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Pianist 池田みどり

ピアニスト池田みどりの四苦八苦をまるごとお見せします。
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「100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎」

2010-08-26 | 知識・教養

 先日ブログに書いた、「リーマン予想」のドキュメンタリー番組と同じ制作者によるもの。数学の難題をすばらしい映像で見せてくれました。これは「リーマン予想」より以前に制作されたものです。

 

1904年、フランスの数学者アンリ・ポアンカレによってある難問が提唱されました。それがポアンカレ予想です。100年来の数学的難題として7つのミレニアム懸賞問題のひとつでした。それが2006年に、ロシアのグリゴリ・ペレルマン(1996年生まれ)によって証明されました。その成果を評価して4年に一度開催される数学のノーベル賞“フィールズ賞”が受賞されましたが、彼はそれを辞退。行方をくらましています。ミレニアム懸賞の懸賞金は約9000万円。それも拒否しています。このような数学の難題証明には、3年ほど専門機関によって実証されなければなりませんが、彼はその間に仕事を辞職し、人との接触を一切絶ちました。一体何があったのでしょう?

 

 ポワンカレ予想とは、『単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3乗に同相である』というものですが、ちんぷんかんぷんですね。宇宙のある一箇所から想像の長いロープを結んだロケットが宇宙を一回りして戻ってきた場合、ロープの両端を引っ張って、ロープがすべて回収できたとしたら、宇宙はおおむね球体であると言えるのではないかという予想です。もし、ロープが回収できないとしたら、ドーナツ型で大きな穴が空いているのかもしれません。それを数学で証明せよというのが、この難題です。この難題に取り組んだ数学者はそれぞれの方法で解き明かそうとしています。ニュートンは微分幾何学の産みの親ですが、ポワンカレは位相幾何学(トポロジー)の産みの親です。微分幾何学は図形については厳密に捉える硬い数学ですが、トポロジーでは単純な形に変化させ穴の数で見ます。だから、お皿とスプーンは同じ(穴がない)、珈琲カップとドーナツは穴がひとつということで同じになるんです。さらに3次元・4次元・あるいは高次元と証明する次元が増えたため、ますます混迷に入りました。

 

 ペリルマンは、小さい頃から数学の才能を認められ英才教育を受けました。16歳で国際数学オリンピックを全問満点で金メダルを授与され、当時の最年少記録となりました。明るくよく笑う少年だったのですが、ある日からひとりでコツコツと何かに取り組むようになりました。それがポアンカレ予想だったのです。このポアンカレ予想解決以前にも、多くの業績を残しています。リーマン予想もそうだったように、この難題に取り組む数学者たちが、精神的に破綻を経験しています。ペリルマンの場合、受賞を拒否する理由が送られてきたそうで、数学界に対する批判めいたものだったようです。彼をよく知る人たちの間では、彼は自然の中でキノコ狩を楽しんでいるだろうという話でした。

 

 数学には魔力がある。もしかして彼はやっと今、数学という呪縛からも、名誉や金銭からも開放されて、自然の時間の流れの中で幸せにやっているのかもしれません。

 

     NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~

http://www.nhk.or.jp/special/onair/071022.html


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