先週のこと。天気もよかったので、散歩がてら上野に行った。この前に行ったのがいつだったかはっきりしないが、しばらくぶりになる。
今回の目的はおそらくほとんどの日本人がどこかで見たことのある「鮭」の絵を見ること。
筆者ももちろん教科書等でお馴染みだが、実物を見るのは初めて。
高橋由一は1828年生まれ、明治維新を迎えたのは40歳のとき。洋画家としてはまさしく第一世代といってよい。由一に続く世代の黒 . . . 本文を読む
前回更新から1週間が経ってしまった。
残念ながら今年のゴールデンウィークも過去の話になってしまったが、連休後半の報告続報。3日目に新日本フィル創立40周年記念演奏会を聴いた翌日、連休最終日は国立新美術館へ。
この日は2つの展覧会をハシゴする予定。
まず「セザンヌ-パリとプロヴァンス」。
セザンヌは、美術史上の功績の大きさは分かるものの、その作品には個人的にあまり魅力を感じていない。特に静物画での . . . 本文を読む
会期が始まるのを待ちかねていた展覧会がようやく開幕したので、早速足を運んだ。
この展覧会は「手紙」をモチーフとする、17世紀オランダの絵画が出展されている。
出展作のなかには、ヤン・ステーンやピーテル・デ・ホーホらの秀作も含まれており、17世紀オランダ絵画の黄金時代を俯瞰しうる内容となっているが、個人的には、といより展覧会を訪れた人々のほとんどは、3つの作品を目的としているのだろう。
「手紙を . . . 本文を読む
国立博物館から移動して、西洋美術館へ。
日本でゴヤを観たのはおそらく2回。どちらも「プラド美術観展」に出展された作品だ。2回目はこのブログを始めた後で、レビューも残っている(2006-06-18「プラド美術館展@都美術館」)が、1度目の西洋美術館での「プラド展」の時期は覚えていない。
そしてあともう1回、ゴヤを観たのは2004年マドリードを訪れた時、プラド美術館においてだ。プラドは言わずと知れたゴ . . . 本文を読む
先週末は上野で展覧会をハシゴした。
まず足を運んだのは国立博物館の「特別展 法然と親鸞 ゆかりの名宝」。
筆者の実家は浄土宗なのでこの2人には昔から比較的親しみを覚える。
法然上人800回忌・親鸞750回忌を契機として開催された展覧会で、なかなか興味深い美術品が展示されているようなので、足を運んだ。
展示は4つのセクションで構成されている。
第1章 人と思想
第2章 伝記絵に見る生涯
第3章 . . . 本文を読む
夏休み中は混んでいることを見越して9月以降に行こう、などと思っているうちに機を逸してしまい、気がつくともう会期が終了してしまう、というので慌てて出かけた。
出展作の大半は神もしくは人間の像と表面に彩色された壺の類で、「古代ギリシャ」といわれて想像する通りのものが並ぶ。とはいえ、これだけの量の実物を目にできる機会は貴重だろう。
印象に残ったのは今回の出展作のなかでも、最も古い年代のものの一つであ . . . 本文を読む
青木繁といえば、教科書でお馴染みの「海の幸」と夭折した天才画家というイメージ、あとは「わだつみのいろこの宮」くらいしか知識がなかったし、その「海の幸」も実際に目にしたことはなかったので、この展覧会を観に、はじめてのブリジストン美術館へ行った。
没後100年に開催されたこの展覧会は39年ぶりとなる大規模な回顧展で、5つのセクションに分かれている。
第1章は美術学校在学中の作品から画壇デビュー当時 . . . 本文を読む
レッスン(参照:2011-07-10「レッスン その7」)の後、猛暑の中しかも楽器を持ちつつ美術館へ向かった。この日の目的地は国立近代美術館。そういえば、ここに足を運ぶのも久し振りだ。
ここでのお目当てはパウル・クレー。東京では数年前に展覧会が開催されたはずだが(参照:2005-12-04「パウル・クレー」)、行き損ねてしまったので、今回はなんとしても足を運ぶつもりだった。(とはいえ、実は情報収 . . . 本文を読む
この展覧会のHPなどを見て、出展作品の大多数が版画で、油彩は少数だという情報を得たので、あまり期待はしていなかったが、とはいえレンブラント。やはり足を運んだ。
これが予想以上の素晴らしさ。まず油彩の質・量ともに高水準で楽しめた。特に初めて観る初期の傑作「アトリエの画家」は、単にアトリエに居る画家を描いた肖像画にも室内画にもとどまらず、「絵画」の概念そのものに肉薄したという点で、フェルメール「絵画 . . . 本文を読む
2009年に運慶作品全点制覇を決意して以来、実際に目にしたのは「釈迦如来像頭部」(参照:2009-04-06「阿修羅展@国立博物館」)と「重源上人坐像」(参照:2010-10-16「特別展「東大大仏‐天平の至宝‐」@国立博物館」)の2点だ。
そして今年、運慶作品を観ようとする者には絶対に外せない展覧会がある。
その展覧会、金沢文庫での運慶展に足を運んだ。この展覧会に出展されている運慶作品は実に7 . . . 本文を読む
クリムトやシーレ、クレーなど、基本的に19世紀末から20世紀初頭にかけて革新的なスタンスで仕事をした人たちの作品は好きだ。カンディンスキーも例外でない。その作品をまとめて観られる機会であり、勇んで丸の内へ出かけた。祝日の丸の内は広々として歩きやすく、快適だ。
ミュンヘンは一度訪れたが、レンバッハハウス美術館には行く時間がなかった。今回の展覧会のほとんどの作品はこの美術館からの出展ということで、全 . . . 本文を読む
一昨日は川崎でコンセルトヘボウを聴いたのだが、その前に横浜で美術館に行った。
オルセー美術館の改装というタイミングもあって、今年の東京は空前の「印象派イヤー」となった。今年になってからだけでも、「ボストン美術館展」、「マネとモダン・パリ」、「オルセー美術館展」、「ポーラ美術館展」、「ゴッホ展」と観てきたが、これが今年最後の「印象派系」展覧会となる。一年の経つのは早いものだ。そして年々加速する気が . . . 本文を読む
空前の印象派イヤーとなった今年の東京だが、六本木ヒルズでのボストン美術館展、三菱一号館美術展でのマネ展、国立美術館でのオルセー美術館展、横浜美術館でのポーラ美術館展、さらに夏休みの特別編としてひろしま美術館と大原美術館と観てきて、予定していた展覧会も残り後2つ。この日はそのうちの1つ、ゴッホ展に行った。
ゴッホの作品を目にすることはさほど珍しくもないけれど、今回くらいまとめて、しかも体系的に観ら . . . 本文を読む
大仏が来るわけでもないのにこの特別展のネーミングはいかがなものか、という若干の違和感を覚えつつ足を運んだ。
展示は多岐にわたり、東大寺を多角的に知ることができて楽しめた。
現在、東大寺が建っている土地に以前存在していた寺院の瓦などの考古学的遺物も見応えがあったし、誕生釈迦仏立像や金鈿壮大刀などの寺宝にも目を奪われた。また、能面のルーツの一つと思われる、開眼式で使用された伎楽の面が残っていることも . . . 本文を読む