渡り蟹 と 親父

蟹のためだけに日帰りで愛知に帰省することになった。

事の発端は先月、法事で帰省した時のこと。
名古屋のいけす料理屋で飲みながら、なぜか蟹の話になった。

「そういえば、渡り蟹って食べてないよね。
  やっすい居酒屋の宴会コースでたまには食べるけど、美味しくないし。」
「そもそも、渡り蟹ってどんな形してたっけ？忘れちゃった。」
「松葉蟹とどう違うんだっけ？」

と、妹と低レベルな話をしていた時、親父はいきり立った。

「なにー？！そんなことではイカン！！
  うまい渡り蟹を食べさせてやるから１０月頭に名古屋に帰ってきなさい。」

そ…そんな急に言われても、こっちにも用事ってもんがあるんだから（汗）。
日帰りでしか行けないよ、というと「それでも良いから来なさい、と。

かくして、妹と私は、「食べようと思えば東京で食べられるのに…ブツブツ。」と言いながらも
日帰りで渡り蟹を食べるべく、愛知県南知多の遠方までれっつらゴー。（やる気ナシ）

場所は、小さい頃、よく海釣りに行く時に泊まっていた 旅館 琴海。

この旅館では、地の魚介類しか出さないんだそう。
１Fは、ちょっとしたいけす料理屋さんになっている。

通されたのは宿泊部屋。
なんてことない普通の旅館なのだけど、ここの魚は本当に美味しい。

まず出てきたのは、白身の刺身。

鯛、平目、コチ、イカ、そして平目のえんがわ。
南知多で捕れたものしか出さないので、コリッコリで美味しい～～。


伊勢海老は、まだ触覚が元気に動いている。

手でつかんでみると、意外と力があるんだなぁ！とびっくり。

改めて南知多の海を眺めながら、ここの海の魚を食べると、なんだか懐かしいような嬉しいような。
最初は「親父の突発的計画に付き合わされた～。」と思っていたけど…

来てよかった！！


そして、渡り蟹 登場！

なんてデカイ蟹なんだ！
携帯電話と比較しても、その大きさがわかるだろうか。

しかし…。
私はタダたんに「蟹を食べに来ただけ」と思っていたけど、
一番はしゃいでいたのは、親父。

プチ家族旅行の気分だったんだろうな、父親とこうして遠出するのは久しぶりだもんな。

PC音痴の親父がデジカメなんかを持っている。
そして撮りまくる！
刺身も蟹も、そして妹や私を、撮って撮って撮りまくる！！

…そんなに楽しみにしてたのね（笑）。

そして、蟹の食べ方を、隅から隅まで食べながら一生懸命説明する親父。
いやいや…それくらいは知ってますから、
っていうか小さい頃から一緒に蟹食べてたでしょ。

と思いつつも、「へー」「ほー」と説明を聞く私達。

だって、親父のそんなはしゃいでいる姿を見ると、なんだか可愛くて何も言えない。
おかげで、ホジホジしていながらも沈黙することはなかった。


さて。
渡り蟹で、やっぱり一番おいしい所は　蟹みそ　！！

大きい甲羅の裏にびっしりついた蟹みそは、濃厚でまったりとした味わい。
うまーーーい！！

あぁ…日本酒が飲みたい。
甲羅に注いだお酒をくいっといきたい！

でも、地酒なんかは当然ないし、親父はこの後運転しなければならないし、
私も夜、東京に戻ってから激しく大事な飲み会が控えていたため、ビールonlyでガマンガマン。


その他にも、出るわ出るわ、沢山の料理が。

エビフライって、見た目は立派だけどエビ自体が小さくて、ガッカリするパターンが多い。

しかし、ここのエビフライは衣が薄いのだ！！
衣をはがす事ができないくらい薄い！
濃厚なコーミソース（名古屋のソースといったらコレ！）をかけて食べると、
これまたうま～い。

昼間っから瓶ビールを７本嗜み、美味しい海鮮料理を頂き、ほろ酔い気分で満足満足。
おとーさん、ゴチになりました！！ホントにありがと！


さて。こうして満喫した南知多の昼下がり。
話題？のセントレア空港に寄って、観光客気分を味わっていたら、
しっかり東京行きの新幹線に乗り遅れたのであった（涙）。

ツメが甘いんだよなぁ。

 

 

（コメント）