secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

大脱出

2014-02-14 21:10:10 | 映画(た)
評価点:68点/2013年/アメリカ/116分

監督:ミカエル・ハフストローム

いかんせん絶望感が足りない。

レイ・ブレスリン(シルヴェスター・スタローン)は、セキュリティ会社に勤めている脱獄のプロ。
要するに意図的に囚人となり、その刑務所が本当に脱獄できないかを確認するための覆面囚人である。
そんな彼に、CIAから極秘依頼として、民間の刑務所の調査がきた。
同僚たちは疑っていたが、レイは二つ返事でそれを受ける。
しかし、連れて行かれた先は話にないことばかりで、緊急用の避難コードも通用しなかった。
混乱している彼に、一人の囚人ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネガー)が話しかけてきたが。

言わずと知れた、賞味期限切れアクションスターの二人が本格共演した作品である。
見に行くつもりはあまりなかったのだけれど、「かぐや姫」1本だけではちょっと勿体ないと思ったので時間が合ったこの作品を選んだ。
ネットの評判はすこし頭に入れていったが、ほとんど予備知識無しで見に行った。
だからどのように二人が共演するのかもしらなかった。

この映画に関して言えば予備知識なしのほうが楽しめるだろう。
予告編でかなりのネタバレがあるので注意が必要だ。
アクションよりも、頭脳戦がメインということも、この映画の楽しみを増やしている。
まあ、時間があればいってもいいかな、という感じ。

▼以下はネタバレあり▼

え? 大脱走? ちゃうの?
なんとも分かりにくいタイトルだが原題を直訳すると「脱獄計画」。
それよりは「大脱出」かも知れない。
ともかく、いわゆる脱獄ものである。

冒頭に明らかにされる設定はとにもかくにもチープである。
脱獄のプロというのが職業として成り立つのか、という疑問はなぜかスライ(スタローンのあだ名)を見ると吹き飛んでしまう。
いかにも映画的な導入は、そのまま仕組まれた脱獄以来によってさらにフィクション性が増してしまう。
「ああ、駄作ですね」という失望感は中盤以降、一気に緊張感に変わっていく。

一つは、すぐにこの刑務所から脱出する余地もないことが次々と明らかになっていくからだ。
レイの避難コードが通用しないどころか、上司と所長とがつながっており、脱獄せざるを得ない状態になる。
さらに、(すでに予告編で知っていたが)この刑務所が海上を漂う巨大なタンカーであることから絶対絶命の状態に陥る。

この刑務所はレイが構想を練った「絶対に脱獄できない完璧な刑務所」をデザインしていたものだった。
だから彼が設計したものであっても、脱獄できないのだ。

ここまではとてもおもしろかったが、それ以降はかなり非現実的なものになってしまう。
けれども、そもそもこの映画にリアルさを求めているわけではない。
だから、それほど致命的な欠陥には映らない。
中盤以降はもはやファンタジーである。
囚人の特徴をつかむまではよかったが、物欲を逆に逆手にとり所長を手玉に取り始める。
それは確かにおもしろいが、そこまでアホなのか、とも思ってしまう。

見事脱出すると、そこにはCIAと名乗っていたあの女性がいる。
ロットマイヤーを逃がすために仕組まれたプロジェクトで、脱獄の名手であるレイを意図的に収監させることで、ロットマイヤーとともに脱獄させようと計画されていたものであることが明かされる。
このオチはうまかった。
ロットマイヤーが黒幕であることはわかりきっていたが、これでやたらと質問攻めする彼の態度やどれだけ罵られてもレイを信じ抜く理由がわかるのだ。
スライではなく、シュワちゃんに花を持たせたのも、いかにもスライらしい。

重箱の隅をつつくようにあらを探せばきりがない。
例えばここが本当に刑務所なのかと思わせるくらい「安全」であること。
他の囚人たちは皆模範囚なのかというくらい、彼らに協力的だ。
だから予定外の「マジ収監」でもそれほど怖さがない。
またタイムリミットがないため、大きな危機感を持たせられなかった。

レイが書いたという本の内容もあまり意味をなしていないのが残念でもある。
詳しく書かれていれば、それがヒントになったり逆に絶対に脱獄できないものであることも伝わったりしたかもしれない。
書いたという設定だけではちょっと弱い。

もっとも厳しいのは、この映画がものすごく世界観が狭く描かれているということだ。
ロットマイヤーが黒幕であることを当局の人間だ誰も気づかないなんて、そんなしょうもないことがあるだろうか。
細かい設定が乏しく説得力が弱い作品になっている。

それでも、十分楽しめるような、安定感はある。
二人が共演したというだけで、それだけで、もういいのかもしれないけれども。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 村上龍「五分後の世界」 | トップ | ウルフ・オブ・ウォールスト... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
書き込み、TBありがとうございます。 (menfith)
2014-02-20 22:59:37
管理人のmenfithです。
仕事でデジカメを探していたのですが、見れば見るほど自分がほしくなると言うジレンマに陥りました。
いや、仕事の一環なんで、別にさぼっているわけではないのですが……。
防水・防塵っていいですね。

>けんさん
いつもありがとうございます。
返信遅れて申し訳ありません。

こちらからもTBさせてもらいました。

今後も宜しくお願いします。
返信する
Unknown (けん)
2014-02-16 17:47:03
TBさせていただきました。
またよろしくです♪
返信する

コメントを投稿

映画(た)」カテゴリの最新記事