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東京シティ・フィル第63回ティアラこうとう定期(2月20日)

2021年02月21日 | コンサート
ベルリン・フィルの首席指揮者ペトレンコのアシスタントを務めることになり大ブレイクした沖澤はるかを客演に迎えるはずだったが、残念ながらこのコロナ禍で来日が果たせず、この楽団の常任指揮者高関健が曲目変更なしで代演した定期演奏会。思い起こせば高関もベルリンでカラヤンのアシスタントとしてキャリアをスタートしたことを考えると、何か因縁のようなものを感じる。さてプログラムは250年のドイツ・オーストリア音楽史を串ざすような堂々たるもので、最初からモーツアルトの交響曲第40番ト短調。コントラバス8本、チェロ8本という大型で低音重視した編成で臨んだこの40番はまさにベートーベンへと繋がる音楽史を音にしたような堂々たる演奏だった。メヌエットをアレグロという表示通りに快速で通し、続く終楽章Allegro assaiながら遅めにテンポ設定し、立派な構成感を引き出したことが興味を引いた。続いて日本ピアノ界のプリンス金子三勇士が登場して、お得意のリストのピアノ協奏曲第2番イ長調。「お得意」とは言っても、この曲自体は演奏会の曲目に載ることは大層珍しい。その理由はいささかとりとめ無い構成と、同時にかなりの難曲だということがあると想像するが、抜群のテクニックと若々しいロマンティシズムをいかんなく発揮して実に輝かしく、聞き応え十分に仕上げていたことには大層関心した。かけね無しに素晴らしいピアニストである。ブラボーを禁じられた盛大な拍手にアンコールはシューマンの「献呈」のトランスクリプション。これも実に見事!決して嫌味に感じさせない爽やかなグランドマナーは今ならではの持ち味だろう。ここで休憩を挟んでR.シュトラウスの交響詩「死と変容」。実に良く鳴るが細部は決して団子にならずに明快に響くキリッとした仕上げ。これは昨今のシティ・フィルの充実ぶりを体現した快演だった。

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