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人の間・時の間・空の間:B面

今日も 【 間 】 を縫って進もう、自分の港へ。

春の越後を歩こう

2006-04-17 16:51:51 | 今日の俳句
「八方に山ある安堵 種浸し」 阿部 静雄


故郷 小千谷は河岸段丘という特徴的な地形をしています。
信濃川の流路に沿って階段状に平地が発達したため、
小さな坂道が多く [小千谷] の地名も
ここからきていると聞いたことがあります。

なだらかな山々に囲まれたその地は、
母の懐に似て、やさしく静かです。

その地を巡る
中越大震災復興祈念【第19回信濃川河岸段丘ウォーク】が
4月29日みどりの日に開催されます。
うららかな春の越後を のんびり歩いてみませんか?
詳しくはこちら。



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種物屋

2006-04-15 07:01:00 | 今日の俳句
「抽出しのてきぱき開いて種物屋」 阿部 静雄


今でこそ ガーデニングブームで花や野菜の種は、
どこででも手に入るようになりました。
DIYショップの園芸コーナーは、
舌をかみそうな名前の花の種や苗を買う人で賑わっています。

子供の頃、近所に [いなばや] という雑貨屋があって、
店先には竹箒、ネズミ捕りの網、虫取り網や虫かご、麦わら帽子
日用品やちょっとした農作業の道具が、所狭しと売られていました。

春先になると、小さな紙袋に入った野菜や花の種が店頭に並び、
その袋の植物の絵が(写真でなく)とても美しかったのを覚えています。

店の中にも様々な雑貨が置いてあったけれども、
無性に気になったのが [量り売りの豆]
枡に区切られた木の箱に、
うずら豆、あずき、青大豆、紫花豆、とら豆・・・
カタチも色も様々な可愛い豆たちが並んでいました。
買う用もないのに、その店に行っては豆を眺め
店の人の目を盗んでは
シャラシャラっと豆をかき混ぜて帰ってくる・・・
ちょっとアヤシイ子供でした。



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ようやく春

2006-04-06 11:57:25 | 今日の俳句
「芽吹き山 村ふかぶかと沈みけり」 阿部 静雄


雪国では冬が長く厳しい分、
迎える春の喜びは格別のものがあります。
水墨画のようだった山の色に、
ブナ林の鮮やかな若緑があらわれると 春はもうすぐそこ。

辛夷、山桜、カタクリ、錨草、稚児ゆりなどの山野草・・・
ぜんまい、蕨、こごみ、たらのめ、こしあぶら、木の芽などの山の幸・・・
春の季語に「山笑ふ」というのがありますが、
まさに山全体で喜びを表すがごとく 最もよい季節を迎えます。

ちなみに
ここで云う“木の芽”は関東でいう山椒の葉のことではなく ミツバアケビの芽のことで、さっと湯がいて削り節と醤油でいただくと これがまたサイコーなのです。
ポキポキとした歯ざわりと苦味が たまりませ~ん


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花むしろの上で

2006-03-31 06:06:53 | 今日の俳句
「赤子ごと引きずつて来し花筵」 阿部 静雄


今週末、お花見を計画している人も多いでしょう。

故郷小千谷には船岡公園という桜の名所がありました。
(一昨年の中越地震で大きな被害を受けてしまいましたが・・)
毎年まつりになると、山全体にぼんぼりが灯り、客寄せの音楽が鳴り渡り、
多くの露店やイベントで それはそれは賑やかでした。
私が子供の頃は [お化け屋敷] や [サーカス] なども来ていて、
雪解けあとの大きな楽しみのひとつでした。

夜桜の下ではご近所や父母の職場仲間が くるま座になり飲んだり歌ったり。
仕出の折の“シロップ漬けの真っ赤なさくらんぼ”を貰うのが楽しみで
眠いのを我慢して宴に添っていたのを思い出します。


毎年咲く花の下に家族が、仲間が、人々が集う・・・そんな ささやかなことが、
実はかけがえのない平和そのものなのです。


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散り際

2006-03-29 18:15:40 | 今日の俳句
「ふるさとの記憶の端に桜かな」 阿部 静雄

友人と鎌倉天園・六国峠から鎌倉宮を歩いてきました。
建長寺境内も天園の山中もあちこちで桜が満開でした。

「昨晩、あんなに雷雨だったのによく散らなかったねぇ」と言う私に、
友人が素敵なことを教えてくれました。
「桜は散る時期が来なければ、雨が降っても風が吹いても散らないんだよ」って。

言われればあたりまえのことなのですが、なんだか妙に感激してしまいました。
“それが散り際というものなのだなぁ”と。

儚げでありながら、芯の強い桜・・・ますます好きになりました。


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春休み

2006-03-26 12:02:21 | 今日の俳句
「上向きに蛇口の列や春休み」 阿部 静雄

学生時代“春休み”は夏休みとは ちょっと違う感じがしていました。
ちょうど学年が変わる境目なので、自分の身の置き所がないというか・・・
ちょっと不安定な、頼りない感じ。

進級、進学、転居・・・変化する環境を前に、
程よい緊張感と ちょっとだけ淋しさのある春休みが好きでした。


そして

春休みを境にたくさんの別れがありました。
その時は、もう会えなくなるなんて夢にも思わずに・・・



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狛犬を見習おう

2006-03-24 14:20:03 | 今日の俳句
「狛犬の耳の出てきし雪解かな」 阿部 静雄

民主党永田議員のメール問題が、なが~く尾をひいています。
永田さんご自身もこんな状況になるとは夢にも思わなかったことでしょう。
持ち込まれた“情報”の扱いを誤ってしまったのだと思います。


求めれば大概の情報を得ることのできる今日。
それどころか、求めなくても むこうから情報がもたらされる時代です。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネット・ダイレクトメール・フリーペーパー・セールス電話・・・・・

何が真で、何が偽か?
何が必要で、何が不必要か?

狛犬が雪の中から最初に耳を出し、じっと外界の音を聴いていたように・・・・
情報が氾濫する今、1人ひとりが動物的な勘をはたらかせ、健全な情報処理能力を養っていかなければいけないのでしょう。



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旅立ちの季節

2006-03-22 13:36:29 | 今日の俳句
「手つけずに置く子供部屋 夕ざくら」 阿部 静雄

横浜でも桜が咲き始めました。
新しい生活に向かって期待と不安の入り混じった気持ちの人も多いでしょう。

私も高校を卒業して すぐ上京したのですが、
慣れない都会での寮生活(食事もなし、お風呂もなしのワケノワカラナイ寮でしたが・・・)に毎日のようにホームシックにかかっていました。
桜のこの時期になると、夕暮れの西神田公園でブランコを揺らしながらメソメソしていたのを思い出します。

自分が人の親となった今 思うのは、
“あの時 父や母は、どんな気持ちで18歳の私を東京へ送り出したのか”ということ。
それを思うと なんだか泣きたくなります。



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春の雪

2006-03-14 07:04:27 | 今日の俳句
「ほつこりと赤子目覚めて春の雪」 阿部 静雄

春の雪はふわふわした大きな牡丹雪、綿雪。
今ごろの雪は、過ぎ去る冬を惜しむように
降っては消える儚いイメージなのですが、
今日の新潟は様子が違います。

まるで冬に逆戻り・・・真剣に降っています!
やっぱり地球はどこかおかしいですね。


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