気分は南米?~多文化&SDGs日記

四国を経て、浜松に三度漂着したかっぱの近況

秋の田の…我が衣手は種にまみれつ

2008-10-29 17:52:33 | ESD
先日はH先生の農場実習「秋の田の生態系と農作業」へ。愛媛に渡ってきたコウノトリの話に始まり、アグロビオトープを作る作業へ。湿地班は池周辺の草を刈り、外来種のセイタカアワダチソウを引き抜き、乾地班はタデなどの雑草を刈って開墾を行なった。
水面が全く見えず草ぼうぼうだった池は水路が現れ、ヨシ・ガマの茂る部分と水面と草が摘まれた畦と環境に変化が生まれた。そして学生は「それ服の模様?」と聞きたくなるほど、ヌスビトハギの種にひっつかれていた。

バードウォッチングでは、ジョウビタキを初認!ようこそ~。
モズやセッカ、ホオジロ、セグロセキレイなどの小鳥のほか、ビオトープに生息するヒクイナとタマシギも茂みから出たり入ったり。
次々に鳥を見つけては同定してたら、学生に「ほぇ~」という顔をされたけれど、私の鳥見歴は小学生からだし、大学時代は野鳥研究会で全国津々浦々に鳥見に行ってたし、一朝一夕じゃないのだよーん。
今期の学生はゲンゴロウのヲタクがいるし、生き物に関心のある学生が多いようで、昼休みは図鑑を眺めてひとしきり鳥話に花を咲かせた。

プロジェクト会議では「ESDで育成する人材とはフィールドワーカー?アクティビスト?それともコーディネーター??」という議論があったけど、生物多様性がこれだけ話題に上がってくるとなると、きちんと生物が同定できるフィールドワーカーも「場合によっては」必要でないかと。

私にとって生態学や分類学の知識は当たり前に持っているもので、さほど重要視していなかったけど、最近ナチュラリストの再修行中で「自然を読み解く」ことにこだわっていることと“善意”の放流や移植が引き起こす自然破壊を見るにつれ、やっぱり身近な生きものの見分けぐらいはつかないと、自然保護や環境保全なんて言っても説得力がない…と感じるようになってきた。

といっても、実習で見られる生物なんて数種類にしかすぎないので、せめて生物多様性の持つ意味、生物相の変化と環境の変化の相関関係、種を同定することの意味、図鑑の使い方(検索表の見方)ぐらいは押さえておきたいなー、と。
だいたいのエッセンスは授業や実習で触れてはいるので、あとは本人の努力次第なんだけどね。
ちなみに、生物をきちんと同定できるようになるには、相当の時間とトレーニングがいる。論文はグダグダだった私も、フィールドワークと標本づくりと図鑑引きは結構真面目にやっていたし、図鑑はボロボロになるまで使い込んで、それが今も役に立っている。←ヘンなとこは几帳面なので、何者か調べないと気持ち悪い。

他の分野もだけど、ESDの授業で見せるのはほんの入り口に過ぎない。さらに深めたかったら自ら学んでもらうしかない。ESDの切り口はいっぱいあるから、どこかで引っかかってくれればいいんだけど、いろいろありすぎて見失なったり、面倒な努力を放棄してしまうケースもあるようで…。
それに負けない好奇心、執着心、モチベーションをどう上げる(煽る?)のか、これも私の役目なのかな。

学ぶことの意味

2008-10-24 22:28:59 | ESD
シンポジウムは人数も60人集まり、タイトなスケジュールを駆け抜けて終了~。
インターン生も素晴らしい発表と成長を見せて、やってよかったなぁとしみじみ…。
一部激しく突っ込まれていた人もいたけれど、その的確な突っ込みは感心してしまう内容で、それはそれで勉強になったはず。“夏休みの楽しい思い出”でなくて、掘り下げた取材や分析、今後の指針といったことをを聞きたかったのよ~~。

丁寧に分析すること、論理的に文章化すること、人に伝えること=共感を呼ぶこと。これは私が今も悩みつつ取り組んでいるもので、このblogに駄文を書き連ねているのも、その練習&実践であるわけで。私もまだまだ修行途中。

懇親会で学生やゲストと話していて思ったのは「自ら学ぶことの意義を見出す」ことはESDの一つの到達点でないかと。
アンケートの「ESDについて理解が深まりましたか?」という項目で、今回「よくわからない」「余計わからなくなった」と回答した人がいた。「考えれば考えるほど、いろんな話をきけばきくほど難しい」「どこから考えても必ず利害の衝突がおこり、何から始めればどんな影響があるのかがわからない。でもいつか自分の中で答えを出したい」と。

以前、西宮市のESDの取材で添田先生が「ESDは知れば知るほど難しく、重たくなってしまう面がある」と言っていた。
知れば知るほど「持続可能ではない」問題は複雑に、解決も一筋縄ではいかない。
でも、だからこそ学ぶこと考えること、伝えることを諦めずに続けていくことが大事!ということに気づいた学生たちは、これからも積極的に学び続けたい!というオーラが出ていた。

藤槻さんは「『学ぶ』とは、ささやかな優越感を満足させるのではなく『心と可能性を拡げること』と考えています」とコメントしてくださった。水俣で農業をやっている吉田は「自由に生きるために学ぶ」と言っていたっけ。
ESDのEはEducation「学び」であり、Sustainableな社会をつくるためには、みんなで学ぶことが大事ということなんだけど、それを体得するのは難しい。やっぱり現場に出て、課題と向き合う中で見出していくしかないのかな。

それから、安藤さん、藤槻さんをはじめゲストの方々の誠実な人柄も印象に残った。ごまかしたりはぐらかすことなく、真摯に一人一人に向き合ってくださる姿勢が学生の成長にもつながったのでないか。その姿勢は私も見習いたいと思った。


昨日の座学は水文学のT先生による「水の循環」。ペットボトルの水には40億年の歴史があって…という切り口に始まり、松山の水問題から砂漠化や塩害といった地球上の水の話から、ヴァーチャルウォーターまで、水がいかに自分の生活から世界の自然や社会環境に大きな影響を与えているのか、という内容。
松山以外の出身者にとっては今年の「水不足」はいい経験だったようだけど、さらに先生が「もっと不足して給水制限になれば、市民が水を考えるいい機会になったのに」と言ったのはちょっとショック。そういう考え方もあったとは。

水は「山~里~海」をつなぐ重要なファクターであり、水俣で吉本さんに「水の道を辿る」話を聞いたことを思い出した。ESD的にうまく素材として使えないかな…?

シンポジウム前夜

2008-10-18 01:56:23 | ESD
先ほど準備完了~。
今週3度目の日付超えで帰宅。

孤軍奮闘の中、心強い助っ人が食料を引っさげてやってきた。
別に助けを求めていないのに、このタイミングがわかるのは経験者ならでは!
昨日も夜遅く講師から励ましのメールをもらって思わずホロリ。
発表準備中の学生と「がんばろー!」のメールをやりとりしながら作業を進める。

大変だったのは資料作成で、7団体の報告原稿に、15人の受講レポート、講師のレジュメで100ページを超すボリューム。どれも中味が濃くて端折れない。全部目を通す人はいないことがわかっていても、手抜きできなくて詰め込みたくなるのはNPOの性なのかな。

切羽詰ってくると、プリンターは過熱でジャムるわ、パソコンは働きすぎてフリーズするわ、脳みそ腐ってあらぬことを口走るわ、そんな状況で大事な作文を最後に残していたのは大きな敗因。
今回の核心だったのに、泣く泣くえいやあ!で拙文を送り出す羽目に。大学の人間として「アカデミックじゃない」文章を書くのは本当に恥ずかしいのだが…。
つうか資料自体、私の手作りで大学とは思えない素人丸出しなつくり。デザイン会社に発注する暇もなかったのよ~~。

そんなこんなでわーわー言いながら、最後まで付き合ってくれたNPOサポセンのKさん、Sさんには本当に感謝。ありがとう!!!明日はおいしい酒を一緒に飲みましょう。
Sさん、ケ○モノなんて言ってごめんよぉぉ~~(笑)。作文指導、助かりました~


そして、思ったのは…

来年はチームでできる仕事に就こうと。
大変な仕事も、チームでやれば超えていける。

仕事のオファー、考えてみますね。>Kさん

ESDインターンシップ報告会

2008-10-14 22:01:14 | ESD
今週末はESDシンポジウムでインターンシップの報告会がある。インターンの事業もシンポジウムも今期のカリキュラムも、ほとんど私一人で企画運営している。
NPOではスタッフ、関係者でブレーンストーミングしたり、議論を重ねてよりよいものを試行錯誤しながら作ってきたが、一人だと煮詰まるし、教員ではない私が一人で責任を負って回すのはかなり不安である。

まあ、開き直って、自分の願望をかなり盛り込んで企画している。これが評価されることもなければ、表立って非難されることもないので、少しでも実の有る企画にするべく孤軍奮闘中。

受講生の感想やインターンシップのレポートで、耳の痛い指摘に凹むこともあるが、これは私自身への評価と思って、次への反省点&原動力にしていくしかない。
その中でも、二期目のカリキュラムも無謀な設定があちこちにあったにもかかわらず、何らかの成果を手にした!、という学生のコメントにホッとしている。
インターンシップ受け入れ先のコメントでは、元教員だった方の暖かいコメントがとても胸に響いた。学ぶということ、エンパワーするということ、人を育てるということ…自分の立ち位置や言動をふりかえってドキリとする。

専門学校で教えていた時やNPOで高校生や大学生と事業をやっていた時にも思ったけれど、人が成長する姿を見ることはとても嬉しいし、そのような学びの場を作り出すことはやりがいもある。そして、自分も同時に成長していきたいと思っている。
でも、知識の導入や移転ではない、互いに学び合える「学びの場」を作り出すことは本当に難しい。学生たちのニーズや能力、社会のニーズや現状、大学・教員のキャパシティを上手に融合させたプログラムを組むことの困難さに改めて直面している。

成果を気にせず「形だけ」のものなら何とでも作れるけれど、5000万円の税金が投資されている以上は、社会的にもきちんとした成果を残さないといけないし、何より熱い思いを持った若者たちの思いを潰すことなく、大事に伸ばしたい。
自分の学生時代は相当無茶なことばかりやっていたけれど、たくさんの大人たちに助けられ、育ててもらったから今の私がある。その恩は次世代に向けても返していく義務がある。


というわけで、また仕事に戻りまーす。
昨日は四万十川サイクリング+愛媛自然誌研究会でしっかり充電してきたから、週末に向けてがんばろう!

流れる水のながれつつ澄む

2008-10-12 23:32:56 | ESD
今週から1年生+社会人を対象にESDの授業がスタート。今日は第一回フィールド実習で、25名の受講生と共に都市河川の大川へ。
担当は環境工学で水生昆虫が専門のM先生。今回で3回目になるが、「僕はESDについてはわからないんだけど」と言いながら、生物だけでなく、歴史や生活といった地域資源や、治水や利水の視点も取り入れて、幅広い視点から川を考えていくのがとても面白い。

メインの生物調査は、昨夜の大雨で水が増水していてどうなるかと思ったが、タモアミでガサガサやっていくと、ミズムシ(白癬菌じゃなくてワラジムシの水生のやつ)やヨシノボリ、上流から流れてきたサワガニやゲンジボタル(放流モノ?)、シマイシビル、コガタシマトビケラなど小さい生き物がいろいろ出てきた。
特に、大川フェスティバルをやったあたりは植物も生い茂り、ヤゴがたくさん獲れて「エイリアン祭り」(笑)。

この近くは神社仏閣に歴史遺産も多い地域で、日露戦争時代の捕虜だったロシア人墓地や重信川の治水工事や松山城の建築をおこない、重信川の名前の元になった足立重信公の墓もある。
今回は、種田山頭火の一草庵を訪れて樋又川(今の大川)を詠んだ句を見る。今日のタイトルはそれ。

てなわけで、私も駄作をひとつ。
 
 都市河川 水面を泳ぐは 金木犀

おそまつさまでした~。

興居島の調査

2008-10-07 00:10:01 | 
6日は松山市の対岸にある興居島(ごごしま)へ、松山NPOサポートセンターと環境省松山自然保護官事務所と愛媛生態系保全管理と愛媛大学の合同フィールド発掘調査である。
…と書くとなんだかすごい調査隊だが、要はエコツアーや実習に使えるネタがないか探しに行っただけである。

松山から10分あまりで由良港へ着く。鹿児島~桜島ぐらいの距離である。
車で走ると都市ガスならぬ「ワシガス行き」の看板があり、そこを曲がって鷲ヶ巣海岸へ。しかし…めぼしい植物はない。きれいに植栽された部分もあるけれど、せっかく植えるならハマナデシコやツワブキなど在来の植物にしたらどうだろうか。

島の南にある塩田跡の旧養殖池は30cm以上はあるチヌがたくさん泳いでいた。港へ続く水路にはたくさんの魚が群れていて、しばし魚を見て癒される。
そこで会ったおばあさん曰く「島では年寄りばかりが増えて、みかん畑もやってはいるけれど毎年2~3人が高齢のために廃業している」とのこと。

しまなみ街道でも高知の柏島でも見られた風景だが、ここでも放棄された水田、畑地、果樹園にはダンチクやセイタカアワダチソウが生い茂り、集落には朽ち果てた空家、建ってはいるけれど人気のない家も目立ち、過疎高齢化の現実を表していた。
この島にはESDのコアメンバーであるK田先生が移住して住んでいるが、あと10年経ったら島はどうなってしまうのだろう?

美味しそうな実がたわわに生った石榴と無花果の木に思わずヨダレ~。鵜島でもらったイチジクは美味しかったなぁ~~~。
人の家のものを勝手に採る訳にいかないので、浜辺に生えているツルナを採集して帰る。しかーし、「浜のほうれん草」も季節が悪かったのか、ピリピリする刺激(蓚酸?)があって、食べられるものではなかった

瀬戸内の島々で植物調査

2008-10-01 21:23:20 | 
9月23~24日は愛媛生態系保全管理というNPOで、瀬戸内の島の植物調査へ。今治からしまなみ街道を走って、大島へ。
そこから大島在住の方のボートで隣の島へ。途中、20羽ほどのタカ柱が見られた。ミサゴもたくさん飛んでいたけれど、種類は季節的にハチクマか?

鵜島は、昔は200人いた人口も今は35人だという。放棄水田のほかミカン畑などが残っていた。目についた植物をどんどん書きとめて約120種ほど記録。絶滅危惧種はなかったけれど、外来種は少なかった。
帰りに島の人にもぎたてのイチジクをもらったが、これがすっごく美味しかった!!
イチジク○レーとかつぶやいていたのは誰?

帰りは「船折瀬戸」という島と島の間を通ったが、潮流体験の船が出るぐらい流れの速いところで、穏やかな瀬戸内海と思えないほど波立っていて、場所によっては小さな渦潮も見られた。うぉぉぉ~~。

翌日は、再びしまなみ街道に乗って伯方島の海岸植生を調査。
さらに大三島へ行って港の傍の御串山をクモの巣ややぶ蚊と格闘しながら植物を記録。海岸植生はトカラと似ているものが多くて懐かしい。岬の先端にあった阿奈波神社には子宝祈願なのかリアルなブツが大小多数奉納されていた。
「でかいのう~」と言っていたのは誰?

帰りに再び大島に寄って、展望台から瀬戸内の島々を一望。
島が連なる風景は絶景なり!

今月はあちこちでいっぱい動植物を見られて、かなり幸せ
さて、復習しながらデータをまとめなくちゃ。