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映画「羊と鋼の森」

2018年07月14日 | 映画・DVD・テレビ
雨の音、森をわたる風のにおい、しんしんと降る雪、吸い込まれそうな緑の山。 囁くように、ゆれるように時には怒るようにピアノが響き、映像と音楽の融合がとても美しい。

北海道の自然の中で育った高校生がピアノの音に出会って調律師となり、自分の音や依頼人の求めている音をみつけていく成長を描いている。

真面目でおとなしく悩みながらも、周りの優しい大人、先輩に助けられながらコンサートの調律師を目指すまでになる男性を山崎賢人が、憧れの調律師を三浦友和、先輩調律師に鈴木亮平、光石研、クライアントの姉妹に上白石萌音、萌香が演じている。

そして、家族を失って生きる気力のない青年が調律したピアノを弾いて再生するエピソードは染谷将太の演技に泣かされる。

少し冗長ではあるが成長の過程を丁寧に描いているしキャストも人柄が伝わってきて、最後はとても暖かい気持ちにさせられる。賛否両論あるけれど、
ピアノに思い入れのある人で、原作が好きならば見る価値のある映画だと思う。

「嘘の木」  フランシス・ハーディング

2018年06月26日 | 読書
 
 児童文学であるものの、推理小説のような謎にみちていて一人の少女の成長記でもあり、読後には人間の欲望の業の深さを重く感じられた作品。

 「種の起源」が発表された19世紀後半のイギリスが舞台となっている。

 高名な博物学者サンダリー師による世紀の発見の化石が、ねつ造であるというスキャンダルに追われ、サンダリー一家はヴェイン島に移住する。
 しかしまもなくサンダリー師は謎の死を遂げる。娘のフェイスがその死に疑問を持ち調べるうちに、人の嘘を養分に成長し、その実を食べた者に真実の夢を見せるという
 「嘘の木」の存在を知る。
 フェイスはひそかに嘘の木を育てることで父の死の真相を探る。

 19世紀の英国の階級社会・文化の中で、限られた社会生活しかできなかった女性の哀しみ、強さもフェイスの周りの女性から感じられ、
 それから抜け出そうと好奇心や向上心でいっぱいのフェイスの行動力が胸を打つ。
  
 最後は児童文学にしては重く哀しいけれど、少しの希望を胸に荒波を渡ろうと決心するフェイスを応援したくなる。

 宮部みゆきさんも絶賛のこの作品は、今の国内のベストセラーと言われている作品の仲間入りが十分できるほど、圧巻のエンターテインメント作品であると思う。

昔の喫茶店

2018年06月16日 | 日記
今どきのチェーンカフェにないところがいいのか、テレビで取り上げられたかで、行列できるほどになっていた。

それにしてもfb始めてから会話がまともにできない❗腹が立つ❗そこまでして広げたいのか?私には理解不能。

お茶しに来てもスマホばかり見てる人ってどうなの?

映画「犬ヶ島」

2018年06月05日 | 映画・DVD・テレビ
ストップモーションピクチャーの中でも時間やお金がいっぱいかかったであろう作品。

近未来の日本の一都市で、犬インフルエンザにかかった犬やすべての犬を、ごみ捨て場となった無人島に遺棄する条例が犬嫌いの市長によって発令される。市長の甥で12才の少年アタリが、自分の犬を探しに無人島に小型機で不時着するところからはじまる。捨てられた犬の助けを借りて自分の犬を探しだし、閉じ込められていた犬たちと自由を求めて戦う。一方市内では市長の陰謀を疑った高校生達が立ち上がるという話。

日本や犬へのリスペクトや子供の純粋な情熱を表現するのには、この手法だったのだろうし、あえて感情的にならないような会話(吹替え)で 未来感、不思議な国感をだしていた。黒澤映画の音楽を使っていたのも日本映画へのオマージュかな?
人は少し不気味だったけど犬達が可愛いくて昨年亡くした犬を思い出してしまった(ToT)

色々な人の手や愛情がいっぱい詰まった暖かい作品でした。

袋田の滝

2018年05月05日 | 日記
比較的近くにいたのですが、訪れるのは初めてでした。新緑の滝は下から見る方が迫力があり、白い水の流れが美しかったです。真冬の凍った景色も見たいですね❗

今年も梅が…

2018年03月13日 | 日記
帰って見ると春がおとずれていました。
今年も花粉症に悩まされそうですが、暫し梅の美しさで忘れたいものです。

梅花祭

2018年02月25日 | 日記

大変な人混みでしたが無事お参りできました。美味しいほうじ茶と豆腐ソフトで一息です😄

映画「オリエント急行殺人事件」

2018年01月13日 | 映画・DVD・テレビ
監督主演のケネス・ブラナーの力業ですすんだが、共演が又豪華で、密室トリックの有名なポワロものだから、演劇をみているようで、よけいにワクワク期待してみた。
オリエント急行の豪華さと雪山の美しい映像美、外国なまりも完璧なベテラン俳優に若手の有望女優、どれも素晴らしい❗のだが、、
ポアロがヘラクレス並に元気なのと悪役ジョニー・デップの凄みある悪があまり生かされてなくて、少し残念。
どうしてもセリフで進まざるを得ない謎解きは、途中で説明が多く、寝ている観客もチラホラいるくらい。アクションなくてももう少しメリハリつけられればよかったな🎵
テレビシリーズでなれているので、ポアロの変人ぶりとウィット溢れるジョークが懐かしいです!

「オーランドー」  KAAT神奈川芸術劇場

2017年10月03日 | 演劇
 なんということでしょう。すっかり10月になってしまいました。

 書くことも読むことも少し停滞していて、今回の観劇も友人に付き合って取ったようなものでした。
 それだけ 体が不調と同時に気持ちも不調でした。
 それでも近くの映画館に行くことはあったのですが、それを綴ることがまた億劫で……

 このお芝居に行って本当に良かった
 あまり予備知識を入れずにみたので、それもよかったのかもしれない。
 
 1928年に刊行されたヴァージニア・ウルフの小説を、1988年にサラ・ルールが脚本にし上演されたものを
白井晃が演出した翻訳劇なのですが、300数十年を生きる一人の人物の中に時代を反映させつつ個人の心理を
丁寧に追っていく、という少し説明しにくい芝居です。
 
 主演のオーランドーを多部未華子、エリザベス女王を小日向文世、その他の人物を小芝風花、池田鉄洋、野間口徹、
戸次重幸が入れ代わり立ち代わり演じます。途中で多部未華子や小日向文世もコーラスに加わったり、役者が
小道具大道具を移動させたり、と役者にとっても難しく大変な舞台です。

 途中で男から女へ性別も代わるオーランドーは本当に大変な役ですが、これを見事に力強く演じている多部未華子の
すばらしさは、言うまでもありません。彼女の芝居は以前も「キレイ」でみているのですが、声や立ち姿の美しさだけでなく、
動きのきれ、感情をコントロールする細やかな表情、完璧なセリフどれをとっても素晴らしい!

 小日向文世のうまさはもちろんですが、、6人すべてが素晴らしい
この役者がそろったからこそできる芝居の完成度に感動し、この空間に居られたことを感謝したくなる。

 また、音楽も生演奏で臨場感あり、その時代時代の音楽を奏で、見ている観客をその時代に引き寄せる。
 第一部でゆっくりと進んだ時間は、第二部になり、ぐっと速度を増し、オーランドーの成長に輝きを与える。

 そしてようやく詩を書けるようになったオーランドーはこれからどこに行くのだろう。時空も性別も超えて、今も生きているのか。

 この舞台を見て、憑き物が落ちたみたいにすっきりとした気分になったのは、どの時代でも苦しみながらも力強く生きていく
一人の人間を、最後は見届けた達成感からなのか、役者のパワーを分けてもらったからなのか、兎に角とても素敵な時間だった。




 

等々力渓谷

2017年05月11日 | 日記

ここは世田谷、等々力渓谷です。 東京は少し歩くと以外に小さな自然がいっぱいあるんです。以前住んでた新宿区には乙女山公園があったり、目黒の自然教育園なんてもろに山道ありますものね❗やっぱり都区内に住みたいなぁ…
懐かしいシャガの花、見つけました。大好きな花です🌿

なかなかよみすすめられない。

2017年03月08日 | 読書
やはり3月が来ると、思い出すことは決まっている。

先日の本は頑張ってみたが、少し読んでは本を閉じることになってしまい、全然進まない。よほど後ろから読もうと思ってもみたが、それも変なので又積ん読の 山のてっぺんにある。

ニュースでも映像や証言が辛いと感じることが多く、子供には逆に嫌がられる始末。あぁそういうことに敏感になりすぎないように努力してみよう。

映画「彼らが本気で編むときは」

2017年03月02日 | 映画・DVD・テレビ
荻上直子監督の「かもめ食堂」と「めがね」は、小林聡美やもたいまさこ等の俳優あってこその脚本で
俳優のリアリティーとロケ地の融合というか、ストーリーよりも個々の感覚を感じることができる映画だったように思う。
 
 小学生のトモは母親と二人で暮らしていたが、母親の育児放棄のため叔父マキオの家に一時的に住むことになる。
 そこで叔父の同居人であるトランスジェンダーのリンコさんと出会い、リンコさんの優しさで、今までいえなかった自分の気持ちを少しづつ出すことができるようになる。

 トモの学校でのいじめや、同級生の男子の母親の心無い言葉、その男子の自殺未遂などを乗り越え、三人の暮らしが穏やかに過ぎていくかに見えた時、トモの母親が突然帰ってくる。
 トモを引き取り育てたいというリンコとマキオの気持ちは、本当に家族の愛情に満ちたものからだったが、トモにとって母親はやはり一人。どんなにつらくあたっても、かけがえのないものなのは母親にとっても同じだった。最後はそれぞれの暮らしに戻っていく。

 リンコ役の生田斗真はやはり女性には見えないけれど、それもリアリティーがあるし、最初にトモがリンコに抱く違和感も、同級生の母親の感情も、あってはならないけれどよくある反応である。
 マキオ役の桐谷健太はいつも熱い役や怖い役をするけれど、今回は穏やかでおおらかにみんなを包み込む優しい役をしていて、とてもよかった。

 この映画には芯からの悪い人間は出てこない。みんな少しづつ違っているけれど、それを受け入れようと努力している人たち。
 トモの母親さえ自分の気持ちをどうしていいかわからずに悩んでいただけなのだから・・・

 その真ん中にリンコさんという存在がある。女性というよりも人間として包容力があるのは、自分が苦しんだ時間がたくさんある分人にやさしくなろうとしているからだとわかる。


 この映画の中で、トモが母親を見つけて後を追って、結局見つからずにアパートで一人泣くシーンが、一番つらかった。哀しい時、人はひとりであんな風に泣くのを知っている。



 取り留めなく書いてしまったが、この作品は絶対見る価値がある。
 それは脚本も、キャストもすべてが素晴らしいということ。そして子役の柿原りんか、込江海翔の二人の目がまっすぐできれいだったということ。
 

 
 
 
 
 

「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」

2017年02月25日 | 読書
佐々涼子氏著のノンフィクションなのだが、なかなか読み進められない。

東日本大震災から、6年になろうとしている。
副題に「再生・日本製紙石巻工場」とあるように、日本の出版を支えている製紙工場が震災で壊滅的被害を受けた。
そこから、工場のため地元のために立ち上がる人々の闘いを描いたノンフィクションなのだが、津波の被害の描写で、どうしようもなく苦しくなり、先を読むことができない。

あの時の恐怖と不安、その後の混乱、同時に自分の立場への嫌悪感が混じりあって、未だにニュース映像も見たくないし、人に対する恐怖が甦る。

あれから身近な人がどれ程亡くなったことか。

色々克服しなければならないと思い、この本を読むことが、変わるきっかけになれば、読まなきゃいけないような気がして手に取ったのだ。それなのに未だ54ページでつまづいている。

もう少し時間がかかるのだろうか…

 映画 「ドクター・ストレンジ」

2017年02月13日 | 映画・DVD・テレビ
 久しぶりに映画館で、ヒーローもののアクション大作です

 マーベルの作品は「アベンジャーズ」も見ていないし、以前テレビで「アイアンマン」
 を見たような記憶もあいまいなくらい予備知識無しなので、理解できるか不安だったが、
 とてもワクワクさせられたし、楽しめた。
 (主役がベネディクト・カンバーバッチだから決めたのだが、正解でした。)
 
 最近のVFXというかCGは、すごすぎる。
 ニューヨークの高層ビルがたたまれるように倒れるところや、
 鏡の中に入って異次元の世界に移動するところ(どこでもドアーかな?)なんて
 その映像に引き込まれるリアル感。

 主役の、天才的外科医であるドクター・ストレンジは尊大傲慢だったが、自動車事故で手が
 使えなくなり、治療法を探してネパールまで行き、そこで出会った魔術師の修行で
 強い力を持つようになる。それを見込まれ、地球のために心ならずもヒーローとなって悪と
 戦うのだが、人の命を助ける医師となったのに人の命を奪うことになることに葛藤する。

 脚本にはいろいろ甘いところもあるとの指摘も多いけれど、
 ベネディクト・カンバーバッチの演技力でそんなものは吹き飛ぶほどに面白いヒーロー像が作られている。
 
 次回作もすでに決まっているみたいなので、また楽しみが増えたし、カンバーバッチの
 ほかの作品も見てみたい。 

宮部みゆき 「桜ほうさら」

2017年02月12日 | 読書

 タイトルのやさしさに魅かれて手に取った。しかし、そこは宮部みゆき作。

 地方の小さな藩の武士の次男坊、古橋笙之介が、江戸に出てきて人々に助けられながら、
 自分の父の無実を証明しようと奔走するのだが、
 優しい性格の笙之介や父とは違いきつい性格の母や兄との葛藤や、藩の陰謀を絡ませ、
 人情溢れる長屋の人々と、次々と起こる事件を解決しながら笙之介が成長するさまを描いている。

 宮部みゆきを読むとおもうのは、作者の描く家族の形はいつもどこか歪んでいて、
 決してハッピーエンドには終わらない。
  
 4つのエピソードの中でも、大店の一人娘がかどわかされた真相は家族の一端を表し、
 悲しい結末を迎えるし、笙之介自身の家族もしかりで、幸せな家族という理想をことごとく
 破壊していく。家族に理想を求めないという本質はいつも底辺にあるのではないだろうか。

 だからこそ、どの小説を読んでも、出会った人々の少しのやさしさやいたわりにほっとするし、
 それがあるから乗り越えられると思わせてくれる。

 人の帰るべき場所は、家族という理想ではなく人のやさしさにありということかなぁ・・

 NHKでドラマ化されていたらしいので、それも見てみたい。