井沢満ブログ

後進に伝えたい技術論もないわけではなく、「井沢満の脚本講座」をたまに、後はのんびりよしなしごとを綴って行きます。

「憲法改正」にこれ以上、民意を問うても無駄ではないだろうか?

2018年09月19日 | 歴史・政治

石破茂氏の「防衛論」については、自民党本部に於いて石破氏から直接、
少人数による講義を受けた身としては、石破氏のその分野における
博識なことに浅学の私は脱帽するし、個人攻撃の意図もない。

ただ、総裁選における安倍氏批判の言葉の一つには、首を傾げる。

安倍氏の憲法改正案に九条二項の削除が入っていないことへの疑義には
全面的に賛同する者ではあるのだが、しかし呉越同舟状態の
自民党に於いて九条二項削除への道は果てしなく遠い。
とりあえず第一段階として、自衛隊の存在を違憲ではないと
することが急務だとする安倍氏の姿勢が理想ではないものの、
実践的ではないだろうか。まず一段階目をクリアして
自衛隊を国軍の位置に引き上げるべきだろう。

石破氏は現状でも、自衛隊は違憲とはされていないという
意味のことを仰るのだが、学者による違憲論が一方に大手を振っている
現状、憲法に拠る明文化は必要ではなかろうか。(私ごとき
素人が憲法を読んでも、正直なところ違憲であろうと思われる)

「現実問題」として、時と場所によっては自衛隊が
甚だ肩身の狭い思いを余儀なくされているのだから。

政府見解は「憲法9条第1項では自衛戦争は放棄されていないが、
第2項の戦力不保持と交戦権の否認の結果として全ての戦争が放棄されている
とする立場をとりつつ、交戦権を伴う自衛戦争と自衛権に基づく自衛行動とは
異なる概念である」とし、「このうち自衛権に基づく自衛行動について
憲法上許容されているとの解釈、を取っているのだが牽強付会の観は免れない。

流動的な判断であり、政権が変われば解釈が変わってくるごとき危うさと脆さを
石破氏はお考えだろうか、と私ごとき素人が言うのも僭越なのであるが、国民の
一人としての素朴な危惧である。

また石破氏は、憲法改正論議がまだ尽くされていない段階で
いきなりの憲法改正への踏切りは国民に対して失礼
であろう(大意)と、おっしゃるのだがしかし国民に
これ以上、論議をやる意志と興味があるだろうか。

自民党の党是がそもそも憲法改正である。
自民党支持は、とりもなおさず憲法改正賛成票である、
というのは乱暴であるだろうが、しかし党是に掲げた
党を支持するというのは、論理的には支持とみなしても
さほどの逸脱とは、私は思わない。
何しろそのために結党された、としている党への
支持なのだから。

党の政綱として「憲法改正」が明文化されたのが
昭和30年(19551年)1月15日のことである。
実に63年がすでに経過しているのである。

これ以上、どれだけの歳月をかけて「民意」を問うのだろう?
半ば永遠に憲法改正へと民意が熟することはなかろうと
思われる。

いかに言葉を尽くそうと、政府は憲法については真実を
述べられない立場にある。「憲法は、戦勝国GHQが日本弱体化のために
押し付けた憲法である」というシンプルな事実を言える立場にはない。
「占領諸法制を再検討し」という政綱の一文が、漠然とそれを
示唆しているに過ぎない。
となれば、核心の説明を欠いたままいかに国民に説こうと、
自主的に憲法の成り立ちを学んだ国民にしか、憲法改正の必要は
理解できないだろう。

だから安倍総理の、とりあえず自衛隊を解釈などに左右されない
不動の位置づけを、という姿勢はそういう意味でも間違ってはいない、と私は思う。

以下が自民党の政綱である。この機会に読んでみるのもよかろう。
末尾の青文字が憲法改正に関する件(くだり)である。

 

党の政綱

昭和三十年十一月十五日

  1. 一、国民道義の確立と教育の改革
     正しい民主主義と祖国愛を高揚する国民道義を確立するため、現行教育制度を改革するとともに教育の政治的中立を徹底し、また育英制度を拡充し、青年教育を強化する。
     体育を奨励し、芸術を育成し、娯楽の健全化をはかって、国民情操の純化向上につとめる。
  2. ニ、政官界の刷新
     国会及び政党の運営を刷新し、選挙制度、公務員制度の改正を断行して、官紀綱紀の粛正をはかり、政官界の積弊を一掃する。
     中央、地方を通じ、責任行政体制を確立して過度の責任分散の弊を改めるとともに、行財政の簡素能率化をはかり、地方自治制度の改革を行う。
  3. 三、経済自立の達成
     通貨価値の安定と国際収支の均衡の上に立つ経済の自立繁栄と完全雇用の達成をはかる。
     これがため、年次計画による経済自立総合政策を樹立し、資金の調整、生産の合理化、貿易の増進、失業対策、労働生産性の向上等に亘り必要な措置を講じ、また資本の蓄積を画期的に増強するとともに、これら施策の実行につき、特に国民の理解と協力を求める。
     農林漁業の経営安定、中小企業の振興を強力に推進し、北海道その他未開発地域の開発に積極的な対策を講じる。
     国際労働憲章、国際労働規約の原則に従い健全な労働組合運動を育成強化して労使協力体制を確立するとともに、一部労働運動の破壊的政治偏向はこれを是正する。
     原子力の平和利用を中軸とする産業構造の変革に備え、科学技術の振興に特段の措置を講じる。
  4. 四、福祉社会の建設
     医療制度、年金制度、救貧制度、母子福祉制度を刷新して社会保障施策を総合整備するとともに、家族計画の助長、家庭生活の近代化、住宅問題の解決等生活環境を改善向上し、もって社会正義に立脚した福祉社会を建設する。
  5. 五、平和外交の積極的展開
     外交の基調を自由民主主義諸国との協力提携に置いて、国際連合への加入を促進するとともに、未締約国との国交回復、特にアジア諸国との善隣友好と賠償問題の早期解決をはかる。
     固有領土の返還及び抑留者の釈放を要求し、また海外移住の自由、公海漁業の自由、原水爆の禁止を世界に訴える。
  6. 六、独立体制の整備
     平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う
     世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外国軍隊の撤退に備える。
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GHQの押しつけ憲法ではないとする意見もあるが、当時の敗戦国としての実情を
鑑みれば国体の基本たる憲法作製を日本人に無条件に委ねられたとは思えない。
 
日本弱体化のために、ありとあらゆる施策を行ったGHQが憲法だけを100%
敗戦国日本の自主独立圏内に置いたと
いうことはあり得ないだろう。
 
日本国憲法の創案者はマッカーサー(GHQがと言ってもいい)であるというのは、
事実である。幣原云々他が言われるがGHQの圧制下では、傀儡に過ぎない。
 
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