新潮文庫
2011年 7月 発行
2017年12月 14刷
解説・鵜飼哲夫
299頁
人生の喜怒哀楽を描いた味わいの違う短篇が6篇
「夕映え天使」
さびれた商店街の小さな中華料理店に突然やってきて、儚い思い出だけを残した立ち去った女・純子
警察から彼女の死体が発見されたという連絡があり、急ぎ向かう店主の息子ですが、そこには自分と同じようにその女と関わりのあった男がいました
「切符」
父母が離婚し、祖父に引き取られた少年
祖父の家の2階に間借りしていた若い女性との別れ、そして母にもらった再婚した母の家まで行ける電車の切符を川へ投げ捨ててつぶやく「さよなら」
命を絞るほど辛い体験を通して少年は成長していきます
「特別な一日」
一人のサラリーマン男性の定年退職の日
いつもと変わらない一日を過ごすよう心しています
と思いきや、終盤に一気にSF小説の世界へ…
驚きました
「琥珀」
妻と子に去られ、4日後に定年を迎える老警官が三陸の旅の途中でふと立ち寄った喫茶店で指名手配中の犯人と遭遇します
「丘の上の白い家」
貧しかった子供の頃、丘の上に住むお金持ちの少女と出会った少年
青年期の彼女にまつわる出来事も胸の奥底に少し残るだけになり老齢に近づいた彼は、再び丘の上の家を訪ねます
「樹海の人」
自衛隊員が演習中に富士樹海で体験した不思議な出来事
浅田さんの実体験に基づいているそうです
短篇とはいえ読み応え十分でした
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