8月9日 (火) 28/36℃
自然の力
題名をみると何かスピリチュアルな感覚のおとぎ話に聞こえるが、体験や専門家のデータからも自信をもって言えることなのだがね
*写真は千里南公園の散歩道から
彼がサラリーマンから独立し、自ら創業して20数年、新しいマーケットながら業界随一の規模に成長した会社を、M&Aを行使して上場企業へ全事業を売却し引退したのは、50代半ばだった
だが長く生き甲斐のあった仕事から離れると急にすることが無くなり、彼はまもなくうつ状態に陥り、気力を失い、悶々とする日々が続いた
全てが後ろ向きに回転し始め、もう自分では止めようもなく、予期せぬ思いもよらない出来事が次々と起こり蟻地獄に陥った
こんな経験をされた事のある人を後で何人かから聞いたので、彼だけの特殊事情ではなかった
彼はある日、家でまさに濡れ落ち葉の粗大ごみだったが「山でも歩いてきたら」との事で渋々近くの山へ出かけた
冬の寒い日だったが、彼は下を向いたまま当てもなく薄暗い森の中へ入って行った しばらくして気が付くと珍しく雪だ きれいだなー しかし雪はやがて吹雪となり、あっという間に森の中は真っ白になった
雪がやみ太陽が顔を出し、森の中が急に明るくなってきた 小雪がまるでダイヤモンドダストのようにキラキラと輝き、妖精が舞っているようだ ガザガザと後ろで音がしたと思ったら野兎がピョンピョンと跳んで行った 見れば森の中で赤い花が咲いている 藪椿かな
野鳥が二羽嬉しそうに飛び交う
リスがいた 葉に積もった雪が落ちると小枝がびよーんと撥ねる
よく見るともう枝の先には新しい芽が生まれている
みんな生きているんだ すごいな きれいだな すばらしいな‼️
いつしか彼の目から大粒の涙が零れ落ちる オレも生きている 生かされているんだな 自然の営みに感動し我に返った
どのぐらい森の中にいたのだろうか 誰もいない一人だけの世界だが、森の自然の中で自分と対峙し、癒され、慰められ、そして気づき、生きる希望を貰った
彼のパラダイムの大転換は、森の中にいた僅かの時間だけだった
そしてそれからは、毎日のように彼が森に入り、浸り、自然と親しみ、自然と交信する姿があった
あのうつ病はいつしか消え、仕事をしていた時以上に毎日生き甲斐をもち、生き生きと老後をアクテイブに生きている その体験を基に彼は
「箕面の森の小さなできごと」
「みのおの森の小さな物語」とし、昨年出版した
また喜寿になって鹿児島から函館まで歴史街道を4091㎞、561万歩、159日間かけて1人で歩いたんだから、本当にあの時の濡れ落ち葉の彼かね!?
いろいろあった彼の人生だが、今が一番生き甲斐のある感謝と幸せな日々を過ごしているようだ
今日も目の前の公園を散歩しながら自然との交信が続く 日々是好日
そしていつも多くの癒しと励ましと喜びを自然から貰い、何と素晴らしい人生なんだと叫ぶ
所属する 日本森林保健学会の上原 巌理事長(東京農大教授)を、かつて日本森林療法協会を創設された頃だからもう10数年前から知るが、偶然先生の著作を読み、森の奇跡、癒し効果が幼児から老年者まで世界の学者データからも明確に数値化され、ドイツでは既に森林療法が国の公的健康保険に適用されていることを知り驚いた
有名な精神科医の神谷美恵子氏はその著書で「少なくとも深い悩みの中にある人は、どんな書物によるよりも、どんな人の言葉によるよりも、自然の中に素直に身を投げ出すことによって、自然の持つ癒しの力ーそれは彼の内にも外にも働いているーによって癒され、新しい力を恢復(かいふく)する」 とね
日本の国土の67%は森林だ
森林浴や森林セラピーとは違う自分の森の癒しを!
自然の森は家の中の小さな鉢植えの中にもあるんだ ある日の散歩道で落ちていたメタセコイヤの小さな小枝を拾い、空いた鉢に挿し置いたのは3年前の事🌿
部屋の中で他の植物とともに毎朝声をかけて見つめていたが、枯れるどころか根を生やして元気に育ち、先日まさかの新芽が誕生🌱 びっくり🌿 小さな鉢の植物の中にも🪴 人智では計り知れない自然の力と世界があるんだね
ジョンレノンが、ポールマッカートニーが、夏目漱石が、坂本龍馬がベートーベンが、ショパンが森に癒され、森に力を得て生き返ったと記されている
暑い日が続くが、暦の上では既に立秋 後もう少しだよ💦🌿
(人生史77 散文から)