「嘘の木」  フランシス・ハーディング

2018年06月26日 | 読書
 
 児童文学であるものの、推理小説のような謎にみちていて一人の少女の成長記でもあり、読後には人間の欲望の業の深さを重く感じられた作品。

 「種の起源」が発表された19世紀後半のイギリスが舞台となっている。

 高名な博物学者サンダリー師による世紀の発見の化石が、ねつ造であるというスキャンダルに追われ、サンダリー一家はヴェイン島に移住する。
 しかしまもなくサンダリー師は謎の死を遂げる。娘のフェイスがその死に疑問を持ち調べるうちに、人の嘘を養分に成長し、その実を食べた者に真実の夢を見せるという
 「嘘の木」の存在を知る。
 フェイスはひそかに嘘の木を育てることで父の死の真相を探る。

 19世紀の英国の階級社会・文化の中で、限られた社会生活しかできなかった女性の哀しみ、強さもフェイスの周りの女性から感じられ、
 それから抜け出そうと好奇心や向上心でいっぱいのフェイスの行動力が胸を打つ。
  
 最後は児童文学にしては重く哀しいけれど、少しの希望を胸に荒波を渡ろうと決心するフェイスを応援したくなる。

 宮部みゆきさんも絶賛のこの作品は、今の国内のベストセラーと言われている作品の仲間入りが十分できるほど、圧巻のエンターテインメント作品であると思う。

昔の喫茶店

2018年06月16日 | 日記
今どきのチェーンカフェにないところがいいのか、テレビで取り上げられたかで、行列できるほどになっていた。

それにしてもfb始めてから会話がまともにできない❗腹が立つ❗そこまでして広げたいのか?私には理解不能。

お茶しに来てもスマホばかり見てる人ってどうなの?

映画「犬ヶ島」

2018年06月05日 | 映画・DVD・テレビ
ストップモーションピクチャーの中でも時間やお金がいっぱいかかったであろう作品。

近未来の日本の一都市で、犬インフルエンザにかかった犬やすべての犬を、ごみ捨て場となった無人島に遺棄する条例が犬嫌いの市長によって発令される。市長の甥で12才の少年アタリが、自分の犬を探しに無人島に小型機で不時着するところからはじまる。捨てられた犬の助けを借りて自分の犬を探しだし、閉じ込められていた犬たちと自由を求めて戦う。一方市内では市長の陰謀を疑った高校生達が立ち上がるという話。

日本や犬へのリスペクトや子供の純粋な情熱を表現するのには、この手法だったのだろうし、あえて感情的にならないような会話(吹替え)で 未来感、不思議な国感をだしていた。黒澤映画の音楽を使っていたのも日本映画へのオマージュかな?
人は少し不気味だったけど犬達が可愛いくて昨年亡くした犬を思い出してしまった(ToT)

色々な人の手や愛情がいっぱい詰まった暖かい作品でした。