secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

メイズ・ランナー(V)

2016-04-07 08:11:12 | 映画(ま)
評価点:45点/2014年/アメリカ/113分

監督:ウェス・ボール

う~ん、どこかで見たことがあるような……。

青年(ディラン・オブライエン)が目覚めるとそこは壁に区切られた森だった。
青年は名前も出自もなにも思い出せなかった。
周りにいた青年たちに囚われた彼は、妙な夢を見ていた。
ようやく名前だけを思い出したトーマスはこの場所のルールを教えられる。
壁の外側はクリーバーと呼ばれる何者かが潜んでおり殺されること。
朝壁の扉が開き、その扉は夜になると閉じられること。
だれもその扉が閉まった後帰ってきた者はいないこと。
トーマスと同じように連れてこられた青年がすでに3年以上も続いていること。
壁の外側は迷路になっており、抜け出すことはできないこと。
壁の外側に興味をもったトーマスは……。

公開当時アメリカで話題になったSFアクション映画だ。
不条理ものとしてのジャンルが確立されたのはいつごろからか。
CUBE」や「バトル・ロワイアル」などがその走りなのか。
最近では、「ハンガー・ゲーム」などもそうだ。
とにかく、この映画もそういう「よくわからない状況をなんとか克服する」という話になっている。

アメリカの若者たちには人気が出たようだが、すでに若者ではなくなった日本人の私にはこの映画はまったくおもしろくなかった。
もしかしたら日本人でもティーンエイジャーならおもしろいとおもったのかもしれない。
暇つぶしにもならないと思うので、これを見るくらいならお気に入りの映画を見直した方がよいのではないかという程度の作品。

ええ、借りた私が悪かったのですよ。
映画に罪はありません。

▼以下はネタバレあり▼

いろんな映画をつぎはぎしてより合わせてみたら、こんなものが完成しました、というような映画だ。
アイデアとしてはおもしろいところもあるが、どう考えても不自然なところが多く、映画の展開も残念な印象をぬぐえない。
まだ続くらしいので、TVなどで放映されていたらつけておいてもいいかな、程度の作品だ。
まさに、ミラ・ジョヴォヴィッチの「バイオハザード」シリーズを彷彿とさせる。

なにもわからないままに閉鎖的空間についれてこられて、その謎を解かされる。
これはまさに「CUBE」まんまだ。
ただ、その閉鎖的空間はかなり広い。
また、コミュニティもできあがっており、メンバーの一人が「ここがおれたちの家だ」と言うほど彼らはその生活に馴染んでいる。

彼らにはなぜここに連れてこられたかわからない。
それだけではなく、名前以外に記憶もない。
しかしところどころの記憶が蘇ることがあり、そのあたりは「バイオハザード」まんまだ。

だから、この映画の仕掛けは、内側と外側がどのようにつながっていくかという興味になっていく。
内側から純粋にどのように抜け出すかということよりも、その抜け出した後にどんな裏事情があるのかが観客の興味となる。
この時点で、この映画は失敗してしまった。
なぜなら、内側のできごとはすべて「作られた物語」であることがわかってしまうからだ。
「バイオハザード」も同じような展開になってしまった。
アンブレラ社がどんな陰謀を働いていたのかという裏事情に興味がいかざるを得ない状況をつくった。
だから、目の前のゾンビは全然怖くないのだ。

クリーバーがどんな恐ろしいものであっても、それが作られた(用意された)ものであることがわかった以上、まったくその点についてどきどきしない。
興味は、なぜそんなやつが迷路の中にいるかという点にしか生まれない。
だって、どうせ生き残るんでしょ? という頭がどうしてもぬぐえないからだ。

物語がここで重層化してしまう。
タマネギの中にまたタマネギがあることを知っているのにいちいち必死に剥こうとしないとおなじことだ。
(いや、ちょっと違うのか)
だから、ノることよりも、シラケることが先行してしまう。
クリーバーにどんな仕掛けがあっても、そこには興味が持てない。

なぜこんなことになってしまったのか。
それは壁の「外側」があることを早い段階から示してしまったからだ。
閉鎖的空間に閉じ込められて、それが延々とひっぱられていけばまだその閉鎖的空間について興味や謎解きが可能だったかも知れない。
最初からWCKDのロゴを印象的に映したり、夢でメイズに入れられる前の様子を描いたりすることで、興味は外側にしか抱けない。
だから、怖くないのだ。

それだけではない。
最後にWCKDの女性がこのプロジェクトの説明をするが、まったく要領を得ない。
まだ謎が隠されているのは確かだが、それでもまったく理解できない。
太陽の影響が強くなり、地球が焼かれてしまった。
さらにウィルスによって人が死んでいく状況があった。
その中で若者の中にそのウィルスに対して耐性を持つ人がいることが分かった。
そのメカニズムを知るために、君たちをメイズに入れ込んだ。

ツッコミどころが満載で、まったくその説明を「ああ、だからか!」とならない。
地球が、人類が滅亡しそうなときに、なぜこんな大がかりなプロジェクトが動くのか理解できない。
そんな大がかりにしなくてもその程度のことなら体育館くらいで事足りるだろう。
よほどの暇なのか、することがないのか、悪趣味なのか。

説明すればするほど無理がでてくる。
だから、外側の説明は「しない」ことに限る。
CUBE」はそれがよかった。
ほとんど外側の説明がなかった。
だから、「あり得るかも知れない」と思えたのだ。

とはいえ、もともとこの映画は続編がありきで作られている。
だから、そういう「我慢させる」展開はできなかったのかもしれない。
ただ、この映画を観て、続編を是非みたいと思わせる展開にはならない。

まあ、もっと気軽に見るべき作品なのは明らかなのだけれど。

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