続き
江戸中期には既に行われていたと言う野沢の道祖神火祭り
この祭は平成5年、日本の三大火祭りとして重要無形民俗文化財に指定されました


温泉街で一暴れした松明が火祭り会場へと運ばれてきますと
先ずは灯篭が組み立てられます
この灯篭は前の年に子供を出産した家では感謝の意と我が子の成長を祈願し奉納する決まりなのだそうです


高さにして9メートルの灯篭が3基、真っ暗な夜空に浮かび上がりました
相当アルコールが入っている男衆はそれでもなお酒を酌み交わし、そして唄います

夜を徹して建てられた社殿の屋根の上には42歳の厄年の男衆
社殿の前には25歳の厄年の男衆
これから始まる攻防戦を前に挑発の雄叫びを上げ既に敵を迎え撃つ準備態勢に入っておりました


セレモニーが始まる迄の一時
「これが日本のお祭りよ! 凄いね」とアチコチで記念撮影
その内、社殿の近くが人だかりとなり
係員の「これ以上前に出ないで下さい」の指示通り真面目に構えていた私はは何時の間にかカヤの外
「ここが最前列だと思ったのに、そんなぁ
」

その時です
「ちょっとゴメンよ」と言いながら人垣を掻き分け掻き分け私を最前列まで引っ張ってくれた祭関係者
これをラッキーと言わずして何と言いましょうか
「ありがとう」の言葉が届いたかどうか振り向けばもうその人の姿は何処にも有りませんでした





盛大に花火が打ち上げられ勇壮な道祖神太鼓が夜空を切り裂きました
深く重い響きです
離れてしまった雄さんは何処にいるのかしら、太鼓が見える位置に居るのかしら
「さぁ皆さん、いよいよ火祭りが始まりまーす
危険ですから、もう少しお下がり下さーい」
必死に叫び出ようとする観客を押し戻す係員



しかしその声も空しく観客は下がるどころか増々前へ前へと押して来ます
観客席は右に左に波打ち前にロープが無ければ、そのまま倒されてしまいそうな勢いです
何時の間にか私は前に居る頑丈そうな係員にしがみ付いていました



赤々と燃えた松明が次々と社殿に向かってきます


社殿に火を点けようと振りかざして迫る村の男衆
それを阻止しようとする厄年の若集
飛び散る火の粉
荒っぽい攻防戦が始まりました



激しいのは彼らだけでは有りません
観客席も凄まじい押し合いへし合いの攻防が続きます
ジックリカメラを向ける余裕などなく自分の体を守るのに必死な1時間半でした
これ以上、ここに居ては危険かもしれない・・・
そう判断し係員にロープを持ち上げて貰いどうにか脱出
取り囲む観客の後ろを通り高台へと移動する事にいたしました
運の良い事に此処で雄さんとバッタリ
「寒いのでもしかして“たか”が旅館に戻ったかもしれないと旅館に引き返した」と雄さん
私の方は寒いどころじゃ有りませんって
押される体を守るのに精一杯でむしろ熱いくらい


高台に設けられた警察官の待避所にいきますと
ここでも運よく一人の警察官が邪魔にならない所ならば入っても良いと言って下さったので
遠慮なくそのお言葉に甘える事にしました
さぁいよいよ今日のクライマックス
社殿に火が放たれました


そして火が高々と夜空を焦がし火祭りは最高潮に達します
灯篭が徐々に飲み込まれるように進み全てを燃やして幕は閉じられたのでした

また来年も 命有るなら来年も

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火祭りのクライマックスがあったのですね・・
前回の記事もすごかったが、続きがこれが本格的な始まりか!!熱い!あの道祖神太鼓聞きたかったわ~!!
ぞくぞくしただろうな~ありがとうございました。
すごい臨場感がありました。迫力がすごい~!!
ものすごい迫力のドキュメンタリー撮影ですね。
いのちがけの迫力があります。
火の勢い、祭り男たち。厄年の男衆。観客。
手を引いて良い場所まで連れて行ってくれたとは、いったいたかさんは、どんないでたちだったのでしょうか?
きっと特別撮影隊のような格好ですか?
写真と文の臨場感が読むものまで祭りの興奮に曳き入れます。
すごい!こんな生きた火をみたのは初めてです。
写真から火の粉の熱さが伝わってきました。
ありがとうございました。
私も来年行ってみたくなりました。
手に汗握りました!
凄いですね。祭り参加者ばかりでなく、見物の人々までも加わって
押し合い、へしあいの凄まじい攻防戦とは!
祭に火が加わると、ただでさえ興奮するものだと思いますが
社殿に火を付ける攻防戦とは!どんだけ盛り上がるのでしょう!?
喧嘩火祭りで、私も火が付いちゃいました。体力があるうちに一度見に行きたいです^^
其方のお祭りは 有名で一度出掛けたいとは思って居ましたが 中々時間を作れて居ません
写真楽しませて頂きました
写真もお見事ですが
こういうお祭りもあぅたんだ・・
知りませんでした
有難うございました
群馬ってイイな~
写真と解説と丁寧にレポートしていただきありがとう!!
皆さんが書かれてるようにすごい迫力と臨場感
まさに目の前で繰り広げられてるようでした
はじめて見せてもらった野沢温泉の文化遺産
こちらでも喧嘩祭のようなものはありますが
全然規模も参加者も違いますね
参加者も男の子が生まれた家とか厄年の男衆とか・・
決まりもまた昔からのものがあり歴史ですね
ずっと拝見してきましたがコメントが遅くなりました
雄さんと二人 楽しんでいますね
うらやましいですよ
なんか 人の心を湧き立たせる
不思議な魅力ありますね
むかし 夜は火を焚いて野獣から身を守ったと
きいたことありますね
やはり 火に対する畏敬の念は 今なを変わりませんね
神秘的なお祭り
楽しまれたことでしょう
お断り
”イケメン”
上手いなあ~ 早速 拙宅の タイトルに
使わせていただきました(^^)/
それは序奏に過ぎませんでした。
社殿を燃やそうとする者とそれを阻止しようとする攻防は
凄まじいと言える戦いの祭りでした。
これも厳し過ぎる環境(寒さ)が生んだ内なる激情なのでしょうか。
きっと、こうして野沢の若者は強くなっていったのだと思います。
でも手に持っていたのはバカチョンカメラですからね。
有り得ませんね。
多分、羨ましそうな顔をして放心していたのかもしれません。
>写真と文の臨場感が読む者まで祭りの興奮に・・・
いえいえ、とてもとても言葉や写真では伝えきれない迫力です
やはり行くしかないですね。
この祭りは曜日に関わらず毎年1月15日に行われるそうです。
雪が降っても延期は無い様ですのでカッパは必携
傘などさしていられない状況です。
降り懸かる火の粉に係員が「火が・・・」と払いのけてくれました。
この火
服は致し方ないとして肌に付いても不思議と後に残らないのだそうです。
松明は大麻の茎で作られ実(オガラ)を燃料にしていると言っておりましたが
何故、火傷しないのか
押し合いへし合いの中それを聞く余裕が無かったのが残念でした。
そうです、見る方も体力が必要です。
今から筋力体操、励んで下さい。