月下に杯を重ね

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政宗の指料は正宗か

2005-11-09 19:37:51 | コラム
 こんな話があります。
 江戸城中である大名が、
「陸奥守殿の御指料はさだめし正宗でござろうの」
と政宗に尋ねました。
 これを受けて政宗は、
「如何にも、正宗を帯刀いたしてござる」
と返しました。
 しかし、実際は正宗の脇差しではなかったのです。
 屋敷に戻った正宗は、さっそく倉の中から正宗の脇差しを探させましたがありません。
 そこでやむなく、正宗の太刀をすりあげて脇差しにしました。
 
 さて、この正宗。政宗が名付けて「振りわけ髪」。
 終戦までは伊達家に所蔵され、しかも「正宗」の二字銘が残る切った茎があったそうです。もっとも、その銘は偽物のようで、そんなわけで「振りわけ髪正宗」のほうもどうやら真作とは言えないようです。
  
 ところで、振りわけ髪の異名をとる脇差しは今一振りありまして、こちらは吉川家の所蔵となっているそうです。
 こちらは、太閤秀吉から吉川元春が拝領した物で、異名の名付け親は細川幽齋であったとか。
 この脇差しは、銘の茎こそ残っていませんが相州上位の作で正宗といわれても頷いてしまうような作であるとか。

 関連:正宗(相州正宗)

天国(あまくに)

2005-11-09 01:26:51 | 刀工
 大和国の人。
 平家重代の名物小烏丸(こがらすまる)の作者と伝えられている。
 しかし所伝によれば、天国は大宝年間の人であるため、日本刀史上では直刀時代の刀工にあたる。一方小烏丸は、その形状から直刀から湾刀への過渡期の作と考えるのが妥当であり、年代としては平安初期の作と見られる。ゆえに、現在ではその説は否定的である。