外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

ビリン村のデモ

2010-12-14 15:15:26 | パレスチナ
私が参加したビリン村のデモは毎回(3回行った)こんな感じだった:

金曜日の12時半くらいに村のモスクの前に集合、地元のパレスチナ人(若い男の子が中心)と共にイスラエル人の活動家や外国人たち(年齢、国籍さまざま、男女半々くらい)が旗をふり、「FREE FREE PALESTINE!」などと叫びながらぞろぞろと行進して、イスラエル兵たちが待ち構えているフェンスの入り口(入植地への入り口)のところまで行き、パレスチナの旗を立てる。そうこうしているうちに、一部のパレスチナ人の男の子たちがフェンスの向こうのイスラエル兵たちに向かって石を投げ始め、その報復としてイスラエル兵たちが催涙ガス弾を雨あられと降らせるので、デモ参加者が後退する。イスラエル兵の攻撃の手が緩むと、また行進を再開するが、すぐまた投石が始まり、ガス弾の雨がそれに続く。1時間くらいするとイスラエル兵もデモ参加者も引き上げて終了。

催涙ガスを吸うと、一瞬息が出来なくなり、目の前が真っ暗になり、涙が止まらなくなり、顔の皮膚全体が痛くなる。普通は少ししたら収まるのだが、吸いすぎた人は呼吸困難になって病院送り。最悪の場合は失明するらしい。おそろしいですね!涙がでても目をこすったり、水で洗ったりするのはご法度で、じっと我慢してやりすごすのが一番良い。アルコールや香水の匂いを嗅ぐのもいいらしい。デモではこの催涙ガス弾がそこいら中に降ってくる。

一度まわりがガスで真っ白になって視界がきかなくなったときに、パレスチナ人の男の子たちが「マッタータ、マッターター!」と叫んで走って逃げ始めたのでとてもこわかった。「マッタータ」とはゴム、つまりゴム弾のことですよ、あなた。ゴム弾に当たったら怪我しちゃうので私も必死で走って逃げた。イスラエル兵は普通外国人を狙わないけど、視界が利かなかったので当たるかもしれないと思って。
ちなみに催涙ガス弾には大きくてスピードの遅いやつと、小さくて速いやつの2種類ある。速いほうに当たると死ぬこともあるので(ビリン村で過去に一人死者が出ている)、国際法で使用が禁じられているが、イスラエルはいまだに使用している。使用期限のすぎたガス弾も使っているらしい。恐ろしい国である。

ビリン村のデモは、入植地とその周囲のフェンス建設により村の農地が取られ、自由に行き来できなくなったことに抗議するために6年前から毎週行われている。国際メディアでも大きく取り上げられ、取られた土地の一部が戻ってきたり、許可証なしでもフェンスの向こうの自分の農地に出入りできるようになったりと、デモの効果は大きかったようだが、村人もいいかげん疲れてきたのか、現在はマンネリにおちいっていると思う。デモのリーダー格のアブドゥッラー・アブー・ラフマが投獄されているせいもあるのかもしれない。ビリン村のデモを救うにはどうすればいいのだろうか?ついでに村おこしも兼ねて・・・。現在の鉄網のフェンスに代わる、コンクリートの壁を建設中らしいし、ビリン村の未来はどうなっていくのだろう。とても気がかりである。あの陽気でフレンドリーな村人たちの幸福を心から願っているが・・・。
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