外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

タムル(デーツ・なつめやし)をめぐるよもやま話

2015-06-13 16:59:25 | グルメ


以前の記事「理想の非常食としてのタムル(デーツ)」で、アラブ・イスラーム世界の寵児であるタムル(デーツをアラビア語でこう呼ぶ)が、滋養豊富で効能の多い食品だと説明した。
そして、地震発生に備えて、非常食用のタムルを買いに新大久保まで出向いたが、あまり好みでないチュニジア産のものしかなくて、結局買うのを諦めたと書きましたね。

それ以来、私はタムルのことを心の片隅で気にかけながら日々を過ごしていたのだが、
そんなタムルなしの寂しい生活(?)にはもうおさらばさ、ふふふ・・・

先日駅前のスーパーで買い物しているとき見つけたのですよ、私のタムルを。


レジで順番を待っていたとき、ふと脇を見たらこんな光景が! 「クレオパトラのデーツ」オマーン産
このパッケージを見ていると、つい「デ~ツやで~っ」などとつぶやいてしまう関西人の自分がいる



日本のごく普通のスーパーのレジ脇にタムルがびっしり並んでいるなんて・・・
これはもしや、ラマダーン前のスペシャルセールか?!(ないない。ちなみに、ラマダーンはおそらく18日から)

ラマダーン中、ムスリムの人たちは日中断食し、日没後に断食明けの食事(イフタール)をとるが、
いきなり食事をしたら身体がびっくりして良くないので、
まず水とタムルなどを口にして一息つき、身体を徐々に食事をする態勢に持っていくのだ。

でもここはムスリムがごく少数派の日本、これはラマダーンとは無関係の単なる偶然でしかありえない。
よく観察したら、いくつもあるレジのうち、私が並んだレジのところだけにタムルが売られていた。
「求めよ、さらば与えられん」
なにかを探しているとき、ふっと目の前にそれが現れることってないですか?
私にはそういうことが、わりとよくある。

家に帰って添付の説明書を読んでみると、タムルに含まれる有効成分の効能が延々と列挙されていた。

いわく、
・エネルギー源となる(ブドウ糖)
・血糖値を急激に上昇させず、インスリンの分泌を刺激しない(果糖)
・骨粗鬆症防止(カルシウム)
・貧血防止(鉄分、タムルに多く含まれる)
・便秘防止(食物繊維)
・視力低下や夜盲症の防止(ビタミンA)等々

そして、「このような栄養素に恵まれたデーツを、毎日、主食として食べている砂漠の民ベドウィンは、驚く程遠くを見る視力などの身体機能に優れ、スリムでガンの問題もなく長寿を楽しんでいるといいます」と付言されている。
いや、ベドウィンたちもタムルを主食にしているわけではないだろうよ・・・主食がこれって、甘すぎるわ。
いくら身体に良くても、食べ過ぎたら糖分過多になってしまう。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですね。

そして、「デーツのおいしい召し上がり方」として、
「口の中で飴のようにしゃぶったり、電子レンジなどで少し温めますと、実も皮も柔らかくなり、
とろけるようなおいしい甘みが口じゅうに広がり、香ばしい、よい味があとに残ります」とある。
これはなかなかの名文ではなかろうか。
説明書を作成した川越市の会社の担当の人の、タムルへの愛と情熱が伺える。

食べてみると、実際美味しかった。乾燥しすぎずベタつきすぎず、程よい柔らかさ。


オマーン産のタムル、気に入った



イタリアでもタムルはクリスマスの時に登場し、ナッツなどと共によく食べられる。
フィレンツェの私の大家さんは毎年タムルを買ってきて、私たち下宿人にも振舞ってくれた。
しかし、当時私はこれがあまり好きではなく、ほとんど手を付けなかった。
ベタベタしてやたら甘いだけの、ゴキブリっぽい色と形の食べ物だと思っていたのだ。
あ、もしかして私は今、言ってはいけないことを口にしちゃったかしら・・・

タムルについて以前書いたとき、ヨルダン在住の友人アブオディ佳子さんから色々情報をもらった。

佳子さんはヨルダン人のご主人や子供達と一緒に、ヨルダン南部の砂漠気候の町マアーンの郊外に住んでいる。
彼らの家の周りには、砂漠のなかのオアシスのような畑が広がり、各種の動物も飼育されていて、
ほぼ自給自足に近い食生活を送っているそう。非常時にはぜひ疎開させていただきたいものだ。
アラブ料理も教えるほどに得意で、いつも大鍋で作り、ご近所に振舞ったりしている。
そんな具合なので、佳子さんは外国人であるにもかかわらず、近所の人々や親戚付き合いもばっちり。
来るものを拒まずの度量の広さから、「ヨルダンの母」として崇められているそうだ。(「ヨルダンの母」の部分は本人談)


佳子さん(大阪出身)のイメージキャラクター「忍たま乱太郎の食堂のおばちゃん」
口癖は「お残しは許しまへんで~」


・・・佳子ネタが長くなってしまったが、その彼女から聞いたヨルダン(特にマアーン)でのタムル関連情報は以下のとおり。

1.ラマダーン中、日没が近くなると路上でドライバーにタムルと水を配るボランティアの人々がいる。
「サビール」と言って、食事も用意されている。単身赴任や学生、貧困者等にも食事が用意され、鍋を持って行って貰う人もいる。

2.こちらでは妊婦が毎日7個食べると母子とも安産という。羊や牛にも食べさせる。
(michi註:タムルを1日7個食べることを預言者ムハンマドが推奨したとハディース(言行録)に載っているようだ)

3.生まれたての赤ちゃんにも耳元でアザーン(礼拝への呼びかけ)とイカーマ(礼拝開始のお知らせ)の文句を聞かせた後、タムルをなめさせる。
これは「タフニーク」といって、赤ちゃんの健康を願って行われる古くからのイスラームの習慣

4.タムルはなんといってもサウジ産が有名で、あの辺が本場。


以上です。他にも色々教えてもらったけど、長くなるので省略や~。


タムル情報が載っているリンク:

NAVERまとめ、アラブの美容食『デーツ』でダイエット成功者急増中!
http://matome.naver.jp/odai/2138879372644481901

アラビア語の情報2つ
http://www.zafafi.com/%D9%81%D9%88%D8%A7%D8%A6%D8%AF-%D8%A3%D9%83%D9%84-%D8%B3%D8%A8%D8%B9-%D8%AA%D9%85%D8%B1%D8%A7%D8%AA-%D9%8A%D9%88%D9%85%D9%8A%D8%A7%D9%8B...-%D8%B9%D8%AC%D8%A7%D8%A6%D8%A8-%D8%A7%D9%84%D9%82%D8%AF%D8%B1%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%A5%D9%84%D9%87%D9%8A%D8%A9?ref=sub_page

http://articles.islamweb.net/media/index.php?id=143055&lang=A&page=article

「食堂のおばちゃん」情報
http://dic.pixiv.net/a/%E9%A3%9F%E5%A0%82%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%B0%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93




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5 コメント

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Unknown (rin)
2015-06-15 15:42:11
まさしく、今、エジプト産のデーツを口にほりこんだとこだよ。
ちょっと柔らかすぎるかなぁ。こんな甘いの、一日7個も食べられないよ。
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Unknown (michi)
2015-06-15 17:00:42
エジプト産、柔らかいのか・・・確かに甘いですね~でもアラブ菓子と同じように、食べ続けていればやがて病みつきになるかも?いや、別にその必要はないんだけど~
返信する
Unknown (チビ。)
2015-06-16 14:27:36
私は干し柿の食感が未だ印象的。
そういえば…大阪の人は豪快で面白いですね(*^^*)

昔大阪の友人が「大阪でな、きっさ店に行くのを ちゃあ しばく っていうんやで(*^^*)」 と言ってたので、なんばの美容室行った時美容師さんにその話をすると
「僕 そんな言葉つかいませ-ん」と引かれました(^^)。
返信する
チビ。さん (michi)
2015-06-17 01:34:29
私もその昔、大阪では「ちゃあ しばきにいく」というと聞いたとき、「ちゃあ しばきにいかへんか?」ってナンパされたら困るよな・・・と思った記憶があります。でもあんまり言わないのかも、ほ。
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Unknown (チビ。)
2015-06-20 03:07:03
そのセリフでナンパは怖いですね(ーー;
私のその友人は「女性」です(^^;;
男性が言っても迫力あるのに。男らしいです…
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