贈与は差出人からみれば、たしかに「届かなかった手紙」かもしれません。ですが、受取人の視点に立つならば、贈与は「届いていた手紙」になるのではないでしょうか?それは、届いていたことに気づかなかった手紙。あるいは読むことができなかった手紙、と言えます。
僕らはいつも他者からの善意を見落としてしまう。というよりも、愛は、それが愛であるならば、見つからないように、気づかれないように、手渡される。愛はサンタクロースのプレゼントのように、その正体を隠したまま、僕らのもとへやってくる。
だとしたら、僕らにできることは、「届いていた手紙を読み返す」ことではないでしょうか。
私たちが手にするものは誰かからの贈与であり、これまでも、今も、十分に与えられているのだということに気づくこと。
「無い」ことではなく、十分に「ある」ということに気づくことで、私たちの心はどれほど豊かになるだろう。
昔上映された「ペイ・フォワード」という映画が本の中で紹介されていて、是非観てみたいと思った。