二年に一度の新国立劇場からのクリスマスプレゼントである。クリスマスイブの大都会新宿に舞台を据えたクララの夢物語として描くこの牧阿佐美演出・振付の「くるみ」は、いつ見ても大人も子供も楽しめる夢一杯の名舞台である。初役の長田佳世の繊細な金平糖の精、そして相手役マイレン・トレウバエフの優雅な王子がとりわけ印象的だった。新進井田勝大の指揮は、バレエ指揮者らしいといえばそう言えるのだろうが、いかにも箱庭的なスケール感の無いものだった。舞踏の間尺に合わせることが最低の条件であることは承知してはいるが、時間的な要素でないところでの表現の工夫がもっとできないものだろうか。この作曲家の本来の持ち味である華麗にして雄大な音楽が、この美しい舞台を支えることができたら、感動は二倍にも三倍にもなったであろうと残念に思った。
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