マグリットの空と雲

旅,空,猫,馬,Champagne&美酒,美食,art,色,海&船…時にsurrealな、好きなもの写真雑記帳。

12月全世界公開 "SAYURI"の試写会へ

2005-10-31 | Movie/映画
全世界でベストセラーになったアーサー・ゴールデン原作小説[Memoirs of a Geisha]の映像化で話題になる作品。
欧米版の本の装丁は、芸妓の唇のクローズアップ、“白粉に朱の紅”がエロティックだった。

わたしには北欧に育ち日本文化に憧れるハーフの従姉がいるのだが、彼女に「これ読んでみて、感想聞かせて!」と薦められて読んだ。
原語で読んでみて、日本文化と芸者の世界をリサーチしたという米国人の著者が、高価な着物の柄や織を英語で表現しようという試みには感心した。
源氏物語でいくら、衣装や調度品を詳らかに描写されていても、多くの人にはさらっと読み流されてしまうくらいなのにだ。
下唇のみ差す舞妓の紅の流行があったとか・・主人公“さゆり”は、易学で?つけた名で漢字では“佐・酉・理”と書くとか・・
よくまあ英語で説明したものだ。

けれど・・
あとがきに、取材協力した東京の芸者さんの名なども列記してあったが・・やはり、欧米人から見た好奇の目で描かれていることは否めず、「語られるべきではない世界」と前置きして禁断の世界を面白おかしく綴ったお伽話という印象を受けた。
舞台は戦前戦後の京都、関西の~電器の会長とか、~男爵、第二次大戦を経て、かなりリアリティのある設定で“芸妓と舞妓”を語っているのは明らか。
まぁ英語で“Geisha”なのは仕方ないとして、貧しい漁村で育ったさゆりは、何故か“Watery”で美しい水色の瞳を持っている。
それが、“水”の相でパワーを持つとか“木”の相の姉と対照されて、陰陽?と結びついている。
排他的な戦前の日本を考えたら、そんな変わった眼を持っていたら差別されたかもしれない。
だが、皆一様にその“美しい眼”に魅了されるのだ。欧米人の意識ではないか。
主人公は“青い眼の芸者”なのだ。
置屋、水揚げ、襟替え、特殊な世界の特殊なシステムを、理解か誤解か・・うまくお伽の世界に逃がしているのかもしれないが。

その映画化権が取り沙汰された時には、マドンナの名も挙がったりした。。
ハリウッドが創る映画じゃ、どうなることやら、と思っていたら・・
S・スピルバーグ製作、ロブ・マーシャル監督ときた。
それはつまり“ファンタジー”と割り切って観ろということか。。
さらに、欧米人からも見れば、アジア人はみな同じに映る。
主人公さゆりがチャン・ツィーに決まり、?マークの数が増えた。。。
もちろん、日本人キャストで大真面目に作る作品ではないが、、英語を喋るチャン・ツィーの芸妓姿?
びみょ~(--;

もはや・・とくに期待もしてなかったのだけれど、たまたま答えたアンケートで当たったので、先日行ってきた。

―ネタバレ注意(感想のみだけど)―
原作を読んだ人なら、とりあえず、奇妙な設定を理解できるだろうが、残念ながら、原作での“良さ”は映像ではほとんど無視されていたようだ。
一応衣装は着物風だが、着付けは粋とは違う艶かしさだし、中国の宮廷みたいな髪の上げ方だし。

そして、まったく予備知識のない人には戸惑うところも多いのではないかと思う。
途中に入る変な日本語のあいさつ、都ことばではなく、標準語なのも耳障り。
竜宮城のつもりなら[KILL BILL]みたいな変な日本語はいらないのに。。
エンターテイメントではどうか?[CICAGO]のロブ・マーシャル、“舞い”も“都をどり”も“Dance Show”に変貌していた。
チャン・ツィーは[Lovers]でも激しく踊っていたっけ。。

スピルバーグのファンタジーになりきれず、中途半端なのが残念だ。
原作では、この“Memoirs”回想録は、NY・マンハッタンのペントハウスで語られている。
この導入部を残していたら、そこから語られる物語がもっと壮大なファンタジーになるのではないかなぁ。

まぁ辛口ばかり続いたが・・CGで創られた壮大な“都”、桜の庭・・映像はかなり綺麗な映画だ。

そして、脇を固める“Chairman”会長・渡辺謙さんのダンディな雰囲気、置屋のおかあさん・桃井かおりさんはスゴイ存在感。いい!

さて、この映画、試写会の反応でどこまで変わるのだろうか?
世界ヒットするのだろうか?


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