中央リニア新幹線の大阪延伸を前倒し 新成長戦略に明記へ
2025年に東京~名古屋間で開業が予定されている中央リニア新幹線ですが、2045年の大阪延伸が前倒しされる可能性が高くなってきました。現在の政権与党が、国費の投入も視野に含めた「国家介入」路線を打ち出したためです。報道発表では大阪延伸の「前倒し」ですが、名古屋~大阪間の2025年の同時開業もあり得えます。東京~名古屋間はJR東海の自己負担によって建設し、名古屋~大阪間は国費で建設することになるかもしれません。
中央リニア新幹線がなぜJR東海の全額自己負担になっていたかというと、政治介入による路線ルートの変更を防止するためでした。東京~名古屋間のルート設定で、様々な政治的思惑があったのはご存じの通りです。
…このリニアのルートを北側に捻じ曲げてまでも誘致しようとした長野県諏訪市の上諏訪や下諏訪を、以前に私「緑」は訪れたことがあります。市内唯一の百貨店は閉店し、駅前商店街はシャッター通りと化して壊滅状態、市内には産業もほとんど無い状態でした。中央政府から受け取る補助金で生き伸びている状態の、まさに日本が衰退した元凶である「国と地方の無責任なもたれ合い体質」そのものの構図でした。苦し紛れにリニアを誘致しようと頑張っていたのですが、仮にリニアを誘致したとしても何も解決しません。
リニアは地方経済活性化のためにあるのではなく、東京~名古屋~大阪間を最短で結ぶ大都市間輸送のためです。リニアに頼ろうとした上諏訪のようにではなく、地方は中央に頼ることなく自立することが求められています。このリニア問題は、今まで日本が抱えてきた「地方への過剰なまでの甘やかしと、大都市軽視」の風潮を見直すいい機会になってほしいと思います。
<新成長戦略>リニア中央新幹線 大阪延伸前倒しを明記へ
5月31日(土)15時1分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140531-00000056-mai-bus_all
政府は6月にまとめる新たな成長戦略に、リニア中央新幹線の大阪延伸前倒しを明記する方向で最終調整に入った。現行計画のままでは、大阪など関西経済圏の地盤沈下が進みかねないと判断。2045年に予定してきた名古屋-大阪間開業を、可能な限り東京-名古屋間の27年に近づけるため、国が支援する姿勢を打ち出す。JR東海の単独事業から、政府支援の「国家プロジェクト」に格上げすることで、3大都市圏の均衡発展につなげたい考えだ。【永井大介、宮島寛】
リニア延伸の前倒しについては、政府側がすでにJR東海幹部に接触し、支援の意向を伝えた。安倍晋三首相も「国家プロジェクトと言っていい」などとリニア新幹線への支援に前向きな考えを示している。
具体的な支援内容は、成長戦略を決めた後、本格的に検討する。前倒しに必要なお金を無利子で貸し付けたり、名古屋-大阪間を国が建設した上で同社に引き渡し、元本分だけ負担してもらったりする案が有力だ。東京-名古屋間は計画通り、同社負担で建設する。
JR東海は、ルートや駅の選定に対する政治介入を避けたいとの思惑から、国からの支援受け入れに慎重な姿勢を見せてきた。ただ、早期開業を求める声が、政府・与党内で高まっていることを踏まえ、支援策が提示された段階で「健全経営と安定配当を前提に」(柘植(つげ)康英社長)検討する方向だ。
課題は財源をどうひねり出すか。名古屋-大阪間の事業費は約3兆6000億円にのぼる。政府内には、無利子融資の場合、国費支援は総額1000億円規模になるとの試算がある上、今後、金利が上昇すれば支援額が膨れ上がる可能性がある。さらに、政府・与党は北海道、北陸の両整備新幹線の開業前倒しを検討中。公共事業費の膨張を警戒する財務省の抵抗や、「リニアに使うお金があれば整備新幹線に回せ」との与党議員からの反発も予想される。
前倒しを推進する政府・与党関係者は、東京-大阪間の開業で、17兆円もの経済効果が生まれるとの民間試算も示しながら「経済効果がコストを上回れば、将来の税収増などで国費負担は回収可能」と理解を求めていくことにしている。
政府は元々、リニア中央新幹線を、全国新幹線鉄道整備法に基づき国費を投入して建設する予定だった。しかし財政難で実現のメドが立たなかったため、JR東海が07年、総事業費9兆円のリニアの全額自己資金での建設を表明。健全経営を維持するため、東京-名古屋間の先行開業を決めている。
◇リニア中央新幹線
最高時速500キロで、東京(品川)-名古屋間を最短40分で走る新幹線。車両に搭載した超電導磁石と軌道に並べた磁気コイルの間の磁力で車体を約10センチ浮かせることで高速走行を実現した。東海道新幹線開業前の1962年に次世代高速鉄道として開発が始まり、97年から山梨県の実験線で走行試験を続けている。
記事を読んでみると、大阪延伸の前倒しは、現在の政権与党による強い意向であることが伺えますね。東京~名古屋間はJR東海の全額負担で、名古屋~大阪間は政府支援で国費投入もあり得ます。国費投入となると、納税者である国民への配慮の観点から、ルート選定にも何かしらの影響があるとも考えられます。…理想論としては、名古屋から西進して三重県の鈴鹿山脈直下を長大トンネルで進み、奈良盆地北端部に新駅を設置し、生駒山地を貫いて新大阪駅へ足るルートが最短距離となります。
奈良盆地を通るのか、京都盆地へ迂回するのかの利害調整が一番の「政治的判断」になりそうですね。
東京スカイツリーのフロア450から撮影した東京です。東京側の起点駅は品川に設置されます。
あべのハルカスのハルカス300から撮影した大阪です。関西経済を上向かせるためにも、大阪延伸の可能な限りの前倒しは必須です。今回の新成長戦略盛り込みの方針も、現政府による「政治的判断」もしくは「政治的方針」なのでしょう。
リニア詳細、全ルート・6駅の位置が明らかに ケンプラッツ
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20130918/632629/?P=1