白水社 Ex Libris
訳・岩本正恵
2011年4月 発行
268頁
オラフソンはアイスランド生まれ、ニューヨーク在住
一年の十二の月をそれぞれにタイトルに掲げ、男女の綻びの瞬間を描き出しています
誰もが胸のなかに抱えている秘密や不満、哀しみ
ある時、些細なことをきっかけに突然噴出し、気づけば平穏だった生活は遠く手の届かないものになる
12編全て「破綻」で終っており、再生や希望というものは見えませんが、シンプルで抑制のきいた文章のおかげか不思議と暗くドロドロしたものにはなっていません
風景、空気の動き、日の光の描写にも静かで美しいものがあります
登場人物の多くはオラフソン同様、祖国アイスランドを離れて暮らす人々で、彼らは異国に暮らしながらも心はなお祖国にあります
あまり馴染みのないアイスランドという国の風習や民族性を知るうえでも面白いと思います
それと、12編のなかには自分と似た人物が一人は見つかるかもしれません
中には、ちょっと身につまされるような物語もありました
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