アジア低中所得諸国政府に対し、「国民の海外出稼ぎについてどのような対策を採っていますか?」と聞いたとしよう。ほとんどの国が、「推進している」と答えるだろう。中国、ベトナム、カンボジア、ラオス、フィリピン、インドネシア、バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン、ネパール、アフガニスタンまで、失業率が高く、若年労働層を多く抱えた途上国は、貧困削減策の一環として海外雇用に多くの期待を寄せている。
ただ、現在のところ、「促進する姿勢」といってもそれは単に「海外渡航を禁止しません」という構図でしかない。すなわち、実際に積極的に行動するというよりは、雇用主からのオーダー待っている非常に受身的な場合が多い。以前スリランカやバングラデシュで女性労働者の海外就労が禁止されることもあったが、そういう行動にはもう出ないというだけでの話である。
しかし、近年において、各国間の競争も激化してきたところで、より見える形での促進活動(プロモーション)を行う国も増えてきたように思える。海外雇用を推進するとは具体的にどのような活動をさすのか。この分野では数十年来のノウハウを持つフィリピンの例を挙げながら具体的にみていきたい。
フィリピンにおける海外就労促進はマーケティングの原理に基づき、様々なメディアを混合して多角的なプロモーションを行っている。フィリピンの海外雇用庁(POEA)のマーケティング部が中心となってその活動が展開されている。
POEAは、世界の労働需要に関する情報収集(労働市場統計、各国の移民政策の傾向、優良雇用主や斡旋業者との情報交換)を送り出し国にある大使館とも連携しながら行っており、外国人労働者需要を生み出す世界各地の大規模プロジェクトとその入札日、落札者まで把握してる。
これらの情報収集活動からえられたデータを国別のプロファイルシートにまとめ、それを元に促進策をひねり出す。どの国のどの労働市場にどのくらいの数の労働者を送り込めるか。マーケティングの専門家を抱えて日々戦略を練っている。
大口の需要が見込めるときにはマニラから担当者を送り込むことはもちろん、大使館職員にもより多くの雇用口を見つけるインセンティブ(早期昇進など)を与え、雇用機会のの確保には余念がない。外交を機軸とした売込み作戦も目立っている。日本ーフィリピンのEPA協においてフィリピンは海外雇用も経済連携の重要な項目であるという立場を貫き、結果として介護士・看護師の日本派遣を約束させたことは記憶に新しい。
海外からの求人の多い人材が不足しないよう、また習得する技術が世界スタンダードに保たれるよう、技術研修や教育機関の強化もフィリピンでは他の国とくらべ突出して進んでいるといえよう。フィリピンでは80年代からこのような積極的な海外雇用の促進策を推し進めた結果、看護師、船員、ホテルサービス業などの分野でその地位を確立し、いってみれば「フィリピンブランド」を作り上げたといってもよい。
日本からみたフィリピンはエンターテイナーの出身地としか見えないかもしれない。しかし世界マーケットから見たとき、それは非常に偏った視点であることがわかる。世界の船員の6割がフィリピンから輩出されており、またイギリスとアメリカで働く外国人看護師の多くがフィリピン人である。ドバイのホテルにいけばフロントからキッチンまでフィリピン人が従事している。
海外雇用促進策についてより興味のある方はIOM/ILO/OSCE共著のHandbook on Establishing Effective Labour Migration Policies in Countries of Origin and Destination を参照されたい。
ただ、現在のところ、「促進する姿勢」といってもそれは単に「海外渡航を禁止しません」という構図でしかない。すなわち、実際に積極的に行動するというよりは、雇用主からのオーダー待っている非常に受身的な場合が多い。以前スリランカやバングラデシュで女性労働者の海外就労が禁止されることもあったが、そういう行動にはもう出ないというだけでの話である。
しかし、近年において、各国間の競争も激化してきたところで、より見える形での促進活動(プロモーション)を行う国も増えてきたように思える。海外雇用を推進するとは具体的にどのような活動をさすのか。この分野では数十年来のノウハウを持つフィリピンの例を挙げながら具体的にみていきたい。
フィリピンにおける海外就労促進はマーケティングの原理に基づき、様々なメディアを混合して多角的なプロモーションを行っている。フィリピンの海外雇用庁(POEA)のマーケティング部が中心となってその活動が展開されている。
POEAは、世界の労働需要に関する情報収集(労働市場統計、各国の移民政策の傾向、優良雇用主や斡旋業者との情報交換)を送り出し国にある大使館とも連携しながら行っており、外国人労働者需要を生み出す世界各地の大規模プロジェクトとその入札日、落札者まで把握してる。
これらの情報収集活動からえられたデータを国別のプロファイルシートにまとめ、それを元に促進策をひねり出す。どの国のどの労働市場にどのくらいの数の労働者を送り込めるか。マーケティングの専門家を抱えて日々戦略を練っている。
大口の需要が見込めるときにはマニラから担当者を送り込むことはもちろん、大使館職員にもより多くの雇用口を見つけるインセンティブ(早期昇進など)を与え、雇用機会のの確保には余念がない。外交を機軸とした売込み作戦も目立っている。日本ーフィリピンのEPA協においてフィリピンは海外雇用も経済連携の重要な項目であるという立場を貫き、結果として介護士・看護師の日本派遣を約束させたことは記憶に新しい。
海外からの求人の多い人材が不足しないよう、また習得する技術が世界スタンダードに保たれるよう、技術研修や教育機関の強化もフィリピンでは他の国とくらべ突出して進んでいるといえよう。フィリピンでは80年代からこのような積極的な海外雇用の促進策を推し進めた結果、看護師、船員、ホテルサービス業などの分野でその地位を確立し、いってみれば「フィリピンブランド」を作り上げたといってもよい。
日本からみたフィリピンはエンターテイナーの出身地としか見えないかもしれない。しかし世界マーケットから見たとき、それは非常に偏った視点であることがわかる。世界の船員の6割がフィリピンから輩出されており、またイギリスとアメリカで働く外国人看護師の多くがフィリピン人である。ドバイのホテルにいけばフロントからキッチンまでフィリピン人が従事している。
海外雇用促進策についてより興味のある方はIOM/ILO/OSCE共著のHandbook on Establishing Effective Labour Migration Policies in Countries of Origin and Destination を参照されたい。
おはようございます(いま9月10日9:50頃です)
フィリッピンの海外雇用政策、ほんとに進んでますね。
そんななか、今回の介護士看護士の受け入れの条件は
どのように受け入れられてるのでしょか?
日本人でもむずかしい試験を突破しなければならない
など、無理難題を押し付けているようで、ちょっとはずかしいものがある。
そんな感想を僕は持っていますが、どうなんでしょう。
migrant_atさんはどのように思われますか?
移民や外国人政策について最近興味を持ち、
数日前からこのサイト様で勉強させて頂いてます。
とても分かりやすい親切な文章で、
印刷して線を引き引き拝読しております。
私は未熟な一大学生ですが、今後とも更新楽しみにさせて頂きます。
日本の看護師国家試験の基準がどれくらい高いのか、個人的にわかりかねますが、アメリカも外国人看護師にはかなりの難関試験を実施しています。フィリピンからの合格者も国内の看護学校の成績優良学生のごく一部です。塾のようなところに通い、猛勉強します。使用言語が英語なので言葉の問題が少ないのは確かです。漢字を使う日本語は懸念材料ですね。しかし私のスリランカ人の同僚は中国に留学し、中国語で中国の医師免許を取りました。こういう例をみるとフィリピン看護師が日本の看護師免許を取得することは不可能ではないとは思いますが、相当の勉強量(とくに日本語)が必要でしょう。これはつまり、フィリピン人看護師がどれくらい日本で働きたいのか=日本がどれくらい彼らにとって魅力的な国かというところにもかかってきます。