理性を強め、人間として成熟すれば、寿命が尽きる二年前には、もう自分を解放してもいいでしょう。不安や心配から自由になり、死におびえることもなく、長生きのための努力も辛抱も遠慮もいらない。ほんとうに自分がやりたかったことができるのが、寿命が尽きる二年前です。考えようによっては、人生の中でもっとも自由で自立した時間といえるかもしれません。
それがいつかわからないから困るんだと言う人には、こう応えましょう。
「それは今でしょ」
まちがっているかもしれませんが、そう考えても損はないはずです。二年以上あれば、それだけさらに自由な時間が過ごせますし、二年以下だったとしても、その期間を心配や不安で不自由に過ごすことを免れたのだし、ぴったり当たっていたら、それこそ理想の二年をすごしたことになります。
最悪なのは、死の直前まで長生きのための努力や我慢や節制を続けて、貴重な時間を無駄にすることです。さらには、最後の最後に医療に頼って、自ら無用の苦しみを背負い込むことです。
著者は小説家でもある現役の医師。
老後の不安に備えてひたすら今を犠牲にすることは、あまりにも空しい。
自分の寿命があと一年となると、色々まとまったことをするには少し時間が少なすぎるが、二年あれば結構色々出来るというのが著者の意見。
私も全くその通りだと思う。
あと二年を常に意識しよう。
そうすれば物事に優先順位もつけやすいし、我慢ばかりの人生と無縁で生きられるのではないかと思う。