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アンソロジー「恋愛仮免中」

2018年03月05日 | アンソロジー

 

 

文春文庫
2017年5月 第1刷
226頁

 

恋愛小説アンソロジーです
タイトルの『仮免中』が秀逸

 

奥田英朗「あなたが大好き」
地方都市に暮らす28歳独身女性
付き合って3年になる恋人との行く末に不安を感じるこの頃
いっそ他の男に乗り換えようかと色々やってはみるものの…
奥田さんの描く地方都市
いつも思い浮かぶのは奥田さんの出身地である岐阜県美濃地方の小都市
知らない場所ではないので、ついつい物語にのめり込んでしまいます
結局、あなたが大好き、なのね♪
良かった良かった♪♪

 

 

窪美澄「銀紙色のアンタレス」
窪さん初読
夏休みに祖母の家に来ていた男子高校生が年上の女性に抱くほのかな恋心
真夏から夏の終りにかけての情景描写も素晴らしいです
胸がキュンとなりました
振られてしまった幼馴染の女の子
彼女にもいつかぴったりの相手が見つかりますように

 

 

荻原浩「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか」
60歳を前に余命僅かの妻と彼女を見守る夫
二人は中学一年の一学期の終業式の日、学校で一緒にアポロ11号月着陸の映像を見たことから距離が縮まります
しかし、二人の関係は、一緒に天体望遠鏡を覗いたり、プラネタリウムを観に行く程度のものでした
ほのかな恋心といったところですね
引越により一度は音信不通になりますが学生時代に偶然再会し後に結婚
中学時代の約束の実現まであと4年
それまで二人して幸せな生活を続けていくはずだったのに病魔が妻を襲います
妻の命が持たないことがわかっていても『もっと一緒にいよう』と願う夫
この作品が“恋愛仮免中”って…
すごく切なかったです
収録されている5編の中で一番好きです

 

 

原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」
原田さんはまだ3作しか読んでいませんが、また新たな原田さんに出会えたようで嬉しい♪
妻に先立たれ一流企業の役員を退職後タクシーの運転手になった男性
英語が話せるのを生かし、主に外国人観光客を乗せて観光地を回る業務についています
ある日、偶然乗せたのが、アメリカから京都観光にやってきた老女
ワケアリな老女との3日間を描きます
この老女、ミス・ディジーほど頑なではなかった(笑)
ホッと気持ちが温かくなるようなラストは原田さんらしかったです
本作で扱われる絵画は伊藤若冲“雪中雄鶏図”、美術館は細見美術館
若冲は大好きですし細見美術館へも行ったことがあるので文字を追いながら容易に情景が目に浮かんだのが嬉しかったです
他作品も早く読みたい!

 

 

中江有里「シャンプー」
中学二年の少女の初恋と失恋、離婚した両親との関係、学校でのイジメ、そして成長
5人の中で一番若い中江さんらしい作品だと思いました
主人公はまだまだ仮免にも行きつかない女の子だけれど、いつかきっと素敵な恋愛ができるよ、って応援したくなりました

 


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