前々回のエントリーでも告知しましたが、先週末、恒例のチューリップ・ショーが、オークランドにあるセメタリーのチャペルで開催されました。今年も、地元のフローリストを中心に、26組の作品が並んだのですが、僕も大きめの作品をひとつ展示したので、今回はその報告を兼ねてエントリーをアップしたいと思います。
このショーの開催期間は金曜日から日曜日の三日間だったのですが、作品のセットアップは前日の木曜日。午後4時から200人ほどのゲストを招いてのリセプションが開催されるので、遅くとも3時半までには作品を仕上げなくてはなりません。
今回も開催者の好意で、僕のために会場内で一番大きなスポットを確保してくれたので、それに見合う大きな作品を作成したのですが、さすがに大きなものは、ショップで予め作ってから会場へ持ち込むことは不可能・・・。と言う訳で、今回も、花器やら花材やらを現場へ持ち込み、そこで作品を生け込みました。
当日の予定としては、昼過ぎくらいに会場へ行く予定だったのですが、先週はこのイベントのほかにも、大きなパーティの仕事やウェディングの打ち合わせなど、自分でも信じられないくらいの過密スケジュール。結局午前中の仕事が午後にまでずれ込み、会場に到着したのは午後2時半・・・。そう、一時間で仕上げなくてはならない事態に。
いままでにも時間に追われながらの生け込みを数多くして来ましたし、一時間もあれば今までの経験と持ち前の集中力を発揮して作成することは十分に可能なのですが、やはり何事も時間に余裕を持って臨みたいですよね。その上、この日はちょっとした予想外の出来事があったのです。
会場に着き、いざ生け込みを始めたとき、僕の視界の端の方に、このチャペルの管理人のオジさんが僕の方へ歩いて来るのが見えました。このオジさんは話し好きで、話しだしたらどーにもこーにも止まらないタイプ。しかも、民主党やグリーン党支持者の多い、リベラルな土地柄のベイエリアでは珍しい、バリバリの共和党支持者。ブッシュ万歳、同性婚?そんなものは認められん! 中絶するオンナはみんな牢屋へぶち込んじまえ、っていうタイプ・・・ 決して根は悪い人ではないのですが、リベラルな僕には面倒な相手・・・。そんなこんなで、去年も僕をひたすら悩ませたのです。そのオジさんが僕をめがけて歩いてくるではありませんか! ヤバ過ぎ・・・。
心の中で、どうか僕に話しかけませんように、通り過ぎてくれますように、と祈るのも空しく、僕の予感はビンゴ。
オジさん(以下、オ)「よ、にーちゃんじゃねーか。去年もこの一番いいスポットを陣取っていたよな? どういうコネがあるんだい、え?」
M「あ、どーも。ドリーン(このショーの責任者)が好意で取っておいてくれたんですよ」
オ「ゲージツみたいなもんは、俺にはちっともわかりゃしねーけどよぉ、こんな俺にも、にーちゃんの作るものは、ほかのやつより格段上を行っていることくらいはわかるわけよ」
オジさん、僕の周りでも生け込みをしている人がたくさんいるので、声のボリュームをもう少し下げた方が・・・。
僕としても、のんきにオジさん相手に話をしている余裕もないので、さっきからしきりに、「あと一時間で仕上げなくちゃいけないので、集中しないと」なんてさりげなくオジさんに「あっちへ行ってくれー」とヒントを送りまくっているにもかかわらず、当然のことながら、僕のことなんてお構い無しに一方的に話かけてきます。ここは持ち前の集中力で乗り切れ、マシュウ。がんばれ。
オ「この大きな花瓶の中には、後で金魚を入れるんだろ、にーちゃん?」
本当にどーでもいいようなことを次から次へと話し掛けて来やがります・・・
オ「にーちゃんは、この仕事に就いてどれくらいになる?」
M「10年くらいっすかねー」
オ「俺は、ここで働いて今年で26年目だ。今はひたすら定年を指折り数えて待つのみよ。こんな仕事クソくらえだ。月曜日も早朝から二人焼きゃなきゃいけないっしよぉ。やってられねぇ」
え?二人焼く? 何それ?
話を聞いていると(・・・って聞いている場合じゃないんだけど)、てっきりこのチャペルの管理人だと思っていたこのオジさん、実は、このチャペルの裏にある火葬室で、遺体を火葬するのを仕事にしていることが判明。
オ「つい最近まで、旧型のオーブン(そっかぁ、オーブンって呼ぶんですね)を使っていたんだけどよぉ、昔のやつは小さな窓が付いていて、中でちゃんと焼けているかどうか確認しなくちゃいけなかったのよ。でも、今は最新式でコンピュータ制御。時間も短縮されるし、楽なことは楽なんだけどよ、それでも途中に一回ドアを開けて、ボディを裏返しにしなくちゃいけねーわけよ。そうすりゃ、骨になるまで一時間くらい短縮できる。民主党のやつらは、なに、地球温暖化だなんだとほざいているけど、俺様だって、こんなところでちゃんと協力してるってのに、ゴアの野郎、テネシーの豪邸の月々の電気代が1000ドルを超えるって言うじゃなねぇか。民主党は信用できん! ふざけるんじゃねぇよな?」
さっきから話半分に聞きながら、作品の生け込みに集中していた僕ですが、火葬の話にちょっぴりだけ興味津々(異常?)。ヤバい、集中力が途切れる! 集中、集中!
オ「あ、そうだ、さっきも言ったけど、月曜日に焼くときに、見に来るかい、にーちゃん?」
M「いや、結構です・・・。焼けている遺体見るの、怖いし」
オ「焼けている遺体? そんなもん、ただの焼けた肉の塊よ。そんなものを怖がってどーする、にーちゃん」
そんなこんなで、せっかくの招待は丁重にお断りし、集中力を駆使して作品を無事作り上げました。
そして、出来上がりはこちら。
僕の作品の後ろにもほかのデザイナーの方の作品が陳列されているので、作品同士が重なりあい、写真だと少々見づらいかもしれませんが、雰囲気だけでも。
一応、分かりやすいように、斜め前から撮ったショットも載せておきます。
今回は、背の高いガラスの花器を5つ左右比対称に配置し、その上に、リバーケーンで編んだフレームをセット。そのフレームに、コーラルがかったオレンジ色のチューリップとビバーナムをデザインし、最後に、葉の部分を全部取り除いたプルモサを絡め、その蔓の部分に、アジサイをグルーで留めました。アジサイが、チューリップの周りをふわふわ飛んでいる蝶々みたいで奇麗でしょう? 訪れた見物客からも、多くのお褒めの言葉をいただき、今年も大成功に終わりました。
ケヴィンも僕の作品の前で記念に一枚。
ところで、土曜日の午前中に、ショップでウェディングの打ち合わせがあったのですが、この日の打ち合わせにいらしたブライドは、なんとベイエリアに在住の日本人の方。実は、このLiSFを読んで下っていたらしく、先日メールをいただいたのです。そんなわけで、彼女(まきこさん)のウェディングを僕が手掛けることになったのですが、ブログを通してこんな素敵な出会いがまたひとつありました。嬉しいですね。まきこさんも、打ち合わせのあと、このショーに立ち寄って下さいました。
そして、最終日の日曜日には、やはりこのブログを通して知り合ったひろくんと彼の友人、及び、先日メールをくださったノックスターさんたち御一行様もお見えになり、とても楽しい時間を過ごすことができました。みんな、どうもありがとう!!
ケヴィンは僕がいろいろな方と話している間、チャペルの外に咲き乱れるチューリップを写生。
この日は、4枚を描きました。
キレイなチューリップの水彩画。一番右側の一枚は、僕のもの!
最後に、ノックスターさんのお友達のkazumiさんがご自身のブログ内で、このショーのことを取り上げて下さいました。リンクを貼っておきます。みなさんも、是非、ご覧になってみてください。
こちら。
kazumiさんが撮って下さった、僕の写真。今年の目標は、「シブいオトナのオトコになる! なってみせる!」だったのですが、童顔が祟って、その目標を達成するのはどうやら無理そうです・・・(泣
聞いたところによると、地元の新聞が取り上げてくれたこともあり、大盛況に終わった今年のチューリップ・ショー。連日、700人近い来客があったそうです。めでたし、めでたし。
みなさんも、素敵な春をお過ごしくださいね。
このショーの開催期間は金曜日から日曜日の三日間だったのですが、作品のセットアップは前日の木曜日。午後4時から200人ほどのゲストを招いてのリセプションが開催されるので、遅くとも3時半までには作品を仕上げなくてはなりません。
今回も開催者の好意で、僕のために会場内で一番大きなスポットを確保してくれたので、それに見合う大きな作品を作成したのですが、さすがに大きなものは、ショップで予め作ってから会場へ持ち込むことは不可能・・・。と言う訳で、今回も、花器やら花材やらを現場へ持ち込み、そこで作品を生け込みました。
当日の予定としては、昼過ぎくらいに会場へ行く予定だったのですが、先週はこのイベントのほかにも、大きなパーティの仕事やウェディングの打ち合わせなど、自分でも信じられないくらいの過密スケジュール。結局午前中の仕事が午後にまでずれ込み、会場に到着したのは午後2時半・・・。そう、一時間で仕上げなくてはならない事態に。
いままでにも時間に追われながらの生け込みを数多くして来ましたし、一時間もあれば今までの経験と持ち前の集中力を発揮して作成することは十分に可能なのですが、やはり何事も時間に余裕を持って臨みたいですよね。その上、この日はちょっとした予想外の出来事があったのです。
会場に着き、いざ生け込みを始めたとき、僕の視界の端の方に、このチャペルの管理人のオジさんが僕の方へ歩いて来るのが見えました。このオジさんは話し好きで、話しだしたらどーにもこーにも止まらないタイプ。しかも、民主党やグリーン党支持者の多い、リベラルな土地柄のベイエリアでは珍しい、バリバリの共和党支持者。ブッシュ万歳、同性婚?そんなものは認められん! 中絶するオンナはみんな牢屋へぶち込んじまえ、っていうタイプ・・・ 決して根は悪い人ではないのですが、リベラルな僕には面倒な相手・・・。そんなこんなで、去年も僕をひたすら悩ませたのです。そのオジさんが僕をめがけて歩いてくるではありませんか! ヤバ過ぎ・・・。
心の中で、どうか僕に話しかけませんように、通り過ぎてくれますように、と祈るのも空しく、僕の予感はビンゴ。
オジさん(以下、オ)「よ、にーちゃんじゃねーか。去年もこの一番いいスポットを陣取っていたよな? どういうコネがあるんだい、え?」
M「あ、どーも。ドリーン(このショーの責任者)が好意で取っておいてくれたんですよ」
オ「ゲージツみたいなもんは、俺にはちっともわかりゃしねーけどよぉ、こんな俺にも、にーちゃんの作るものは、ほかのやつより格段上を行っていることくらいはわかるわけよ」
オジさん、僕の周りでも生け込みをしている人がたくさんいるので、声のボリュームをもう少し下げた方が・・・。
僕としても、のんきにオジさん相手に話をしている余裕もないので、さっきからしきりに、「あと一時間で仕上げなくちゃいけないので、集中しないと」なんてさりげなくオジさんに「あっちへ行ってくれー」とヒントを送りまくっているにもかかわらず、当然のことながら、僕のことなんてお構い無しに一方的に話かけてきます。ここは持ち前の集中力で乗り切れ、マシュウ。がんばれ。
オ「この大きな花瓶の中には、後で金魚を入れるんだろ、にーちゃん?」
本当にどーでもいいようなことを次から次へと話し掛けて来やがります・・・
オ「にーちゃんは、この仕事に就いてどれくらいになる?」
M「10年くらいっすかねー」
オ「俺は、ここで働いて今年で26年目だ。今はひたすら定年を指折り数えて待つのみよ。こんな仕事クソくらえだ。月曜日も早朝から二人焼きゃなきゃいけないっしよぉ。やってられねぇ」
え?二人焼く? 何それ?
話を聞いていると(・・・って聞いている場合じゃないんだけど)、てっきりこのチャペルの管理人だと思っていたこのオジさん、実は、このチャペルの裏にある火葬室で、遺体を火葬するのを仕事にしていることが判明。
オ「つい最近まで、旧型のオーブン(そっかぁ、オーブンって呼ぶんですね)を使っていたんだけどよぉ、昔のやつは小さな窓が付いていて、中でちゃんと焼けているかどうか確認しなくちゃいけなかったのよ。でも、今は最新式でコンピュータ制御。時間も短縮されるし、楽なことは楽なんだけどよ、それでも途中に一回ドアを開けて、ボディを裏返しにしなくちゃいけねーわけよ。そうすりゃ、骨になるまで一時間くらい短縮できる。民主党のやつらは、なに、地球温暖化だなんだとほざいているけど、俺様だって、こんなところでちゃんと協力してるってのに、ゴアの野郎、テネシーの豪邸の月々の電気代が1000ドルを超えるって言うじゃなねぇか。民主党は信用できん! ふざけるんじゃねぇよな?」
さっきから話半分に聞きながら、作品の生け込みに集中していた僕ですが、火葬の話にちょっぴりだけ興味津々(異常?)。ヤバい、集中力が途切れる! 集中、集中!
オ「あ、そうだ、さっきも言ったけど、月曜日に焼くときに、見に来るかい、にーちゃん?」
M「いや、結構です・・・。焼けている遺体見るの、怖いし」
オ「焼けている遺体? そんなもん、ただの焼けた肉の塊よ。そんなものを怖がってどーする、にーちゃん」
そんなこんなで、せっかくの招待は丁重にお断りし、集中力を駆使して作品を無事作り上げました。
そして、出来上がりはこちら。
僕の作品の後ろにもほかのデザイナーの方の作品が陳列されているので、作品同士が重なりあい、写真だと少々見づらいかもしれませんが、雰囲気だけでも。
一応、分かりやすいように、斜め前から撮ったショットも載せておきます。
今回は、背の高いガラスの花器を5つ左右比対称に配置し、その上に、リバーケーンで編んだフレームをセット。そのフレームに、コーラルがかったオレンジ色のチューリップとビバーナムをデザインし、最後に、葉の部分を全部取り除いたプルモサを絡め、その蔓の部分に、アジサイをグルーで留めました。アジサイが、チューリップの周りをふわふわ飛んでいる蝶々みたいで奇麗でしょう? 訪れた見物客からも、多くのお褒めの言葉をいただき、今年も大成功に終わりました。
ケヴィンも僕の作品の前で記念に一枚。
ところで、土曜日の午前中に、ショップでウェディングの打ち合わせがあったのですが、この日の打ち合わせにいらしたブライドは、なんとベイエリアに在住の日本人の方。実は、このLiSFを読んで下っていたらしく、先日メールをいただいたのです。そんなわけで、彼女(まきこさん)のウェディングを僕が手掛けることになったのですが、ブログを通してこんな素敵な出会いがまたひとつありました。嬉しいですね。まきこさんも、打ち合わせのあと、このショーに立ち寄って下さいました。
そして、最終日の日曜日には、やはりこのブログを通して知り合ったひろくんと彼の友人、及び、先日メールをくださったノックスターさんたち御一行様もお見えになり、とても楽しい時間を過ごすことができました。みんな、どうもありがとう!!
ケヴィンは僕がいろいろな方と話している間、チャペルの外に咲き乱れるチューリップを写生。
この日は、4枚を描きました。
キレイなチューリップの水彩画。一番右側の一枚は、僕のもの!
最後に、ノックスターさんのお友達のkazumiさんがご自身のブログ内で、このショーのことを取り上げて下さいました。リンクを貼っておきます。みなさんも、是非、ご覧になってみてください。
こちら。
kazumiさんが撮って下さった、僕の写真。今年の目標は、「シブいオトナのオトコになる! なってみせる!」だったのですが、童顔が祟って、その目標を達成するのはどうやら無理そうです・・・(泣
聞いたところによると、地元の新聞が取り上げてくれたこともあり、大盛況に終わった今年のチューリップ・ショー。連日、700人近い来客があったそうです。めでたし、めでたし。
みなさんも、素敵な春をお過ごしくださいね。