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日本オペラ協会「ギジムナー時を翔ける」(2月21日)

2021年02月22日 | バレエ
昨年逝去した故中村徹作曲のユニークな傑作が久方振りに追善公演として上演された。前回の上演が2001年だから実に20年ぶりということになる。今回は沖縄の血を引く粟国淳のニュー・プロダクションで、中心となるがじゅまるの古木や、緑の森と紺碧の海とオレンジ色の瓦、それにプロセニアム上方から吊るされた4本の長い紅型模様の反物が、登場人物が話すうちなーぐち(沖縄語)とともにローカル色をいやがうえにも強調した舞台だった。そうした島の風景が舞台一杯に展開するなかで、”うちなんちゅ”(沖縄人)を含む芸達者な歌役者によって演じられた舞台は実に秀逸なもので、そんな舞台にあらためて自然の尊さを教えられたといっても良いだろう。特筆すべきは、この二日目ではカルカリナをソプラノでなくテノールの中鉢聡が演じたことである。中桐かなえ(ソプラノ)のミキオとの掛け合いに重要なメッセージが多く含まれていることもあり、カルカリナをテノールにしたことの効果はすこぶる良く出ていたと感じた。それにしても濃いキャラクターでカルカリナを演じ歌った中鉢の芸達者ぶりは嬉しい発見だった。まったく堂にハマった秀逸のピットは星出豊指揮する東フィル。この演目は1994年の初演からこのマエストロの専門のようになっている。こうした良い公演で観ると、あのヤナーチャックの名作「利口な女狐の物といより語」とのダブって聞こえてきた。ただ、大団円の村人揃ってのカチャーシーは、もう少し「らしく」踊ってくれたらな~と、これは贅沢な希望。

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