井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」

2018年06月26日 | 映画

表題は、江戸川乱歩が好んで色紙に記していた言葉で
端的に乱歩ワールドを表しているかと思います。

昨夜、奥山和由版「RAMPO」を観て、たけし映画(「ソナチネ」)に見る
暴力性のかたわらに、こんな耽美を裡に隠し持って
いらっしゃるのかと、いよいよ奥山さんという
お付き合い初めの方に興味をそそられたのでした。
また、まかせた監督の作品が気に食わないと、自ら
撮り直す気迫とやんちゃぶりも好もしく。
同じ台本に拠る違う監督の二作が同時上映され、
それも話題を呼んでヒットとなったようなので、
かたわら、プロデューサーとしての計算もあったのかなぁと下衆の勘繰りを
したりもしていますが、面白い。
自作版の上映時は、香水を館内に漂わせたそうで、嬉しさに絶句
します。

本木雅弘くんと羽田美智子さんが、特筆すべき美しさです。

夜の夢の中で息し続けられればよいけれど、目が覚めれば
しらじらとした現実。乱歩というひとは、しかし人の数倍
夜の時間が長い、至福の人であったかと思われます。
ふと、泉鏡花を思い出したりもするのですが。

美に耽る映画が払底しています。そういえば、可愛がって頂いた
鈴木清順先生も、美学に殉じる方でした。

 

誤変換、他の地ほど。


3 コメント

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所作の美しさ (れん子)
2018-06-26 18:04:56
井沢先生、こんにちは。
久しぶりにコメントさせていただきます。
とは 申しましても
こちらには毎日お邪魔させて頂いております。

更新があった日は、ワクワク、
なかった日は、既存の記事を何度も
じっくりと
読ませて頂いております。

一つ前の記事ですが、
動画を拝見いたしまして、一言お礼申し上げたく
コメントいたしました。

待ちわびる群衆の中に滑り込んで来た
ベンツから先生が降りてこられます。

そして、周りの状況を御覧になって
少し驚かれたご様子、、。

その後が、素晴らしく、感動しました。
日本人として誇らしいです。

驚かれた
先生は、すっと、背筋を伸ばした後
微笑んで美しいお辞儀をなさいます。

レッドカーペットを歩まれながら
軽くお辞儀をなさっておられます

沢山の方と並んで、写真を撮りながら
和やかに 微笑んで周りを柔らかい
雰囲気になさっています。

隣の人を御覧になる表情、
たおやかに、そして強さを秘めて
立っているお姿が
とても、嬉しく 誇らしく。

一つひとつの所作が美しく、
この国を代表して行っておられるように
見える立場にあって、
謙虚さと、正々堂々、とにこやか、と
すべてを見せて頂いて
嬉しく、ありがたかったです。


また和服姿が、この場に映えて
「正しい!」という感じがして。

大きな西洋の人の中にあって
一歩も引けを取っていらっしゃらず
引けを取るどころか、

この、大ヒットしているミュージカルの
原作者としての貫禄にみちあふておられました。

所作というのは
一朝一夕に身につくものではない事を思えば
日本人の 綺麗な姿を
とっさの場で スムーズにお出しになれる
先生の在りようの美しさに感激しました。

もし、これが
来年から象徴としてこの国に
君臨なさる気 満々のあの
お二人が同じ状況下にあったら

下車の後ギョっとして
それから、目をキョロキョロ、
顔はニラニラ姿勢はペコペコ、
お手をパァにして
同じリズムで振りながらカニ歩き、
きっと、恥ずかしい事態になるんだろうなぁ、、

としみじみ考えておりました。

なにもあの方達を引き合いに出す必要は
ないのですが、やはりこんな風に映像で
拝見すると、つい せめて先生の
この所作の美しさの三分の一でも
かの方達がお持ちであれば、としみじみ
考えてしましました。

金粉、多分周りに沢山出てたでしょうね。
ありがとうございました!
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れん子さん (井沢満)
2018-06-26 21:38:36
身に余るお言葉に答えるすべもございませんが・・・・
位住まいを正すことは常日頃、心がけていても
ついしどけなくなるので、いただいたお言葉に
身が引き締まります。
返信する
RANPO (総太郎)
2018-06-27 16:36:10
先生のイタリアでの御様子、れん子様がよく観察してらっしゃり感心・・。


RANPO もVHS が廃盤のままで、残念ですね・・。

確か奥山監督版は佐々木原保志さんが撮影で
それ以前に、奥山さんが担当された和泉聖治監督「南へ走れ海の道を」のカメラワークを信頼された起用ではないかと。

文士たちが集うパーティーの場面等、大下英治先生や深作欣二監督ら多数の著名人が御出演されているのも奥山さんの人徳でしょうね。

黛監督版も森田富士郎先生の撮影で、「映像京都」の素晴らしい職人の方々が携わられているだけに、改めて見比べたいです。

大谷信義会長ら、松竹首脳陣の方々のお怒りが鎮まり、何れ奥山さんと和解してくだされば、私達ファンの理想なのですが・・。

暴論かも知れませんが、奥山さんにもう一度松竹でもプロデュースを願いたい気持ち・・。
(御本人も周囲も嫌でしょうが)

何れにしましても、素晴らしい作品の封印だけは解いて頂きたい気持ちです。
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