弊所は、株主が外国法人や外国人、というお客様が多いので、議事録も「電話会議」や「書面決議」にすることが多いです。
実際は株主が集まって総会を開いていないのに、開いたかのような議事録を作成するよりは、事実に即していて、良いと思います。
さて、ここで、問題です。
「取締役等の解任決議は、書面決議(会社法319条:総会の決議の省略)でできるか?」
答え:勿論、できます。
しかし、当該取締役が少数といえど株主でもあったら、難しいでしょう。
取締役等の解任は、議決権のある株式の過半数以上の出席があり(1/3まで軽減可能)、出席株主の議決権の過半数以上の賛成があれば(軽減不可、加重可能)、決議できます。
しかし、書面決議とすると、「株主全員の同意」があって、決議があったことをみなされるので、自分が解任されることを、この取締役であり株主である方にも、同意してもらわなければなりません。
そんな同意をして下さるでしょうか?果たして。
株主は、海外に散らばっているし、どうしましょうか?
開催地が本店所在地でなくても良くなって、良かった・・・しかし、
もし総会を開くとすると、きっちり招集通知(いつもはわりと"Waiver" (株主総会招集手続き省略同意書)で済ませていた)も作らないと、決議無効で訴えられかねません。
また、所有している株式を手放して頂けるか?
こればっかりは、ご本人の意思次第なので、株主総会でも決議できません。
便利だと重宝していたつもりの書面決議でしたが、限界を垣間見たような気がしました・・・。
注:ここで言う書面決議とは、会社法319条のことであり、311条の「書面による議決権の行使」とは違います。
森本綾乃司法書士事務所-M.D.Law Office (http://www11.ocn.ne.jp/~mdlaw/index_jp.html)
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