緑には、東京しかない

千葉県の東京寄りに住んでいる私「緑」が大好きな東京の散策写真のブログを作ります!!!

整備が進む首都圏の道路:全線開通に向けて整備が続けられている外環道

2014年07月07日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


外環道、正式名称「東京外かく環状道路」は、東京都大田区から埼玉県を経て千葉県市川市に至る延長約85キロの高速道路です。首都圏の3環状(中央環状線・外環道・圏央道)の中で中間に位置しているもので、都心から半径15キロ圏の縁を描くルートとなっています。

東京の周囲のベッドタウンを通過するルートであり、湾岸線、第三京浜、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、京葉道路、東関東道を相互に接続する計画で、首都圏全体における自動車交通の中で最重要路線のはずなのですが、2014年現在でも自動車専用部(高速道路)の大泉JCTから三郷南ICまでの区間と、一般部(一般道路)の和光市から松戸市までと市川市内の区間しか開通していません。

1992年11月:和光IC-三郷JCT開通、川口JCTで東北自動車道・首都高速川口線、三郷JCTで常磐自動車道・首都高速6号三郷線と接続。
1993年10月:美女木JCTで首都高速5号池袋線と接続。
1994年3月:大泉IC-和光IC開通、大泉JCTで関越自動車道と接続。
1998年5月:美女木JCTで首都高速埼玉大宮線と接続。
2005年2月:大泉JCTの外環道内回り→関越道ランプ2車線化。
2005年11:三郷JCT-三郷南IC開通。
2017年度:三郷南IC-高谷JCT(首都高速道路湾岸線交点)が開通予定。
2020年:東名JCT(東名高速交点)-大泉JCT(関越道交点)が開通予定。

…関東地方にお住まいでない日本全国の皆さんにはピンとこない話かもしれませんが、3400万人もの人間が生活していて、日本最大の物流拠点である世界一の経済圏の関東平野に、21世紀の現在であってもこのような環状高速道路が満足に整備されていない状況そのものがおかしいのです。これでは日本は、世界との「都市間競争」に勝てない。

過疎地に設備過剰ともいえる高速道路を整備するお金があるなら、地方ではなく経済成長を担っている東京と名古屋、大阪に投資すべきだと誰だって感覚的に解っているはずなのですが、これに関しては政治的思惑が存在するので難しい課題です。東京の場合は首都なので幾分は投資がなされてきたのでマシな方かもしれませんが、名古屋と大阪の道路整備は目も当てられない状態となっています。

今後の整備状況はどうなっているのか
全長85キロの長さを持つ外環道の内、現在供用されているのは三郷南から大泉までの約34キロです。東側の「千葉区間」と、西側の「東京区間」が開通すれば、全線開通となります。

次の完成区間として2017年度を目標に整備が進められているのは、三郷南ICから高谷JCTまでの約16キロの区間です。東京区間に関してはまだ計画段階で、開通の目途は立っていませんが、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定したことから、何かしらの動きがある可能性が高くなってきました。

2017年度に開通予定の千葉区間
松戸市小山から市川市高谷に至る延長約12.1kmの区間が千葉区間であり、「千葉外環」の愛称で呼ばれています。道路の構造は基本的に、高速道路部が下段、一般道路部が上段の掘割スリット構造となります。各工区での用地取得率は99パーセント以上に達していて、現在も2017年度の開通に向けて工事が続けられています。

千葉県北西部の東京のベッドタウンに住んでいる私にとっても、この高速道路の開通は今から楽しみです。今まで千葉から東名高速や中央道、関越道方面へ向かって車で行くには、首都高速を通って東京都内を通過する必要がありました。都内の首都高速はトラックが多くて合流やら分岐があって複雑で、あまり通りたくない場所だったのですが、この外環道が市川まで開通すると、外環道経由で東北道や関越道、中央道方面へ迂回して快適に走ることが出来るようになるのです。



東京区間については、2020年のオリンピックが起爆剤となるのか
関越自動車道(練馬区・大泉JCT)から中央自動車道(三鷹市・仮称中央JCT)を経て、東名高速道路(世田谷区・仮称東名JCT)に至る区間が「東京区間」です。この区間の都市計画決定がなされたのは1966年(昭和41年)ですが、実に50年が経過しているにもかかわらずまだ完成していないことになります。当初は高架構造になる予定だったのですが、沿線環境への配慮の観点から2003年(平成15年)に大深度地下(40メートル)を通る計画に変更されました。

2007年4月に都市計画(変更)決定、事業化が始まります。2013年9月8日に東京での開催が決定した2020年夏季オリンピック大会までの完成を目指しています。関越-東名を6車線(片側3車線)、設計速度80km/hで整備する計画であり、これにより現在約60分要している関越-東名は約12分へと大幅に短縮されるものと予測されています。1日あたりの交通量は8万8900-10万800台で、概算事業費は1兆2820億円を見込んでいます。

この東京区間が完成すれば、東名高速道路から中央、関越、東北道方面へ一気に迂回しながら短時間で走ることが出来ます(その逆も然り)。東名高速道路と一体化されている首都高速3号渋谷線の慢性的な渋滞も緩和されるのではないでしょうか。



国土交通省関東地方整備局 外環道(東京外かく環状道路)
http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/3kanjo/gaikan/index.htm

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整備が進む首都圏の道路:中央環状品川線は2014年度末に開通へ

2014年07月06日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


首都高速都心環状線の外側に位置する環状線であり、副都心のアクセス、および各放射線の中央付近を接続する役割を担っている「中央環状線」の中で唯一未開通の区間が「中央環状品川線」と呼ばれている大橋JCT~大井JCT間ですが、2014年度の末に開通します。1987年の東側区間の全線開通、2002年の北側区間の全線開通以来、実に約30年かけて全区間が開通することになります。

2004年11月:都市計画決定
2006年11月:着工
2012年3月:首都高速道路株式会社施工のシールドマシンが中央環状新宿線との接続用竪穴坑に到達、全シールド掘削が完了。
2014年度末:開通予定

大井JCT~大橋JCT間の距離は約9.4キロで、大井側で湾岸線と接続し、大橋側では中央環状線と首都高速3号渋谷線と接続することになります。この区間の開通によって、都心環状線を介せずに都心部を通過することが可能になるほか、各地から羽田空港や東京港などの物流拠点へのアクセスも向上されることになります。

上の、首都高速道路のHPから拝借した地図を見てみると、中央環状品川線のトンネルは目黒川の河道や山の手通りの真下をたどるルートを通っていて、東急目黒線の不動前駅周辺に「五反田入口」と「五反田出口」が設置されることになります。また、トンネル部分の設計で工夫されているのは、車線が左右逆転の右側通行になっていることです。これによって、本路線の左側車線が一般道との分岐・合流地点になり、合流時の思わぬ事故を回避できるようになります。



大井JCTから大橋JCTまでの区間が開通すると、例えば羽田空港や東京港周辺の物流拠点から、東名高速道路や中央道、関越道方面へ向かおうとする場合は、都心環状線区間まで向かわなければならなかったのですが、開通によって、都心部を経由せずに向かうことが出来るようになります。慢性的な渋滞に悩まされている都心環状線の混雑緩和に大きく貢献でき、将来的には都心環状線を「撤去」できるかもしれません。




東京を中心とする首都圏の道路混雑の最大の問題点は、東名や中央、関越、東北、常磐、東関東道の各放射高速道路同士のスムーズな接続を実現させることです。これらの車の全てが都心環状線に集中してしまい、慢性的な道路混雑を生み出してきたのです。中央環状線や外環道、圏央道などの整備によって、「東京の中央部にいかに車を通さないで、迂回させるか」にかかってきています。

次回は、中央環状線のさらに外側区間である「外環道」の整備状況に関してレポートします。

中央環状品川線 首都高速道路株式会社
http://www.shutoko.jp/ss/tokyo-smooth/shinagawa/
首都高中央環状品川線、最先端のトンネル技術が競演(土木のチカラ2012)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/column/20130726/625694/

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2014年度の路線価、東京、大阪、愛知の大都市部で上昇する

2014年07月04日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


2014年7月1日(火)の毎日新聞の夕刊の一面に、「路線価 下げ幅縮小」の見出しと共に2014年度の路線価のニュースが大きく掲載されていました。太平洋ベルト地帯の要衝である東京、大阪、愛知の大都市部で上昇し、それ以外の地方部ではおおむね減少という結果でした。投資資金やオフィス需要増、訪日外国人などの増加がその理由とされています。

路線価:下げ幅縮小 6年ぶり、東京、大阪、愛知など上昇
2014年07月01日 11時05分(最終更新 07月01日 15時17分) 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20140701k0000e040198000c.html

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2014年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国約34万地点の標準宅地の変動率は平均で前年比0.7%減。6年連続で下落したものの、下落率は前年より1.1ポイント縮小した。宮城、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の8都府県で上昇し、沖縄県は横ばい。残る38道府県も下げ幅が縮小し、底打ちが鮮明になった。3大都市圏の中心部となる東京、愛知、大阪がそろって上昇したのは6年ぶりで、景気回復を裏付ける形になった。

東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県では、宮城は前年に続き上昇し、福島も上昇に転じた。岩手は前年より1.7%下落したものの、下落率が2.3ポイント縮小した。岩手や宮城の沿岸部では、高台を中心に上昇し、福島でも東京電力福島第1原発事故による避難先となった地域で、上昇や横ばいの地点が目立った。原発事故に伴う旧警戒区域と旧計画的避難区域は、引き続き評価額を「ゼロ」とした。

下落率が3%を超えたのは11県。このうち、和歌山、徳島、高知の3県は東南海・南海地震の発生時に津波被害が予想される地域。青森、秋田、鳥取、群馬、山梨、山口、香川、佐賀の8県も下落率が大きい。

都道府県庁所在地の最高路線価は、札幌、仙台、静岡、京都、神戸、奈良、福岡など18都市で前年より上昇。さいたま、東京、横浜、金沢、名古屋、大阪、広島、那覇の8都市は上昇率が5%を超えた。

路線価日本一は29年連続で東京・銀座の文具店「鳩居堂」前の銀座中央通りで、前年比9.7%増の1平方メートル当たり2360万円。

みずほ証券の石沢卓志・チーフ不動産アナリスト(55)は「アベノミクスにより、大都市の地価が上昇したが、全国平均では下落しており、過疎化が進んでいる地域は相当に厳しい。都市と地方との格差が依然として大きいと言える」と話した。【太田誠一】

【ことば】路線価
主要道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額。毎年1月1日時点の価格を国税庁が算出し、相続税や贈与税を計算する際の指標となる。年末までに下落するケースを想定し、毎年3月に国土交通省から公表される公示地価の8割程度を目安に、売買実例などを考慮して決める。


路線価(ろせんか)とは、市街地的形態を形成する地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する標準的な宅地1平方メートル当たりの土地評価額のことを言います。課税価格を計算する基準となるものであり、相続税や贈与税の基となる相続税路線価と、固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる固定資産税路線価があります。単に「路線価」と言った場合、相続税路線価を指すことが多いそうです。

ちなみに、国税庁が発表する「路線価」と、国土交通省が発表している「地価」は全く別物です。

東京と名古屋では、昨年との比較で10%もの上昇も
2014年度の路線価の1位~4位までの順位の都市です。左側の数字が2013年度の路線価(単位は千円)、右側の数字が2014年度の路線価となっています。%の数字は、対前年変動率となっています。

1位 東京都中央区 中央区銀座5丁目/銀座中央通り 21520→23600 9.7%
2位 大阪府大阪市 北区角田町/御堂筋 7120→7560 6.2%
3位 神奈川県横浜市 西区南幸1丁目/横浜駅西口バスターミナル前通り 6180→6660 7.8%
4位 愛知県名古屋市 中村区名駅1丁目/名駅通り 6000→6600 10%

銀座中央通りでは9.7%、名駅通りでは何と10%もの上昇率となっています。銀座周辺では外国人観光客が増加し、高級ブランド品の売り上げが伸びてきていること、御堂筋北側の阪急梅田周辺は、商業施設や高層オフィスビルの建設ラッシュが続いていること、そして名古屋駅周辺では再開発による高層化が進んできていることが大きな理由です。

日本経済新聞のこの記事が、路線価の上昇を詳しく分析しています。この記事を参考にして、自分なりにまとめてみました。
路線価、大都市圏で上昇鮮明 投資資金やオフィス需要増
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0100Y_R00C14A7EE8000/

不動産投資信託(REIT)の投資マネー流入も大きな要因?
この日経新聞の記者さんの記事によると、大都市を中心とした日本経済の活性化だけではなく、「不動産投資信託(REIT)」のマネーの流入が増えてきたことが大きな要因の一つであると書いてあります。

では、不動産投資信託(REIT)とは何か? 公衆から調達した資金を不動産に投資する金融商品の一種のことで、特に日本の国内法に則った日本版REIT(J-REIT)のことを単にREITという場合があります。2013年のREITの物件取得額は約2兆2千億円と過去最高を記録しています。そのことによって日銀の金融緩和で資金調達がしやすくなり、物流施設や商業施設の取得を活発化している、という分析になっています。

日本の不動産投資信託の歴史は浅く、2001年(平成13年)に始まったばかりなのです。時価総額の規模で米国、豪州、フランスに次ぐ規模になっていますが、対GDP比ではシンガポールや香港等よりも低い水準にあります。日本が、サッチャー改革後の英国のような金融大国を目指していく以上は、これらの金融工学を駆使した新しい市場をもっと増やしていかなければいけません。

企業のオフィス需要も、地価の押し上げを後押しした
これについては、非常に明快な理由の一つだと思います。実際に東京駅周辺を歩いてみれば、2000年代前半から始まった街全体の再開発工事によって風景そのものが一変してきています。至る場所で高度成長期時代に建設された古いオフィスビルが取り壊され、最新鋭の高層オフィスビルへの建て替え工事が続けられています。この15年間で、東京駅周辺の路線価は急上昇して来ているのです。

記事では、東京都心5区の2014年5月末のオフィス空室率は6.52パーセントで11カ月続けて前月を下回っています。一昔前は、大都市のオフィスの過剰供給が問題になるとの報道が多かったですが、2012年12月から安倍政権による経済政策「アベノミクス」によって、経済が活発になってきています。



28年連続で路線価日本一となった東京・銀座「鳩居堂」前の銀座中央通りです。

「日本一は鳩居堂ではなく、山野楽器ではないのか?」と疑問に思われるかもしれませんが、今回のように毎年7月1日に発表される(その年の1月1日時点の)相続税路線価(国税庁)の日本一が鳩居堂です。山野楽器の場合は、毎年3月下旬に発表される(その年の1月1日時点の)地価公示(国土交通省)の日本一です。

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政府は、産業競争力会議で新しい成長戦略の素案を取りまとめ公表へ

2014年06月21日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


停滞著しい日本経済を再成長させるべく、政府は産業競争力会議で新しい成長戦略の素案をまとめて公表しました。この新しい成長戦略素案は、現在の安倍政権の経済戦略「アベノミクス」の「第3の矢」と呼ばれているものです。1990年代の冷戦終結や経済のグローバル化によって、日本始め世界の産業構造は大きく変化してきています。その産業構造の転換に乗り遅れたことが、日本が衰退した理由の一つに挙げられていて、様々な制度改革や構造改革の必要性が叫ばれています。

21世紀の日本経済の成長に必要なもの、キーワードは「都市間競争」です。東京と名古屋、大阪を筆頭とする大都市が国家の成長を担う時代であり、田中角栄時代のような「国土の均衡ある発展」政策は意味をなさなくなってきています。その意味では、今後の東京の役割は現在以上に重要になってきています。

前民主党政権の成長戦略であった「コンクリートから人へ」のスローガンに代表されるように、1990年代以前の常識を捨てるくらいの方針転換の必要性に迫られているのです。

首相「持続的成長へ政策やり抜く」 成長戦略素案
2014/6/17 1:30 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS16027_W4A610C1EA2000/

政府は16日、首相官邸で開いた産業競争力会議で新しい成長戦略の素案をまとめた。四大改革として法人減税のほか、「岩盤」と呼ばれる雇用や農業、医療分野の規制改革を柱としている。安倍晋三首相は「日本は今、大転換期にある。持続的な成長軌道につなげるため、この政策案の実行を決断し、やり抜かなければならない」と強調した。

新成長戦略は昨年の成長戦略「日本再興戦略」を改定する形をとり、産業競争力会議のほか、経済財政諮問会議、規制改革会議、国家戦略特区諮問会議で議論してきた政策を網羅している。素案をもとに与党と調整し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)とともに27日の閣議決定をめざす。

岩盤規制のうち、雇用分野では時間でなく成果に給与を払う新たな制度を導入し、少なくとも年収1000万円以上を対象に適用する。農業では今後5年を農業協同組合の集中改革期間とし見直しを急ぐ。公的な医療保険が使える診療と使えない診療を組み合わせる混合診療も拡大する。

■人口減に備え
少子高齢化による労働力不足を見据え、女性や外国人の積極活用も打ち出した。主婦が学童保育で育児経験を生かせる新たな保育資格「子育て支援員」(仮称)を2015年度に創設。女性の働く意欲をそいでいるとされる配偶者控除のあり方も年末までに見直す。

外国人労働者の受け入れでは、途上国の人材が働きながら技能を学ぶ外国人技能実習制度の対象業種を介護などに広げ、受け入れ期間を3年から5年に延ばす。東京五輪に向けた建設需要で人手不足が深刻な建設業や造船業では受け入れ期間を5~6年に延長する。

海外からの投資を促す環境づくりとして現在35.64%(東京都の場合)の法人実効税率を15年度から数年間で20%台に下げることをめざす。地域を限って規制緩和を先行させる国家戦略特区では、起業に必要な官民の手続きを一元化する窓口を年内に設置する。

■年金運用を改革
市場の関心が高い年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用も改革する。9~10月をメドに資産構成で日本株を増やすほか、ガバナンスを強化する法改正を検討する。運用の委託先や運用方針を決める権限が理事長に集中しているため、理事会を設けて複数の専門家がチェックする方向だ。運用に詳しい人材を民間から集めるため給与水準も改定する。

「この1年間の努力の結果、これまで挑戦することすらタブー視されていた壁、何度も挑戦したが乗り越えられなかった壁を突き抜けるような政策を盛り込むことができた」。首相が素案についてこう語ったように、昨年の成長戦略で手がつけられなかった四大改革は一歩進んだ。今後の課題は具体的な制度設計だ。

日本総合研究所の湯元健治副理事長は「外国人活用は長らく課題だった分野で大きく評価できる」としたうえで「抜本的な受け入れではない。もっと積極的に活用を議論すべきだ」と求めた。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「社会保障制度改革の視点が抜け落ちている」と指摘。「長期金利が上がれば財政健全化は難しくなる。デフレ脱却前に社会保障制度改革を進めることが必要だ」と訴えた。


記事を読んでみると、4大改革である法人税減税、そして雇用や農業、医療分野の規制改革が成長戦略素案の中に大きく掲げられています。女性の社会進出は日本社会の中に受け入れられつつあるようになってきているので、それはスムーズに進むからいいとして、移民受け入れについては今後も激論が繰り広げられそうです。どの項目を読んでみても、大都市の成長に有利な政策ばかりであると言えますね。

成長戦略とは一体何なのか
2012年12月の民主党から自民党への政権交代が起こり、第2次安倍政権が発足しました。安倍政権が経済政策として呼称されている「アベノミクス」の中の第3の矢として成長戦略が盛り込まれています。

1.大胆な金融政策
バブル崩壊以降の20年間における不況の最大要因をデフレと捉え、デフレ脱却を目指すべくインフレターゲットの導入を決定。そのために、これまで独立性が重視されてきた日銀に対して、日銀法の改正も視野に入れた上で2%の物価目標を掲げるよう働きかけ、その目標が達成されるまでは無制限の量的緩和策をとることを決定した。

2.機動的な財政政策
政府は2013年1月15日、過去2番目の規模となる13兆1千億円の補正予算案を閣議決定した。内訳は、東日本大震災の復興費を含む”復興・防災対策”に3兆8千億円、通学路の安全対策など”暮らしの安全・地域活性化”に3兆1千億円、さらに再生医療の実用化支援など”成長による富の創出”に3兆1千億円となっている。

3.民間投資を喚起する成長戦略
産業競争力会議において7つのテーマ別会合を開き、2013年6月をめどに具体案をまとめるとした。7つのテーマは以下の通り。
(1.産業の新陳代謝の促進 2.人材力強化・雇用制度改革 3.立地競争力の強化 4.クリーン・経済的なエネルギー需給実現 5.健康長寿社会の実現 6.農業輸出拡大・競争力強化 7.科学技術イノベーション・ITの強化)

3つの矢の内の上位2つの経済政策は比較的成功していると世の中では評価されていますが、日本経済の再成長は「第3の矢」である「民間投資を喚起する成長戦略」が一番の曲者であり、既得権との権力闘争が必要になってきます。

政府が、民間投資を喚起することが出来るものなのか
単刀直入に言うと、政府が今後の日本の成長産業を決めて、民間企業に投資を促して成長させることはできません。日本は資本主義社会の経済体制であり、そもそも資本主義社会では、市場にとって必要な産業は何もしなくても勝手に成長していくものであり、政府がわざわざ「成長戦略」として先導する必要は全くないのです。

政府に期待される役割とは、民間企業が業績を伸ばしやすいように規制を緩和すること、そして民間企業の潜在成長力を上げるようにバックアップすることです。日本の農業や医療産業には行政による様々な規制が存在していて、それらの規制が農業や医療産業の成長を妨げている側面があります。規制緩和によってそれらの産業が更に成長しやすくすることも、立派な成長戦略の一つです(というより、政府に出来ることはそれくらいしかありません)。

また、民間企業が成長しやすくするためには、これまで以上に「大都市集積」をしやすくするように誘導することも重要です。大都市に企業を集積させやすくすることによって、さらに「規模の経済」の効果を増大させやすくするべきなのです。規制緩和によりビジネスがしやすい環境を「特区」として大都市内に設定し、世界中から企業を誘致しやすくするやり方です。

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成長戦略素案に「カジノ整備を検討」を明記へ

2014年06月20日 08時00分00秒 | 都市の時代と、東京


成長戦略素案に「カジノ整備を検討」を明記へ
日本国内でカジノ解禁に関する議論がこれまで実施されてきましたが、遂に政府がまとめる新しい成長戦略の中に「カジノ整備を検討」の文言が盛り込まれることになりました。世界規模での都市間競争が過熱化し、日本は訪日外国人をさらに増やしていく方向性を掲げていて、カジノを含めたいわゆる「IR(統合型リゾート)」の誘致はその成長戦略の象徴になっていくと思われます。

<成長戦略素案>「カジノ整備を検討」明記
6月16日(月)23時50分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140616-00000116-mai-bus_all

政府は16日の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)で、成長戦略「日本再興戦略」改定版の素案をまとめたが、観光振興では、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)の整備について「関係省庁で検討を進める」と明記した。甘利明経済再生担当相は16日の記者会見で「世界中で成功している例はたくさんある。外国人訪問者の増加など経済効果も高い」と述べ、議論を深める考えを示した。

カジノでの賭博は刑法で禁じられているが、自民党や日本維新の会など超党派議員がカジノ合法化に向けて関連法案を今国会に提出。しかし、治安悪化やギャンブル依存症への懸念から成立のめどが立っていない。このため成長戦略では議員立法の推移を見ながら、政府内でも検討を進める姿勢を示した。【小倉祥徳】


そもそも日本は、2020年(平成32年)に訪日外国人旅行者の数を2000万人に達成させるという大きな目標を掲げています。火山が多く、自然豊かな日本全国には素晴らしい観光地が多く存在しますが、2000万人達成となると、流石にそれだけでは不可能になってきます。カジノを含めたIR(統合型リゾート)の整備は、訪日外国人旅行者の人の数を更に押し上げることになるでしょう。

IR(統合型リゾート)とは一体何か
国際会議場・展示施設などのNICE施設、ホテル、商業施設(ショッピングモール)、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などにカジノを含んで一体となった複合観光集客施設のことです。テレビや新聞などの報道ではカジノのことが大きく取り上げられますが、カジノも複合施設の中の一つであると考えるべきです。ですが、カジノがあるのと無いのとでは、外国人観光客の集客に大きく影響が出てくるのだそうです。

日本の現在の法制度でカジノが違法とされているため、統合型リゾートの推進にあたっては、カジノの法制度化が大前提とされています。カジノ誘致のメリットとしては、

・国内外からの観光客の誘致やMICEの振興
・カジノ税収入など新規財源の創出
・地域での雇用促進や経済波及効果

などです。デメリットとしては、

・ギャンブル依存症の増加や自殺・犯罪の誘発、周辺の生活環境の悪化
・健全なファミリー層向け観光地イメージの低下

などが挙げられています。

国際空港と都心部を結ぶアクセス(鉄道など)整備が鍵となる
訪日外国人旅行者の人たちに楽しんでもらうことが大前提のIR(統合型リゾート)ですから、当然多くの航空路線を飛ばしている国際空港のある都市に誘致されることになります。…そうなってくると、現在の日本でカジノ誘致の受け皿となる都市は東京、名古屋、大阪の3つの内のどれかに絞られてくることになります。

また、国際空港から都心部までのアクセス手段についても更に拡充することが求められます。関西国際空港から大阪都心部まで新しい鉄道路線を建設する構想が進められていて、東京でも羽田~都心部~成田間の短絡鉄道の建設構想が持ち上がっています。

そして、都心部からリゾート施設まで、主要交通機関を使って30分以内でアクセスできると国際競争力が上がるのだそうです。大阪だと夢洲地区の埋立地、東京だとお台場がそれに相当することになりますね。

民間と行政の連携が重要となる
カジノを含めたIR(統合型リゾート)の整備は、当然エンターテイメントのプロである民間企業が中心となって進められることになります。しかし、多くの訪日外国人旅行者が訪れることになる以上は、多国籍語が通じる相談窓口や医療施設などの整備も同時並行的に進められなければなりません。民間企業だけにそれらを負担させることは現実的ではないので、行政がその役割を引き受けることになります。

現在カジノ誘致で多くの批判として挙がっている、治安の悪化についても同じことが言えます。カジノが設置されることになるエリアの治安を守るために、警察官の増員、または民間警備会社との連携なども必要になってきます。カジノを含めたIR(統合型リゾート)の誘致は、今まで前例がない問題が多く噴出してくると思いますが、ここは「官民連携」で乗り切ってほしいです。

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