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浅田次郎「母の待つ里」

2024年01月09日 | あ行の作家


新潮社
2022年1月 発行
297頁

東京で暮らす、家庭も故郷もない還暦世代の3人の男女の元にカード会社から舞い込んだ『理想のふるさと』への招待
奇妙だけれど魅力的な誘いに半信半疑で向かった先には、かけがえのない『母・ちよ』との出会いが待っていました

いつもと同じように帰郷する子を待つ母親の元で癒される孤独な大人たち
ファンタジー系かと思いましたが、違いました
一泊二日50万円でカード会社が提供するサービスで、母親も近所の人々も全員が仮想故郷で演じているのです

最後に少しだけ登場する大阪の男性
彼は、親の愛情を知らず育ち、10代後半で結婚、親というものが分らないなりに必死に子供たちを育ててきました
そんな彼が妻とともに親の温かさ、有難さを体験できたのがちよさんの暮らす村だったのです
始めのうちは空しいのではないか、と思ったのですが、ちよが本当の母親みたく親身になって彼らを世話する様子からは、こういうのもアリかも、と思えてきました

都会と地方の格差を織り交ぜて、自分にとっての故郷とは、を問いかけてくる作品
単純に心温まるとは言えない複雑な思いが残りました

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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浅田さんらしい (todo23)
2024-01-09 15:37:44
良い話でしたが、私的には心に刺さるとまでは行かず、やや厳しめの評価です。

http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/30081576.html

本年もよろしくお願いします
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todo23さん (こに)
2024-01-11 16:30:01
故郷を持たない都会暮らしの人には理解しやすい内容かもしれませんね。
浅田次郎さんは時代小説のほうが面白いと思います。
返信する

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