評価点:89点/1998年/アメリカ
監督:マーク・ペリントン
ラストに絶対茫然自失となる! 珠玉のサスペンス映画。
大学の教授マイケル(ジェフ・ブリッジス)は三年前に、警察官の妻をFBIの誤認捜査で亡くした。
ようやく立ち直り始めたマイケルは、かつての教え子であったブルックと付き合い始めた。
そんな中、偶然子供を助けたことにより向かいの家族と仲良くなり、ふさぎ気味だったマイケルの息子も笑うようになっていた。
しかし、向かいの主人(ティム・ロビンス)の名前オリバー・ラングが実は改名されたものであることを偶然知ったマイケルは、オリバーのことを調べ始める。
すると彼は過去にパイプ爆弾による爆弾未遂事件を起こしていたことに気づいた。
▼以下はネタバレあり▼
稀にある完成度の高いサスペンスである。
いい映画であることは間違いないが、その後味の悪さからそうは認めたくない映画でもある。
しかしその後味の悪さは、完成度の高さを証明するものでもあろう。
非常に展開がうまい。
特に息子がさらわれる時期と真相が明るみになる時期とが重なるために、どんどん緊迫していく様子がよくわかる。
そしてあの結末。
何もハッピーエンドだけがいい映画であるとは限らないことを明確に示した製作者の態度にはただただ敬服する。
その展開を支えている設定もまた巧みである。
妻の事件があり、FBIをうらんでいた。
→最後の「犯人」としての動機の成立。
大学の講義ではテロリズムについて教えていた。
→最後の「犯人」としての可能性が生まれる。
→また隣人の目的に達するための伏線でもある。
だから63人を殺したテロについても詳しかった。
→この前回のテロとの関係性をつかめる位置にいた。
子供が妻の死に対して落ち込んでいた。
→子供のために隣人と仲良くしようと考える動機になる。
などの設定があり、これらが隣人の「計画」をも支えている。
だから冒頭で子供を助けたのも実は全て計算ずくだったのではないかとさえ思える。
もっといえば、引っ越してきたのも計画のうちでかもしれない。
隣人の「計画」と映画としてのシナリオの完成度の高さによって支えられている映画である。
最後のほうのシーンで、子供の乗っている車を追跡しているとオリバーの車が割り込んでくる。
その後殴りあいになり車の後を追う。
その車が発進するとき、敢えて車の後部のランプを写している。
このアングルはかなり不自然なのだが、実は「この中に爆弾が仕掛けられていますよ」という監督からのメッセージなのである。
「お前の車だけが許可証を得ていない」というウィットの台詞によって爆弾の場所がわかるだが、その前に知らせているのである。
映画の完成度は様々なところに表れるが、シナリオの自然さがそのひとつにある。
設定と進行がうまくかみ合えばそれが生まれる。
その自然さが生まれると「もしあのときこうだったら」というようなタラレバの発想はもてなくなる。
「ああ、どうしようもなかったなあ」という、ある種の諦めのようなものが観る側を支配する。
この映画の後味悪さもそうした必然性が生んだものである。
ものすごく結末が悪いので、好き嫌いがあるだろうけど、間違いなく完成度は高い。
こういう映画がもっと評価されてもいいはずだと思う。
こういう人間が増えても困るけど。
隣人のティム・ロビンスは「ショーシャンク」に出ていた人である。
キャラクターの変貌振りには驚くばかりである。
いい役者だなあ、と思う。監督としても活躍しているし、本当に非凡だ。
(2003/01/17執筆)
監督:マーク・ペリントン
ラストに絶対茫然自失となる! 珠玉のサスペンス映画。
大学の教授マイケル(ジェフ・ブリッジス)は三年前に、警察官の妻をFBIの誤認捜査で亡くした。
ようやく立ち直り始めたマイケルは、かつての教え子であったブルックと付き合い始めた。
そんな中、偶然子供を助けたことにより向かいの家族と仲良くなり、ふさぎ気味だったマイケルの息子も笑うようになっていた。
しかし、向かいの主人(ティム・ロビンス)の名前オリバー・ラングが実は改名されたものであることを偶然知ったマイケルは、オリバーのことを調べ始める。
すると彼は過去にパイプ爆弾による爆弾未遂事件を起こしていたことに気づいた。
▼以下はネタバレあり▼
稀にある完成度の高いサスペンスである。
いい映画であることは間違いないが、その後味の悪さからそうは認めたくない映画でもある。
しかしその後味の悪さは、完成度の高さを証明するものでもあろう。
非常に展開がうまい。
特に息子がさらわれる時期と真相が明るみになる時期とが重なるために、どんどん緊迫していく様子がよくわかる。
そしてあの結末。
何もハッピーエンドだけがいい映画であるとは限らないことを明確に示した製作者の態度にはただただ敬服する。
その展開を支えている設定もまた巧みである。
妻の事件があり、FBIをうらんでいた。
→最後の「犯人」としての動機の成立。
大学の講義ではテロリズムについて教えていた。
→最後の「犯人」としての可能性が生まれる。
→また隣人の目的に達するための伏線でもある。
だから63人を殺したテロについても詳しかった。
→この前回のテロとの関係性をつかめる位置にいた。
子供が妻の死に対して落ち込んでいた。
→子供のために隣人と仲良くしようと考える動機になる。
などの設定があり、これらが隣人の「計画」をも支えている。
だから冒頭で子供を助けたのも実は全て計算ずくだったのではないかとさえ思える。
もっといえば、引っ越してきたのも計画のうちでかもしれない。
隣人の「計画」と映画としてのシナリオの完成度の高さによって支えられている映画である。
最後のほうのシーンで、子供の乗っている車を追跡しているとオリバーの車が割り込んでくる。
その後殴りあいになり車の後を追う。
その車が発進するとき、敢えて車の後部のランプを写している。
このアングルはかなり不自然なのだが、実は「この中に爆弾が仕掛けられていますよ」という監督からのメッセージなのである。
「お前の車だけが許可証を得ていない」というウィットの台詞によって爆弾の場所がわかるだが、その前に知らせているのである。
映画の完成度は様々なところに表れるが、シナリオの自然さがそのひとつにある。
設定と進行がうまくかみ合えばそれが生まれる。
その自然さが生まれると「もしあのときこうだったら」というようなタラレバの発想はもてなくなる。
「ああ、どうしようもなかったなあ」という、ある種の諦めのようなものが観る側を支配する。
この映画の後味悪さもそうした必然性が生んだものである。
ものすごく結末が悪いので、好き嫌いがあるだろうけど、間違いなく完成度は高い。
こういう映画がもっと評価されてもいいはずだと思う。
こういう人間が増えても困るけど。
隣人のティム・ロビンスは「ショーシャンク」に出ていた人である。
キャラクターの変貌振りには驚くばかりである。
いい役者だなあ、と思う。監督としても活躍しているし、本当に非凡だ。
(2003/01/17執筆)
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