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気分は南米?~多文化&SDGs日記

四国を経て、浜松に三度漂着したかっぱの近況

名古屋の事件に思う

2010-02-05 23:19:09 | 多文化共生
ひき逃げで3人も死なせてしまったことは事実であり、許されることではないので、早く出頭して、罪をきちんと償ってほしい。

…こういう事件の度に、国名も大きく報道されて暗澹たる気持ちになる。
いいニュースを地道に積み上げてきても、一発でイメージがネガ反転してしまうことが悲しい。

在住外国人の増加に伴って、事件の数も増えているが、外国人の「犯罪率」は日本人と比べて多いわけでは決してない。
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kokusaisousa/kokusai6/rainichi.pdf
http://www.geocities.jp/kumustaka85/discrimsh.html
犯罪報道率が日本人に比べて5倍多いというデータもある。
UCBAの山中啓子先生は「オーバーステイは“日本人の犯せない犯罪”であり、実質は被害者のない“手続き違反”を含めて比較するのはおかしい」と言っていた。

また、少年犯罪も近年では「激減」しているが、子どもの数が減ったから当然といえば当然だ。なのに「外国人と子どもの犯罪が増えた」とよく言われるのは、反論できない外国人と子どもをスケープゴートにして警察の予算を確保している、という説もある。

こういう誤解を心理学では「錯誤相関」といってステレオタイプが形成・維持されるメカニズムの典型的な状態で「自分の所属していない集団の成員の少数事例と少数派成員との組み合わせは目立つため、記憶されやすく、その結果として実際よりもその頻度が多く見積もられる」のだそうだ。

先日、ペルー出身の大学生が「“××人だから”って括るのは嫌い。日本人だっていい人もいれば悪い人もいる」と話していたけれど、一度刷りこまれた偏見を取り除くって難しい~~(涙)。

犯罪に関わってしまう「背景」、日本の治安については項を改めて。

ベトナム母語教室、にほんごカフェ

2010-02-02 09:59:51 | 多文化共生
先週末も多文化&NPOのハシゴ。で市内を北へ中央へ西へ。

まず湖東団地のベトナム語の母語教室へ。14人の子どもが文字の読み、簡単な書き方、文章など4クラスに分かれて勉強。先生は4人ともベトナム人。子どもは小学生が多かったけれど、その中に社会人のT君が混ざって読みから勉強していた。
小さい時に日本に来てベトナム語は聞き取れるけど話せないT君は、両親とは「かんたんな日本語」で会話しているとのこと。昨年12月からベトナム語の勉強を始めて「難しい~」と言ってたけれど、母語を取り戻そうと一生懸命に努力している彼の姿が印象的だった。いつか母語で両親と話ができるといいね。がんばれ、T君!

ベトナム人の先生とも話をした。彼女は10歳の時に親に連れられて難民として日本に来たけれど、その時は「定住」ではなかったから沖縄でベトナム語と英語を学んだとのこと。今は日本国籍も取得して、毎週土曜日に子どもたちに母語を教えている。
彼女のように子どもの時に日本に来て育った世代の子ども(第三世代?)も増えつつあるけれど、母語(継承語)や母文化は誰がどこまで伝えばよいんだろうか…?
来週末は、もう一つのベトナム人コミュニティの学習支援教室へ行ってきます。

昼からは「たけぶんセンター」へ。「めくるめく紙芝居」の製作をやっていた。4年ぶりに代表の久保田さんに会う。障害のある人もない人も好きなものを好きなように作っているし、その間を子どもがランダムに歩き回っていて、テニスの審判台を始め、不思議な家具?やオブジェがあちこち配置されているという、カオスだけどワクワクする、雑然と見えて落ち着くという、不思議な空間になっていた。
また今度ゆっくり行ってみよう。

それから某所でヨガをして、320回目の献血に行き、夜は佐鳴台公民館の「にほんごカフェ」へ。
この日は学習者が3人と少なかったけれど「小さい頃の夢」がお題で、何になりたかったかについておしゃべり。学習者のレベルに合わせて、できるだけ簡単な日本語で説明していくのだが、「遺跡」「憧れる」「冒険」の単語の説明で四苦八苦。ちゃんと伝わったかな?

道のあるところを行くのが「ふつうのたび」。誰も歩いてない、道のない所を行くのが「ぼうけん」。危ないこともあるけれど、ワクワクする新しい発見を探しに行くこと、と説明。
言いながらも、私の人生は今も道のない所を藪こぎだらけだなぁ、と思った。生傷は絶えないし安定もしないけれど、自分で切り拓く醍醐味は「ぼうけん」ならでは、かも?!

外国人の子どもの進路保障2010

2010-01-29 23:00:36 | 多文化共生
週末はイベント三昧。書かないでいると次のイベントが押し寄せてくるので、簡潔に報告。

先週末は、東京で昨年に引き続き、外国をルーツとする子どものための「進学ガイダンス主催者交流会」に参加。
今回は、宮城や京都から新しい参加者があり、9都府県の主催者、支援者、学者など46名の参加者が集まり、各地の報告、学習支援などのフォロー体制、2005提言から5年の現状について、議論を行った。

2005提言から進まなかったのは、
1.外国人児童生徒の実態把握 →未だ高校進学率が不明な自治体も。
3. 高校入試における
1)「外国人特別枠」の設置 →1県も増えず。
 拡充 →既にある県については、枠や人数自体は増えている。
2) 高校入試における「特別措置(配慮)」→なかなか増えず。
3) 定員内不合格の禁止 →東京、神奈川、大阪だけで広がらず。

進んだのは、
2.多言語による進学情報の提供
 →地域、回数ともに増加傾向。行政・学校との連携も漸進。
4.高校入学後の学習サポート体制、支援員の設置
 →フリースクールなど民間の学習サポートは広がっている。

新たな問題として、
1.学齢超過で来日する子(特に中国、フィリピン)が急増
2.夜間中学のニーズが高まるが、偏在している
3.ブラジル人学校の卒業生に高校受検・入学資格がない。
4.生活言語と学習言語・学力との落差が大きい。
5.統廃合で消える定時制高校
6.在留資格の問題
7.スクール・ソーシャルワーカーの必要性

といったところを問題提起してみた。
新しく参加した地域では、これ以前の問題も多々あり、全国交流会の提言から5年たった今も問題山積!
今後は、これらの課題を誰が整理して、どこにどのように持っていったら効果的なのか、そういった戦略も練っていきたい、という話になった。

というわけで、これから議事録整理して、ガイダンス主催者交流会のホームページにもアップします。
詳細な記録が欲しい方はメールかコメントください。

やる気の問題なのか?~外国人教育、高校中退

2009-12-22 12:23:05 | 多文化共生
先日、多文化関係者の飲み会で子どもの教育支援の話になり、
「結局は子どものやる気の問題」
「出稼ぎに来るのは自己責任だから、景気が悪くなったら帰国すればいいのに」
という発言があった。


ええ。私もそう思っていた時もありましたよ。


出稼ぎは本国の経済状況の悪さだけでなく、日本もバブルと少子高齢化で人手を必要としていた、という双方の要因があるわけで、一方的にやってきたわけではない。
ましてや、連れて来られた子どもには選択の余地もない。

これまで、高校・大学に進学した子たちを追い続けてロールモデル・リーダーの発掘育成に取り組んできた。彼らに共通するのは「本人に能力がある、学校内に支援してくれる先生や友人がいる、学校外でも支援者がいる、親の教育に対する関心が高い」である。

しかし、本人に意欲や能力があっても、親=家庭環境の問題で、がんばりたくても、がんばれない環境にいる子が多いということがわかってきた。
豊田の学習支援教室では両親揃っている子は1割だけで、離婚・別居・新しいパートナーとの間に子どもができて…など家庭環境が非常に複雑な子が大半を占めるそうだ。
最近は、子ども時代に親に連れられて来日した世代が、子どもを生んで学齢期になっている。十分に教育を受けられなかった世代が、親世代となりつつある。

「がんばれる子」は自分で道を切り拓いていく力を持っている。
放っておいたらこぼれ落ちてしまう「がんばれない子」たちをどう支えていけばいいのか。
今問われているのは、そこではないだろうか?


日曜は「ドキュメント高校中退-いま、貧困がうまれる場所」を読みながら18切符の旅をしていたが、貧困→低学力→中退→貧困…と出口の見えないスパイラルの中で、想像を超える貧困家庭のドキュメントに、本を持つ手が何度も固まった。

進学ガイダンスでお世話になっている先生には、定時制や底辺校の先生が多い。
千葉のある先生は「少年院や鑑別所は何度も足を運んだ」。それでも「社会からドロップアウトしてしまう子たちをなんとかしてつなぎとめていくのが学校の役割」と言っていた。

本を紹介してくれた友人は「『高校中退』みたいな本が出てこなかったのは、日本社会の感性なんだとも思う。高校中退に関する論文も数少ないし、心理的な切り口ばかりで、そこにある階層性や貧困は日本で長い間見ないふりをされてきたんだと思う。」と言う。

外国人は“義務教育”の対象外のため、中学中退も珍しい話ではない。
さらに浜松では不況→失業でブラジル人学校や公立校の学費が払えず、不就学になった子どもが数字の上で1000人を超えた。実際は帰国者も相当含まれるが、それを差し引いても学校に行ってない子どもがかなりの数存在する。
日本語や学習支援だけでは支えきれない問題が、そこにはある。
先日も、中卒認定試験を受けた子が同時に「子どもができて…」という話をきいたばかり。

これらの問題が「外国人だけの問題」として政策的に放置されてきたことが、日本社会の下層に追いやられた日本人の貧困の再生産を拡大させているように思えてならない。


冒頭の発言、素人ならばともかく、長年の支援経験者の発言であったことに凹んだ 「本人のやる気」と“自己責任”論に帰結することで、構造的な問題を見落とし、社会の責任をあいまいにしてほしくない。
この問題をきちんと理解して実践できる人材を育てることも大事。今日も仕事がんばります~。

袋井の進学ガイダンス

2009-12-16 23:43:04 | 多文化共生
12日は袋井で「日本語を母語としない子どもと保護者のための進学ガイダンス」。
初の県教委との共催、初の中遠地域での開催で、当事者15名、支援者・関係者20名、スタッフ・ボランティア25名で約60名が集まったのは上出来でないかと。

掛川・袋井・磐田と県の関係者が一同に会して、現場を共有できたことは大きい。
情報を求めている人、子どものことを真剣に考えている親、それを支える人や先生がいて、そして高校、大学に行っている当事者の声。
こういったニーズやモデルが「見える化」することはとっても大事。
その成果は「来年もぜひやりましょう!」という先生の声にも現れている。

その後で、打ち上げ?と称して、袋井駅近くのブラジルピザ屋Bella Massaへ。
昼抜きだったので、ピザに飛びついて写真忘れた…。詳しいサイトで見てくだされ。
店主は日本19年の日系ブラジル人。生地がパリパリ、トッピングもチーズもたっぷりなピザは本当に美味しかった!
そして、トロピカルジュースにクプアス発見!!! クプアスはアマゾン時代にしばしば飲んでいた大好物。久しぶりに飲めて感激! 他にもクラビオラ、タベレバという私も知らないフルーツもあり。うひょー!

しかし、この不況でブラジル人のお客さんが減って経営が厳しい…とのこと。日本人にも広がってほしいなぁ。

夜はBella Massaのエスフィハ(肉入りパン)をつまみに、ガイダンスと講座の打ち上げ Mさん、おつきあいありがとー。修論終わったらまたお待ちしてまーす。

Roots of Many Colors~多文化なわかものたち

2009-12-06 22:43:58 | 多文化共生
昨日はブラジル人のための子ども支援の講座最終回にボランティアスタッフとして参加。ゲストは、神奈川から多文化の若者リーダーとして大活躍の理沙、県立高校教員のアレサンドロと保育士のリリアン、地元からは教員を目指している大学生のリリアン。

リサが監督、同世代の永野絵理世さんが撮影したRoots of Many Colorsは、日本に暮らす様々な外国ルーツの若者たちの語りが描かれている。自分のヒストリー、日本に来てからの苦難とそれを乗り越えた経緯、アイデンティティ、これからの展望…。飾ることなく、等身大の姿と言葉が淡々と、時には熱く、時には笑いも交えながら綴られている。
この映画は一度見たけれど、食い入るように見てしまう。ポ・西翻訳を入れながらで長丁場になったけれど、皆真剣に見ていた。浜松、豊田、焼津からも十代~二十代の外国ルーツ(ブラジル、フィリピン、ペルー、ベトナム、インドネシア)の若者たちが集まって、上映後のディスカッションと交流会も熱く盛り上がった。

ベトナムルーツのH君は「これを見て日本人は“外国人の子たちを助けてあげたい”と上から目線で思うかもしれないけれど、外国人が日本社会で暮らすということは、例えば雇用の競争相手として日本人が弾かれる可能性だってあるということ。そういうことも踏まえた上で、外国人の受け入れ、つき合い方を真剣に考えてほしいし、対等な立場で多文化共生を議論したい」と意見。
理沙たちも「私たちは“かわいそう”とか“よくがんばったね”という同情を引くために映画を作ったんじゃない。自分たちのつらい体験を曝け出してまで伝えたかったのはそんなことじゃない!」ときっぱり。

こういうガツンと来る意見、もっと日本社会に届けたいね!!
集まった彼らの姿がなんとパワフルで頼もしかったことか。
マルセロとアレサンドロのぱんつトークには爆笑!!!
ほんっと面白い人たちで、苦境も笑いに変えてしまう彼らのセンスには脱帽。

2004年、2005年に浜松でわかものたちの全国交流会を開いたけれど、こうやって参加者からリーダーが育っている姿を見ると、またやりたいなぁ~~~!と。
関東、関西には当事者のネットワークがあるし、浜松もその片鱗が見えているので、高校進学後の支援やネットワークづくり、大学進学・就職対策も含めて、形になるものを生み出したいと思ったのでした。
…というわけで、これから助成金書き。

この連続講座そのものも、ブラジル人対象でブラジル人視点からのディスカッションはとっても刺激的だった。私がこれまでやってきた多文化事業は日本人中心で、日本語のできる外国人しか関われていなかったから、観点や考え方の違いに今更ながら気がつかされることもたくさんあった。関係者の方々には多々感謝!!
自分の語学力の低さにも凹んだ…もっと気合入れて勉強せな!片言じゃなくて、議論できるぐらいになりたいーー。

注:今日はこれから助成金書きなので、写真はまた明日。
とりいそぎ、ここまでアップ。

留学生ワークショップ~競争社会を生きる学生たち

2009-12-04 22:00:18 | 多文化共生
先週の土曜日は、地元のS大学で県内の留学生、日本人学生を集めた交流事業。
「卒業後の進路」がテーマで、班別討論では「大学に進学、大学の授業、それって何のため?」の班にアドバイザーとして参加してきた。

私のグループは中国人4人、マレーシア、ベトナム各1人、日本人3人。
大学進学の話では、中国は人口が多いためにものすごい競争社会で、学歴が就職をはじめ人生を左右する大きな影響力を持っていること。「少しでも就職に有利になるように」「高校時代は勉強も大変だし親のプレッシャーも強くて、大学に入ってホッとした」厳しい競争を勝ち抜いて日本にやってきた留学生たちの意欲・意志の強さに、刺激を受けた。
ゆとり世代の学生ばかり見てきたけど、久々にギラギラしたガリ勉学生を見た…。

でも「少しでもいい大学に」という上昇志向が高い一方で、進学時に大学で何を学びたいか、将来の夢については不明確だった人が多かった。「大学進学は親孝行」とまず進学ありきだったせいか。
大学への要望では「教科書が高い割に役に立たない」「使わないのに著作を買わせる」「アンケートを書いても反映されたためしがない」「つまらない先生は、教えるのもつまらなさそうだ」などなど…。
ぁぅ~耳の痛い話だ。「大学の先生は研究者ではあるけれど、必ずしも教育のプロではない」とコメントしたら、妙に納得していた。もちろん教育者で多くの人材を育てている先生もいるけれど…。「学生も自分の怠惰を棚に上げて要求だけするのはダメ」と釘もさしてみた。

課外活動や、大学の活用法について、もっと議論を深めたかったけれど、時間が足りず残念。参加者は、真面目で積極的な学生が多かったけれど、大学の枠内にこじんまりと収まることなく、学生という「特権階級」の立場を活かして"今ここでしかできないこと"をとことん極めてほしいなぁ。

全体のワークでは「10秒で描く絵伝言ゲーム」でドラえもんがお題だった。留学生に聞いたら、どこの国でもドラえもんは有名らしいが、絵心のなさか10チームのどこも伝言できず。アンパンマンや熊のぬいぐるみ、餃子やたこ焼きに化けてしまったのは爆笑!
中国の日本のドラマファンの女の子とは「中国のドラマはおばさん向けでつまらない。日本のは時代劇(大河ドラマ)やジャニーズ系が好き」と異文化談義。

国立大や県立大に来る留学生は特に優秀な子たちだろうけれども「大学に入って親元も離れて、気が抜けて留年する人も少なくない」とは留学生担当の先生談。
いろいろ私も勉強になった会だった。若者たちと話せて楽しかったし♪
彼らの学生生活が実り多きものになるよう、そして静岡からこれからの道が拓けますように。

外国人集住都市会議2009

2009-11-28 11:37:48 | 多文化共生
2001年に浜松で始まった会議は、今年は群馬県の太田市で開催。太田は遠かった~~。
3年ぶりの会議は、NPOのブースはなくなっているし、当事者の登壇もないし、首長と官僚だらけ、しかも全員男性というお堅い会議だった。
真面目な内容はこちらに書いたが、地の利が悪いせいか、年々ステイタスが下がっているせいなのか、以前は全国各地の関係者が勢ぞろいする場だったのに、NPO関係の知人は10人余りというほど少なかった。500人もいたのは議員、行政関係か?

集住都市のテーマ別報告、関係省庁の発表、両者のやりとりという構成は、まるで議会の代表質問だったが、厚生労働省の役人が「日経ビジネスに取材されたのに、取り上げてもらえなかった」という恨み節も含めて、熱く語っていたのは面白かった。「今回のリーマンショックの反省もこめて総括が必要」とこれまでの労働行政や企業責任についての発言があったことは期待したい。

一番ダメダメだったのは、やっぱり文部科学省。「ブラジル人学校は保護者の選択なので、帰国したい子はブラジル人学校へ、公立学校に来たい子どもは受け入れる」でも、義務化については、国際人権規約や児童の権利条約もあると言いつつ、憲法は国民しか規定していないので法的根拠がない、ブラジル人学校の高校受検資格についても異なる教育過程なので…と門前払い。

その答弁は聞き飽きた!

集住都市会議で宣言する以前から、外国人の義務教育化はNPOからずっと申し入れているけれど、何年たっても同じ回答で、たまには違う理由でも出してくれ。

なぜ、外国の学校を卒業した人は高校入試資格があって、国内の外国人学校は当該国の教育相の認可があっても認められないのか。外国人学校を「帰国したい人、親の選択だから」と義務教育化しない根拠として認める一方で、日本の高校への進学の選択肢となりえない矛盾はどうするのか。実際は6年以上ブラジル人学校に通っていて、明らかに定住志向にある人たちが多数いて、日本社会と接点がないまま育っていることをどう考えるのか。
ブラジル人学校の調査研究に文科省は多額の資金を投入しているが、その成果はいったいどこへ行ったのか。それをどのように教育行政に反映したのだろうか。

まったく見えてこない。 やる気なし? 能力なし??


それでも内閣府や総務省の「多文化共生」の推進体制、方針が分野横断的に共有され、地方との連携も進められていることがわかったし、「官庁つるしあげ」の会議から、国と地方と役割分担をしながら対話をしようという姿勢も少なからず見えた。
あとの課題は、県や教育委員会、NPO、企業、当事者と多様な関係者も交えた対話を進めること、国への予算要求だけでなく、根本的な制度改革をどうしていくのか、という議論を深めていくこと、かな。

「ブラジル人学校の合唱」の発表もあったけれど、みんな元気よく思い切り音程をはずしていた。いや~。音痴でも平然と歌う南米のカラオケを思い出したよ(笑)。

外国人の子ども支援講座~高校進学と高校での支援

2009-11-22 21:34:16 | 多文化共生
昨日はブラジル人のための子ども支援の連続講座。今回は高校進学がテーマで地元の定時制の先生と、神奈川からはME-NETの高橋清樹先生が来られた。
静岡県と神奈川県の外国人生徒の進学状況と高校での学習、支援、進路について報告があった。横浜のガイダンスは参加者300人中、高校の先生が50人参加、県教委とNPOが協力してコーディネーター派遣に年3回の連絡会議の開催、高校入試のためのフリースクールetc.。
入試枠や支援制度のあまりの違いに、ブラジル人からは「なんで隣の県なのにこんなに違うの?」…。ううー。痛い指摘だ。

進学ガイダンスが始まったのは、神奈川では16年前。静岡は6年前。神奈川に比べるとはるかに遅れているけれど、それでもこの6年でインターナショナルクラスができたり、特別枠が広がったり、高校での支援が始まったり、ガイダンスに県教委が乗り出してきたり、現場の先生や支援の方も一生懸命に試行錯誤しながら、漸進はしているのよ~。
でも、神奈川に追いつくのに、あと10年も待てないから、粘り強くみんなで声を上げていかないとね!なんせ浜松から県教委は遠くて、なかなか声が届かないので。

神奈川との一番の違いは「高校で学ぶことは子どもの権利だから、定員内不合格は認めない。入ってきた子どもの状況に応じて支援制度を組んでいく」という“子ども中心”の考え方。
静岡では「高校が子どもを選ぶのであって、日本語がわからない子ややる気のない子は責任を持ちきれない」といった“高校中心”の姿勢で、高校の支援も、あくまで「サービス」の範疇に留まっている現状がある。「支援はきちんと単位化して組み込まないと、生徒の動機付けにもならない」と高橋先生は言う。

この考え方の違いはいったいどこから出てくるんだろう?人権感覚の違い??
10月から文科省の委託で、不況のために学校に行けなくなった外国人の子どもたちのための学習教室の事業が始まったが、市教委の作ったチラシの「近所に学校に行ってない子どもがいたら連絡を!」という内容が、まるで「不審者を見たら通報を!」にそっくりで、見た瞬間にギョッとした。こういうのを平気で作ってしまうセンスが私には理解できない…。
高橋先生は「人権勉強会に使いたい」と持っていかれたけど、どう料理されるのか見てみたい~。

高校卒業後の進路についても話題になった。正社員を希望しても外国籍を理由に断られることが多いという話に、ブラジル人のお母さんは「日本の高校に行くということは、すなわち日本社会で暮らしていくという意思表示に他ならないのに、なぜ差別するの?」「子どもたちが日本社会に定着して一緒に未来を築いていこうとしているのに、支援が足りないのは問題だ」と指摘。
大学進学、就職、子どもたち自身による活動・発信についても、今後の大きな希望であり、課題であることも再確認。

次回は、正規の学校教員や保育園の保母をしている当事者のわかものが来て、彼らの姿を当事者自身が取材した映画「Roots of Many Colors」の上映がある。浜松の高校生・大学生にもぜひ見てほしいなぁ!

夜はYさんと「高校進学ガイドブック」の内容について、ポルトガル語版も含めて、検討合宿。公に出すものだし、当事者の知りたいことがきちんと正確に伝わるものを作りたい!気合入ります。

第8回 外国人のための高校進学ガイダンス

2009-10-21 23:07:46 | 多文化共生

先週末は多文化ネタがてんこ盛り。書くのが追いつきませんっ
浜松のガイダンスは、2人の若いスタッフが奮闘して、多くの方の協力をいただいて無事終了~!
関係者の皆様、ありがとうございました&お疲れ様でした!!

事前申し込みがあっても、何語の人がどれだけ来るか全く読めないので、多言語資料の準備や通訳の配置が難しい。昨年多かったフィリピン人、ペルー人はイベントと重なって欠席が多く、最終的にブラジル人を中心に約40組の親子と、50名を超えるボランティアが参加。全体で130~140人ぐらいか。

前半は全体説明と先輩の体験談、後半はブース別に個別相談。
今年は高校の先生が5校6人、中学から3校、小学校1校2人が参加。
開始から6年経って支援の輪の広がりを実感。
普段、小中の交流はあっても、高校との交流はなかなかないので、いい情報交換の機会になったと言う先生方。支援員やNPO、国際交流協会、高校生・大学生・卒業生も一同に会する貴重な機会になった。
私も時々自分の持ち場を忘れてしまって反省…。この手のイベントは、その時にしか会えない人もいるから、つい盛り上がってしまう。

当事者の高校生、大学生のスピーチは、14、5歳で過酷な選択や努力を迫られた彼ら自身の言葉に、日本人の何倍もの説得力があった。
この年代の私は、高校・大学に進学する以外の選択肢なんて考えたこともなかった。工場で働くなんてありえないし。もし、彼らの立場に立っていたら、自分はどうしただろう…??
東京から疎開してグレたという伯父のことを思い出したが、自分の意思とはどうにもならないところで、進路を変えざるをえないというのはキツいよね…。

卒業生のカミーラは大学進学のためにブラジルへ帰る前日にもかかわらず、駆けつけてくれた。新世代のリーダー、バイリンガル日本語教師として大活躍していただけに、会場のあちこちから帰国を惜しむ声をかけられていた。

これまで高校に行けた子たちは「本人の能力・努力、親の理解・協力、支援者の存在」の3拍子が揃っていた。3番目の支援者の育成は仕事で取り組んでいるが、2番目の家庭環境も、結構深刻で本人ががんばりたくても、がんばれる環境がない、と聞く。
日本語と学力のサポートだけでなく、多面的に支援できる体制がほしい。というか、つくらねば。

今、浜松には国・県・市から多額の予算が降りてきて、外国人支援事業が林立しているが、今回のガイダンスは行政の予算や助成金がつかず、NPOの持ち出しでやった。
せっかくの支援策もバラバラに存在していて、有機的なつながりにはなっていない。地域内、地域間の連携がほしい。というか、つくらねば。

また、学齢超過の子どもたちの学びなおし・再チャレンジの問題では、異口同音に「夜間中学」への期待が高まっていることや、高校進学後のサポート、大学進学のガイダンス、当事者のわかものネットワークづくりなど、やらねばならないこと、やりたいことのネタもいっぱい。


私は神奈川の「中学・高校生の日本語支援を考える会」が作成した「学習語彙5000」のポル語、西語版の紹介と、まんが「クラスメイトは外国人」の紹介ブースをつくって勝手に販促。

前者は当事者や先生、支援員に人気だったが、当事者の家族に「ポルトガル語の読み書きは?」ときくと「うーん、少しだけ…」という子が多かった。
後者はインドネシア人の卒業生が「自分の経験してきたいろんな歴史が描かれている」と話していた。あまり当事者は読んでもらえず、先生方にもっと紹介できればよかったかな~。
同級生や先生方にもぜひ読んでほしい、図書室においてほしい本です。