月下の道標
光と闇が映し出す心象的夜の風景と日常的自然風景







SIGMA DP2



生まれてからずっと会っていなかった父

私の中では父の存在などなかった



末期ガンで先が長くはないと聞いても
会いに行こうとは思わなかったが




父が死ぬ前に聞きたいことがあった


それが聞きたいと
会いに行ったのだが


父は目を合わせることも
話しかけてもくれなかった




それから一週間

父の容態が悪化した




苦しむ父の手をさわった


力ない手で私の手を握り返したその手は

まるで私の手だった


同じ感触


血のつながった父なのだと思った



父のそばにいた4日間

最後まで何も話せなかった


親子の溝を埋めるには短すぎた時間




目をあわせない父
話しかけてもくれなかった父

最後まで父親らしいことはしてくれなかった




何もかもが悔しかった

父として
娘として




4月25日
父が死んだ

父の親族の厚意で葬儀に出させてもらった
家族として


心の中で整理がつかぬまま


それでも
私の人生の中で
ひとつ区切りがついたように思える




終わったのだ









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コメントありがとうございます

気持ちが落ち着いたら
ゆっくり返信していきたいと思っています
ごめんなさい




いつもありがとう








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