動物は、豊かな感情をもっている。ネズミはくすぐられると笑う。カササギは墜落死した仲間を木の葉でおおって、死を悲しんでいるように見える。ザトウクジラのメスは、年に一度女子会をして、そのために何千キロも旅をする。幼いチンパンジーは、棒きれを赤ちゃんに見たててごっこ遊びをする。・・・・・動物にも、考えたり記憶したり、理解したりする認知機能がある。その驚くべき証拠がどんどん集まっている。今や研究者が問題にするのは、動物は考えているのかどうかではない。どんなふうに考えているかだ。同じくらい大切なことだが、動物の認知能力を評価するときに、人間の偏見がさまたげになっていることがだんだん認識されてきた。
この本を読んでいると、動物がどれだけ心豊かで賢いかがよくわかる。多くの生きものが仲間の命を優先したり、お礼に贈り物をしたり。何なく数を数えたり・・・。
人間が知的生命体の頂点に立っているといううぬぼれなど、どこかに消えてしまう。
「私たちが観察しているのは自然そのものではない。私たちが問いかける方法に合わせて自然を見ているのだ」
これはヴェルナー・フィルポッツという人の言葉。
まったくその通りだな。