「あかいくらやみ 」 シアターコクーン

2013年05月27日 | 演劇
長塚圭史作演出で、小栗旬主演だから、どうなるかと思ったが、主演は彼でなくとも(彼だからあの存在感で演じられたのだろうが)関係ない程の、素晴らしい群像劇だった。

あまり知られていない歴史をモチーフにしながら、人間の業をおどろおどろしくも、おかしみをこめて描いている。
時空間が錯綜する脚本に最初は戸惑ったが、回り舞台の設定と休憩無しで暗転だけの場面転換がうまく機能し、妙な緊張感で、集中した。

小日向文世、白石加代子、大鷹明良、小野武彦、等々演技巧者が揃えば、若手の俳優陣もエネルギッシュに渡り合う。一人一人の芝居をゆっくり堪能したひとときだった。

やはり舞台の臨場感はたまらない!もっともっとみたいなぁ!

「カバ」  堂本剛

2013年05月09日 | 音楽
堂本剛の初のカバーアルバム。

ミュジックステーションで尾崎豊の「I LOVE YOU」を歌うのを聴いて、どんな曲を歌っても、彼は堂本剛として歌うのだ、いろいろな曲も彼の声を通すとみんな心からやわらかくなるんだと感じた。

尾崎豊の繊細すぎて無理している感じを、吉田美和の力強すぎるボーカルを、ASUKAの唸りを、どんな曲でも、剛くん(30代の人に失礼)の声がすべて内包しているような彼の声が、今まで好きでなかった曲さえも聴けるようにさせる。

今まで個人のアルバムいくつかあるけど、今回CMまで流してPRしているのはきっと、カバーしているミュージシャンに敬意を表している剛くんの気持ちと、彼をもっと自慢したいスタッフの思い入れの表れかなぁ。

このアルバムをきっかけに堂本剛は、もっともっとメジャーになるかもしれない。
でもそんなことはファンにとってはどうでもいいことで、今までのように剛君の音楽を聴きたいだけ。

やさしい雨のように、嫌なこともつらいこともすべて洗い流してくれる。

堂本剛というアーティストと、今回の「カバ」はそんなアルバムです。


アントニオ・ロペス展   Bunkamura ザ・ミュージアム

2013年05月05日 | 美術
渋谷に用があって、時間が余ったので立ち寄ってみた。

アントニオ・ロペスは現代スペイン美術を代表するアーティストであり、リアリズム芸術家で世界的名声を得ている・・・らしい。日本ではこれが最初の個人としての展覧会だそうだ。

写実=リアリズムではなく、彼の作品は長い時間をかけて移り行く時間を、描いているようだ。
一番よかったのは代表作《マルメロの木》と、そのデッサンや、静物の素描。彼の芸術の高さや技術の正確さを知ることができる。

家族や友人を描いた物も多く、温かく明るい。内戦や第二次大戦を経て近代化していくスペインの街を描いた《トーレス・ブランからのマドリード》は長い時間をかけてその時の流れを切り取っている。これも又柔らかな光の中である。

それはスペインという光溢れる地形のせいか、ロペスが画家の伯父に導かれ芸術の世界に進み若くして恵まれた道を歩んできたからか、・・・あまり曇りが無く妙にあっけらかんと温かい光。
どの絵も、あまりに幸せすぎて、かえって哀しくなる。なぜか怒りすら覚えるのは自分に無いものを描いている妬みからくるのだろうか?

多くの苦しみを経てきたスペインの人たちは、ロペスの絵をどう評価しているのか聞いてみたい。


「名探偵コナン 絶海の探偵」

2013年05月04日 | 映画・DVD・テレビ
脚本が面白いと大抵外れは無い。アニメだって同じこと。
櫻井武晴脚本ならなおのこと、「相棒」シリーズでそれは証明済み。

不審人物をあらかじめわかりやすくすることで真犯人を隠し、最後にコナンに真犯人をあばかせるプロセスは少し安易過ぎるけれど、次々と起こる謎がイージス艦という密室で行われることや、海保、府警、自衛隊のそれぞれの立場が対立した後で協力してスパイの足取りを追うところなど、「相棒」を見ているようで面白い。

子供だけじゃなく大人も楽しめるミステリーになっていると思う。

ただ、うがちすぎだろうが自衛隊の全面協力で、最後の場面は自衛隊の実写映像。
ストーリーも現実離れしていなくて、心底楽しめないのは、これがあながちフィクションだけじゃない要素がてんこ盛りなのを知りすぎている大人だからだろうか?

子供は純粋に「平次くん、蘭ちゃん」と楽しんでいたけど、あの映像を今このタイミングで見せることに少なからず抵抗を感じるのは、右傾化していることに敏感になりすぎているのだろうか?

なにか悶々として帰途についた。