パチリズム!

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ひねくれたファン心理

2011-09-20 22:03:31 | 将棋
 今年の王座戦五番勝負は羽生王座の20連覇という、空前にしておそらく絶後の大記録がかかっています。滅多にない機会なので是非羽生王座に記録を作っていただきたいと思っている方は多いものと思います。もともと羽生王座のファンであればなお、そうでしょう。

 ここでもし渡辺竜王が連覇を止めようものなら「空気読めよ……」とか「羽生さんよりも年上に見える」などの罵詈雑言を電脳空間で浴びせられてしまうことは想像に難くありません。なぜなら、昨年の竜王戦でも永世七冠を阻止していますし、羽生王座より年上に見えなくもないのです(ちょっと無理すれば、ですよ)。

 それでも、空気の読めない将棋ファンである私は、渡辺竜王の勝利を期待してしまうのです。単純に普段から渡辺竜王を応援しているからという理由もありますが、それだけではありません。私の個人的な見解を述べさせていただくならば、渡辺竜王が一番輝くのは大勢の将棋ファンの期待を裏切ったときなのです。


 「こんなふてぶてしい奴は懲らしめてしまえ」という大方の将棋ファンの願望をあざ笑うかのように森内三冠(当時)をフルセットの末打ち負かし、

 タイトル挑戦→敗退の流れを繰り返す佐藤康光棋聖(当時)と「いいかげん佐藤先生タイトル獲って!」というファンの想いに冷や水を浴びせ、

 今年こそはと二年連続で挑戦してきた佐藤二冠(当時)を蹴散らしてみせた渡辺竜王。


 思い出してみてください。渡辺竜王は悪役的な立ち位置に立ってこそ一番格好いいのです。至って品行方正であるにもかかわらず、将棋世界の『悪漢列伝』という特集でとりあげられてしまったほど、彼には悪役が似合うのです。

 しかしそうして逆境をはね返し続けていくうちに、いつのまにか渡辺竜王は将棋界のメインストリームに躍り出てしまいました。実績からすれば当然とも言えますが、これではもう、悪役になりようがありません。そう、相手に今回のような大きな記録がかかっていなければ。

 ひねくれた渡辺竜王ファンの私からすれば、今回の王座戦は再び渡辺竜王が悪役になれるチャンスに他なりません。こうして書いている今まさに、渡辺竜王が羽生王座の猛攻をしのぎ切り、二連勝を決めました。この調子で次の対局も取り、将棋ファンに地団駄踏ませて欲しいものですね。