secret boots

ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

A.I.

2008-08-15 18:57:17 | 映画(あ)
評価点:43点/2001年/アメリカ

監督:スティーブン・スピルバーグ

キューブリックが遺した脚本で、親友であるスピルバーグがメガホンを執った作品。

時は近未来、作業用ロボットが一般化した時代。
植物状態の息子をもつ夫妻に一体のロボットが提供される。
名前はデイビッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)。
彼は完全な人工知能をもったAIだった。悲しみにくれる夫妻は彼を引き取ることに。
しかしその後、実の息子が目覚めてしまう。
必要でなくなった代用品のデイビッドは、孤独を抱えたまま夫妻に捨てられてしまう。

▼以下はネタバレあり▼

非常に残念な作品になってしまっていた。
見るべき点もあったので、単純に良い映画とか、悪い映画とは言えない。
が、強いて言うなら、悪い映画か。

久しぶりに映画館で泣いた。でも問題は泣いた時間帯。
始まって一時間で物語の絶頂に達し、それからはもう泣くような感動は得られない。
この映画は前半と後半で大きく物語の雰囲気が変っている。

前半は捨てられてしまうデイビッド。
後半は冒険するデイビッド。
この落差は大きすぎる。親子愛が描かれるのは前半のみ。
その後は前半のモチベーションでずっと世界を周る。
世界観は確かにすばらしい。
特にポルノの街はいかにもキューブリックらしい。
でも後半の見所はそれだけ。
脈絡なくずっと主人公の「叶いもしない」冒険に付き合わされる。

人間になりたい、という希望が叶うはずがないことは観ている誰もがわかっていること。
それにずっと付き合わされて結局、何万年後の世界で終幕。
これでは物語が終った気になれない。どこか消化不良で終ってしまう。
全然ハッピー・エンドではないし、きちんとした終り方ですらない。
もちろん、それによって異化効果を得る事もできない。

前半に流した私の涙はなんだったのか。
しかも追い求めていた母親は、後半一切出てこない。
回想のみ。クローンとして出てくるが少し無理がある。

しかしもっと問題だと思ったのはテーマの一貫性である。
一体どこを観客に観てほしかったのか。
どの部分が一番主なるところなのか。
全くみえてこない。これなら二本の映画として撮った方が良かったのではないか。

でも単純に悪い映画とできないのも事実。
まず先ほども書いたが世界観。
ジゴロ・ロボットの存在や反ロボット派が非常に説得力があった。
次にそのジゴロ・ロボットのジュード・ロウをはじめとする
名俳優たちのうまさ。もちろんハーレイ君もその一人である。
そしてやはり私を泣かせたという事実は消えないし、そこにいたる過程も無理なく観れた。
そうした点に普通のコケた映画とは違うものを感じることができる。

しかしそれでもキューブリックとしては不本意な内容になったことは確かだろう。
やはりあの落ちはどうにも納得いかない。。。

(2002/07/12執筆)

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