外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

ヌスラ戦線指導者アブ・ムハンマド・ジューラーニのアルジャジーラ独占インタビュー

2015-05-30 16:53:16 | 中東ニュース
(カイロのダハブホテルの子猫の写真。ずっと前にもアップしたような気がするけど、カワイイからまた載せます。むろん記事とは無関係)


今回は久しぶりに中東の話題。
末尾に猫の写真も載せといたので、記事に興味のない猫好きの人は、読まずにそっちだけみていただいても。(細かい気配り~)


5月27日にアルジャジーラ衛星テレビ局の「ビラー・フドゥード」(=無制限)という番組で放映された、
ヌスラ戦線のアミール(=指導者)であるアブ・ムハンマド・ジューラーニの独占インタビューの内容を、おおざっぱに要約してみようと思う。

「ヌスラ戦線」はシリア反体制運動勃発後の2012年1月24日に結成されたアルカーイダ系組織で、
アサド政権打倒を目的として、他のシリア反体制派の諸集団と共に戦っている。ISとは敵対関係にある。
アメリカなどは、ヌスラ戦線をISと同様「テロ組織」として指定している。

そのヌスラ戦線の創始者が、アブ・ムハンマド・ジューラーニ(シリア人)。
この名前は通称で、本名は不明だそうだ。
ウィキペディア・アラビア語版には「1965年生まれ」とあるが、真偽のほどは不明。なお、英語版の方には顔写真が載っている。
ジューラーニはアラビア語で「ゴラン(高原)出身」という意味なので、そちらの出身と推測されるが、これも詳細は不明。
ナゾだらけの男なのね~


これも関係ないカイロのネコ写真。箸休めってやつ?



番組の司会者は、エジプト人ジャーナリストのアフマド・マンスール氏。
アラブ世界で名が知れ渡っている司会者だけあって、
巧みな質問展開で、ジューラーニをぐいぐいと力強く誘導していく。
見事だ。弟子入りしたい。(ウソです)

インタビューはシリアの反体制派支配地イドリブで行われたとのこと。
ジューラーニーは黒い布を頭にかぶり、顔が映らない形で撮影された。

1時間に渡るインタビュー内容をカッコよく要約する実力も気力も体力も私にはないので、
ジューラーニの発言の要旨を羅列するにとどめる。
発言の下にたまに現れる(み:うんぬん)の文章は、私の個人的なコメントです。


(ジューラーニ発言要旨)
番号は便宜上付けたもので、インタビューの順序とはあんまり関係ないです。

1.最近の「ファタハ軍」(シリア反体制派の7集団がイドリブで結成した連合軍)が制圧したイドリブやその郊外諸地域は、
沿岸部(アラウィー派多数地域)に対する第1防衛線として、戦略的に重要な意味を持つ。
沿岸部にはカルダーハがあるが、(ラタキア県カルダーハは、ハーフィズ・アサド前大統領の生地)
カルダーハで終わりではなく、最後の戦いはダマスカス戦だ。

2.アラウィー派の人々は、スンニー派の大勢に対して虐殺、拷問、強姦等を行った。
しかし我々は復讐はしない。イスラームは寛容な宗教だ。
我々はアラウィー派を「イスラームから逸脱した宗派」だとみなすが、今のところ我々が戦う相手は、武器を取って戦闘に従事している者だけだ。
アラウィー派の村々が「宗教的な誤りを正し、武器を置いてアサド政権と決別する」と決定したら、彼らは我々の兄弟となり保護対象となる。
投降したアラウィー派戦闘員たちも同様で、武器を捨ててアサド政権との決別を誓ったら、家族の許に無事に帰している。

(み:今のところって、どういうこと?将来的にはどうなん)

3.(南部の)反体制派の支配下にあるドルーズ派の村々について言うと(ドルーズ派とは、イスラームのシーア派から派生した秘教的宗派)、
ドルーズの人々はアサドを支援せず、戦闘に参加しなかったので、我々は手出ししない。
彼らは宣教の対象であり、我々の宣教師を派遣した。

(み:ドルーズの人達がその宣教を無視し続けたらどうなるんやろ)

4.キリスト教徒は、その大半がアサド政権を支持しているが、
アラウィー派の場合と同様、今のところ我々が戦うのは、武器を持って戦闘に参加する者たちだけだ。
将来的に、シャリーアに基づイスラム国家を建設した場合、ジズヤを支払うことになるが、
支払い能力のないものは払わなくてもよい。

(み:ジズヤのこととか、先のことを色々考えてるんだね、ヌスラ)

5.我々は国家や団体、情報機関等からの資金援助を一切受け取っていない。
無条件の資金援助は存在せず、金をもらうと自由に決定が下せなくなるからだ。
但し、個人からの寄付は受け付けている。
アサド軍からの戦利品や、解放地域での交易等で費用はまかなえる。シリアは豊かな土地だ。

6.アルカーイダの指導者アイマン・ザワヒリ師からの指示は、
「アサド政権とそれを支援するヒズボラ等の同盟勢力を倒し、他の反体制派勢力と協力して正統なイスラーム国家を建設せよ。
シリアを欧米を攻撃するための基地にしてはいけない」というものだ。

7・アメリカはアサド政権をあらゆる面で支援し、我々に対する空爆において連携している。証拠写真もある。

8.アサド政権が倒れたら、ヒズボラも倒れる。
ヒズボラはそれをよく知っているから、命運をかけて戦っている。
我々はレバノンの全勢力に、アサド政権とヒズボラの打倒に向けて我々と共に戦うように呼びかける。

(以上)


インタビュー映像(YOUTUBE)
https://www.youtube.com/watch?v=-hwQT43vFZA


1時間の番組内では質問が終了しなかったということで、
来週もこの番組で、インタビューの続きを行うようだ。

最後に司会のマンスール氏はジューラーニに、
「顔を出してくれと、しつこくお願いしたけどダメでしたね。次回までにこの問題が解決していることを願いますよ」
と、親しみを込めた満面の笑みで語りかけていた・・・。

次回、どうなるんだろう。本当にやるのか?顔を出すのか出さないのか?
番組中にアメリカに空爆されたら洒落にならんよな・・・


さて、それではここらでネコ写真を。


隣の駅付近の駐車場で以前見かけた猫に、昨日再会した。
駐車場のそばの居酒屋の看板の裏に隠れたのを、私は見逃さなかったわ



覗き込むと、置いてあるキャットフードを食べていた。ここの飼い猫なのかな



よくみるとけっこう美猫かも


コメント (7)
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