語に圧倒されました
神話や歴史を扱った映画を何本も何本も観た後のようです
これでも全体の1/4を訳出したに過ぎないのだそうですが
満腹です

(^_^;)

 

 

 


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