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移住と開発に関するグローバルフォーラム(GFMD)

2008年09月16日 | 移民・移住と開発
今年10月の終わりにフィリピンでGlobal Forum on Migration and Development (移住と開発に関するグローバルフォーラム)が開かれます。昨年7月に第一回フォーラムがベルギーのブリュッセルで開かれたのに続くもので、来年はギリシャで開催されることも既に決まっています。

グローバルフォーラム(GFMD)とは一体何か、簡単に言えば「会議」なのですが、世界からやってくる移民政策の関係者が一同に会します。入国管理担当者から、労働省の外国人雇用の担当官、自国民保護をする領事担当者や政府間開発援助の専門家ままで、多岐にわたる政府関係者が参加を予定しています。GFMDは政府フォーラムと市民社会フォーラムに分かれており、まず10月27-28日が市民社会フォーラム、そして29-30日が政府フォーラムとなっています。

フィリピンで開催される第二回政府フォーラムは、ベルギーで昨年開催された第一回GFMDで採択された様々な移民問題に対応する推奨する活動の実施状況を関係国が発表することが主な目的。移民問題は様々な視点から討議されますが、このフォーラムでも、12の円卓会議が開かれ、移民政策と開発問題、短期移民プログラムと還流型移民、不法滞在、高度人材移民などさまざまな議論がなされる予定です。政府フォーラムはその名のとおり、政府と政府の招く専門家の参加のみが許可されるもので、NGOなどの関係者は招聘されない限り参加することができません。

移民政策という分野は国家主権が特に強く主張される分野で、国際社会でこの手の会議をしても、なかなか行動計画など実効性のある決議案や合意を形成することは難しいのが現実です。そういう意味で、このフォーラムは、政府関係者が、自国に有益と思われる分野の円卓会議に参加し、報告したい内容を報告し、コミットしたい部分だけコミットするという非常に自由度の高い形を保つことで、主権と国際協調のバランスを保っています。しかしながら移民政策は国際的な場所で話し合われる問題ではないとして参加を拒む国も存在します(THE移民国家のあの国です)。

一方市民社会フォーラムは、政府フォーラムに対して貴重な情報提供と提言をするという目的の下に開催されるもので、よって政府円卓会議と同内容の討議を行う予定です。実際に今回フィリピンの市民社会フォーラムを取りまとめているNGOに「どうやって具体的に政府提言するのか、政府フォーラムのメンバーと具体的に話し会う機会はあるのか」と聞いてみたのですが、はっきりした答えが返ってきませんでした。国によってはNGOと政府が移民政策形成プロセスにおいてうまく協力しているところもありますが、そうでない国のほうが多いような気がします。移民問題は、強制退去、難民認定、人種差別などの諸問題に対するNGOと政府の見解の一致がなされにくいことなどから、まだまだ両者の溝は世界どこをを見渡しても深いようです。

国際移住機関(IOM)をはじめ、国際労働機関(ILO),国連開発計画(UNDP)、国連児童基金(UNICEF)など、移住、開発、労働に関る国際機関もこぞって参加します。しかし主役はあくまで政府関係者。国際機関は政府の助っ人として専門知識や技術の供与という役割を果たします。

詳しくはリンクを張ったGFMDのウエブサイトをご覧ください。また移住と開発については、以前の投稿のここここを参照してください。


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1 コメント

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Unknown (タマラオ)
2008-09-18 11:30:05
こんにちは。コメントを頂きまして有難うございました、私の場合はこちらの分野は専門外ではありますが大変興味があります。
また訪問させて頂き勉強もしたいと思いますので今後ともよろしくです。
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