2024年2月18日(日)
#318 ジョン・リー・フッカー「Boogie Chillen’」(Modern)
#318 ジョン・リー・フッカー「Boogie Chillen’」(Modern)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/64/769d1330daac1d3035f1db56afd7b8dd.jpg?1708211317)
ジョン・リー・フッカーのシングル・ヒット曲。彼自身の作品。バーナード・ベスマンによるプロデュース。
ジョン・リーは1917年、ミシシッピ州クラークスデール生まれのブルースシンガー。
48年、31歳の時に初めて、白人レコードディーラーのベスマンのもとで録音したのが、この曲「ブギ・チレン」なのだ。
やや遅咲きながら、その後は精力的にレコーディングを続け、2001年に83歳で亡くなるまで膨大なレコードを残した。グラミーの栄誉にも輝いている。
そんな彼の、原点と言えるのがこの、エレクトリック・ギター、フットストンプと歌のみのシンプルなソロ演奏曲である。
ワンコードで、歌うというより語りに近いそのボーカルスタイルは、土臭いデルタ・ブルースそのもの。
そして何よりジョン・リーの弾くギターは、ワンアンドオンリーのスタイルで、いわゆる追従者(エピゴーネン)をほとんど持たないユニークなものだ。
テクニックの巧拙よりも、オリジナリティで勝負するタイプ。その独特なリズム感覚は、一聴して「ああ、ジョン・リー」だなと気づかせるものがある。
実際、コピーしてみようとしても、微妙なニュアンスまではなかなか再現しにくいギターだ。
一方、その決して美しいとは言えないドラ声も、一度聴けば忘れられることがない。
それゆえに、ジョン・リーは常に「他のシンガー、ギタリストにはとって代わられない」ポジションを終生保つことが出来たのであろう。
この曲がR&Bチャートで一位を取ったことにより、ジョン・リーは一躍、ブルース界のトップに躍り出ることになった。たったひとりで録音した、ごくごく地味なナンバーが大ヒットするなんてことがあるから、ホント、流行音楽って面白い。
思い切り泥臭いくせに、それまで黒人専門の音楽であった「ブルース」をすっと越えた、普遍的なビート・ミュージック像をこの一曲は提示したのだろう。
何度聴いても飽きることのない、スルメのような味わい。ジョン・リー・フッカーの独演会を堪能してくれ。