今までずっと夜にしか犬を見てなかったから分からなかった。
もともとアタシが近くに来ると尻尾をブンブン振って暴れるので、いつものことだと思ってた。
「ごめんね。ごめんね。気付いてあげられなくてごめんね」
アタシは泣きながらワンコの頭や背中を撫でた。
普段しないはずのワンコがアタシの手のひらをペロペロと舐めた。
存在を確かめるように。
顔を近づけたけど、顔は舐めてもらえなかった。
あまり寒くない夜だったので、できる限りワンコを撫でてやった。
アタシは実家に戻り、母に病院に連れて行くように言った。
『いやだよ』母は冷たく言った。
「なんでだよ!」アタシは怒鳴った。
『だってパパが連れて行くなって言うんだもん』
耳を疑った。
父が犬を連れて行くななんて言うとは。
父を見ると、バツが悪そうに目を伏せている。
いつも父はワンコをバカ犬、バカ犬と呼び、食欲だけの卑しい犬と言っていた。
餌が欲しくて鳴いていると、玄関を開け飛び出して行き、犬小屋を蹴りつけるような人だった。
そんなヒマあるなら餌をあげればいいのに。
いつまでも若くない犬を、力で支配しようとしてた父。
親として、人として尊敬できない人だった。
「あのさぁ・・・・」
歯切れ悪くアタシは言う。
「金はアタシが出すから、アンタ病院に連れて行ってやってよ」
母は金のことしか考えない人なので、金さえ出せばやってくれると思った。
『いいよ、』と母は言った。確かに。
帰り際もう一度ワンコを撫で、後ろ髪を引かれる思いでアパートに戻った。
戻る時、ずっと泣きっぱなしだった。
アパートに戻ってから母に、明日の朝になったら犬の目が白く濁ってるか調べておいてとメールをした。
携帯のライトじゃ白く反射して見えてるだけだったかもしれないから。
結局、母から返信はなかった。
もともとアタシが近くに来ると尻尾をブンブン振って暴れるので、いつものことだと思ってた。
「ごめんね。ごめんね。気付いてあげられなくてごめんね」
アタシは泣きながらワンコの頭や背中を撫でた。
普段しないはずのワンコがアタシの手のひらをペロペロと舐めた。
存在を確かめるように。
顔を近づけたけど、顔は舐めてもらえなかった。
あまり寒くない夜だったので、できる限りワンコを撫でてやった。
アタシは実家に戻り、母に病院に連れて行くように言った。
『いやだよ』母は冷たく言った。
「なんでだよ!」アタシは怒鳴った。
『だってパパが連れて行くなって言うんだもん』
耳を疑った。
父が犬を連れて行くななんて言うとは。
父を見ると、バツが悪そうに目を伏せている。
いつも父はワンコをバカ犬、バカ犬と呼び、食欲だけの卑しい犬と言っていた。
餌が欲しくて鳴いていると、玄関を開け飛び出して行き、犬小屋を蹴りつけるような人だった。
そんなヒマあるなら餌をあげればいいのに。
いつまでも若くない犬を、力で支配しようとしてた父。
親として、人として尊敬できない人だった。
「あのさぁ・・・・」
歯切れ悪くアタシは言う。
「金はアタシが出すから、アンタ病院に連れて行ってやってよ」
母は金のことしか考えない人なので、金さえ出せばやってくれると思った。
『いいよ、』と母は言った。確かに。
帰り際もう一度ワンコを撫で、後ろ髪を引かれる思いでアパートに戻った。
戻る時、ずっと泣きっぱなしだった。
アパートに戻ってから母に、明日の朝になったら犬の目が白く濁ってるか調べておいてとメールをした。
携帯のライトじゃ白く反射して見えてるだけだったかもしれないから。
結局、母から返信はなかった。
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