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ネタバレ必至で読み解く主観的映画批評の日々!

板谷敏彦「日本人のための第一次世界大戦」

2019-02-28 15:10:14 | 読書のススメ

ビジネス本のところに平積みされていたのを購入して、じわじわ読んでいたのを、一気に終わらせた。
私にとって歴史はあまり楽しいものではなく、敬遠していたのだが、様々な映画の背景を知るためにも、常識的にも知っておくべきだろうと思って手に取った。
内容はもともと雑誌に連載されていたものであり、読みやすい。

日本人にとっては、戦争といえば太平洋戦争、第二次世界大戦を想像する。
だが、ヨーロッパにとって初めて(ではないのだが)世界規模で起こった戦争、そして近代的な記憶に新しい戦争と言えば第一次世界大戦になる。
この本を読めば、いかに中東の紛争が解決困難なのか、そして白人たちがいかに戦争が好きな競争の原理に基づいて国を作り上げてきたのかが分かる。
また、なぜ日本が第二次世界大戦に参戦していくのか、その萌芽を確認できるだろう。
近代的な国家、帝国主義こそが近代の在り方だと思っていた日本は、いつの間にか蔓延していた、ヨーロッパ諸国の帝国主義への辟易が理解できなかった。
そういう背景が、かなり詳細に語られている。

また、興味深いのはこの世界大戦によってまさに現代的な戦争が技術的にも行われていく。
潜水艦、航空機、毒ガス、鉄道、戦車、そういった現代では当たり前の技術が、この大戦の前後で飛躍的に発展していく。
人々が、欲望をほしいままにして、その欲望の体現を、技術が追いついてしまった時代だったのだろう。
大きな被害を出したことで、フロイトたちが新しい思想を築き上げようとしていく、その契機になったことも理解できる。

世界史や日本史が大嫌いだった私にとって、「無知だった」と反省させる意味でもよい本だった。
まだまだ歴史関係の積ん読が放置されているので、次につなげたい。

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