今日は、ブログ読者のみなさんに、改めてお話したいことがあります。
改めて・・・・と言うのは
そんなこと、あったりまえじゃないという内容だから
しかし・・
その、あたりまえのことがあたりまじゃない事実があるということを、あえてお話したいと思います。
一昨日の朝、8時頃のこと、我が家のチャイムが鳴りました。
多頭の我が家は、トイレの砂やフードなど、ほとんどのネコ用品を宅配してもらっているため
ほぼ、毎日の午前中、宅急便のおにいさんがやってきます。
しかし、その日は違いました
デジカメを手にしたご近所の男性・Sさんの来訪でした。
『忙しい時間に悪いけど、この写真見てくれる?』
と見せてくれたもの・・それは見るからに衰弱しているキジトラのネコちゃん
その日の早朝、彼が新聞を取りに玄関を開けたら、お庭のプランターにもたれかかっていたそうです
『首輪をしているから、どこかの飼い猫だと思って・・・あなたのネコじゃない?』
Sさんは近隣のお宅を一軒一軒、写真を手に飼い主を捜して歩いておられたのです
我が家はその日、保護猫の里親さんがお見合いにいらっしゃる日で、一緒に探す事はできないけど
とにかくネコちゃんを見に行くことにしました
お庭の一番陽の当たる、暖かい場所に置かれた段ボールの箱にその子はいました
中には、これまたあたたかそうなフランネルの衣類が・・・
『触ったら冷たかったから、とっさに自分のパジャマを脱いでくるんだんだけどね』
庭に行き倒れているネコに、自分の着ている物を脱いでくるむなんて
なんて優しい人でしょうか
その気持ちが、とてもうれしくて、お手伝いを申し出ました
持参したad缶を口元に持って行くと、咳き込むように食べ始めましたが
量的にはほんの少しだけ
そしてまた、疲れたように目を閉じてしまいました
痩せてゴツゴツとあばらの浮き出た横腹が、呼吸のたびに、つらそうに動いています
私はSさんと相談して、ふたりで手分けして助けようと決めました
私はネコちゃんを獣医さんに連れて行く
Sさんは飼い主さんを探す・・です
定年を迎えられ、今はパートタイムでお仕事されているので
時間は調整できると言ってくださいました
そのネコちゃんは、素人の私が見ても、末期の腎不全
骨がさわれるくらいにやせて、貧血特有の冷たいからだ・・長くないことがすぐにわかりました
でも、できることはしてあげたい
苦しまずに、過ごしてもらいたい
そう思って、獣医さんに連れて行きました
診断の結果、やはり末期の腎不全
突然、悪くなったわけではなく、慢性腎不全でじわじわと弱って来たんだ、との診断
今は、からだをあたためて、輸液をして、静かに静養しています
苦しい延命治療はせず、残された時間を安らかに過ごすケアです
でも
あの子は首輪をしていました
(『いました』というのは、外して、それを手に飼い主を捜しているから)
首輪をしていた、ということは飼い主さんがいたはずです
しかし・・その首輪は汚れ、外そうとしたらボロボロと崩れてしまうくらいに古いものでした
こんなにやせてしまうまで、一体どこにいたのでしょう
いなくなったことに、飼い主が気がつかないわけがない
外出自由の子だったとしても、具合が悪い愛猫が帰らなかったら、探すのが普通だと思います
それに何より、今まで全く見かけた事のない子でした
もしかしたら、棄てられたかもしれない
もしかしたら、散歩に出たまま帰れなくなって、ごはんを食べられずに弱って来たのかもしれない
もしかしたら・・・もしかしたら・・・いろいろな状況が考えられます
ここまで書いてきて、私が強く言いたいのはひとつだけ
お願いだから棄てないで
人間の愛情を知ったあと、その人に棄てられた子の悲しみや苦しみがわかりますか
それなら、もともと人間の愛情を知らずに生きて来た子の方が、まだマシじゃないですか
やむを得ない事情で、飼い続けられなくなることがあるのはわかる
私自身、里親募集をしているのでわかります
でも、あきらかに具合が悪い子を、どうしたら見捨てられるのか・・
健康で飼いやすい、素直な子は里親さんにお願いし、ケアの必要な子や繊細な子は自分で見るのがあたりまえ
でも、都合の悪い事は隠し、押し付けたり棄てたりすることは後を絶ちません
これは理屈ではありません
頭ではそういう事実を理解しようとして、理解しているつもりではいるけれど
私の心は絶対に YES と言う事はない
このキジトラの女の子の飼い主を探しています
もしも、ずっと探していた、最後に会えて良かった、と思ってもらえたら、この子の魂は救われる
でも、見つからなくてもかまわない
私が飼い主になるから
私のところで、できるだけのことをして、私のところで見送るから
でも今は、キジトラちゃんが病院から戻って来られるかどうかが問題です
ちいさないきものは、人間の心を癒し和ませてくれます
あなたは、自分のペットを癒し、和ませてあげていますか
さんかくお耳のこどもたちは、いつだって飼い主を信じているのです
どうかそれを忘れないでください
(文中『さんかくお耳のこどもたち』というフレーズは、茨城在住T さまが愛猫を称されたことばです。
愛情あふれるところからお借りました)