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Pianist 池田みどり

ピアニスト池田みどりの四苦八苦をまるごとお見せします。
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佛像彩色師・長谷川智彩のワザ

2012-06-02 | Diary

 「極上美の饗宴」は好きな番組です。映像ならではの、超感度カメラでの微細な観察やCGなどは、実際には目で見ることができない部分まで知ることができます。

 6月10日まで東京国立博物館 平成館で開催されている「ボストン美術館 日本美術の至宝」展にちなんで、「ボストン日本美術超傑作シリーズ」を放送しています。第1回目の曽我蕭白の雲龍図も面白かった。この番組では現代の一人者たちが、それらの過去の傑作から、超技巧を学んでいく姿を見ることができる。コーディネーターによってひきあわされた匠と学術研究家との出会いから、もしかしたら当時秘密とされていた技法を明かしていく。科学の力がそれを助けます。ここンところが、この番組の真骨頂ですかね。

 シリーズ第2回目は、仏画の「馬頭観音菩薩像」。平安時代の超細密画は、多くの金色で装飾され、微妙な光の変化で菩薩像を照らし出しています。ここで使われるのが、截金(きりかね)という手法。金箔を重ねあわせ、それを竹の刀で髪の毛より細く切りだし、ノリで一本一本貼って、模様を作ります。すべて手作業でそれをやってのけるのが、現在、この道の第一人者と言われる弱冠42歳の長谷川智彩(ちさい)さん。涼やかな美しさを持った美人です。その彼女をもって、この細さは今まで見たことがないといいます。ここで使われるのは0.08ミリ。この「馬頭観音菩薩像」には少なくとも3種類の金細工がされており、それぞれに放つ光が微妙に変わります。その手法を少しずつ解き明かしながら、彼女は1日わずかにしか進まない作業を、ただ淡々と続けます。5カ月後仕上がった作品は、近くの寺に置かれ、朝の光、昼の光、夜の光と変化する表情まで、映像でとらえています。

 この長谷川智彩さんの寸分狂いのない仕事と、その集中力、持続力は、半端じゃない。すごい人がいるものだと、惚れちゃいました。以前BS-iで彼女の特集をやったらしく、(私は見ていないのですが…)その文章もチェックして、ますます惚れちゃいました。
 仏像の美しさに、心を奪われた彼女は、当世一といわれる佛師・松本明慶(みょうけい)に自ら弟子入りし、彼の彫った仏像に彩色をする知識と技術を身につけて行きます。特に難しいと言われる截金技法は、教室に通ってあっという間に身につけます。師匠松本氏の勧めもあり、26歳で自分の工房を持ち独立しました。

 一日14時間は仕事をするという彼女。もっと時間がほしいという。唯一の楽しみは画材屋に行くこと。
 仏に面と向かうことしか頭にない彼女。それゆえのあの透き通った美しさなんだろうか。

 ※極上美の饗宴 http://www.nhk.or.jp/bs/gokujou/
 ※東京国立博物館 平成館 「ボストン美術館 日本美術の至宝」 http://www.boston-nippon.jp/
 ※BS-i 超・人 佛像彩色師・長谷川智彩 http://www.jump.co.jp/bs-i/chojin/archive/115.html

 ※写真は国立博物館サイトより転載させていただきました。


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