町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

江ノ電新世代の幕開けを告げた20形電車

2018年11月07日 | 小田急グループの鉄道・路線バス

1990年代は旅客数が減少していた江ノ電ですが、1997年の路線開通95周年に観光客誘致の一環で10形電車を導入し以降は旅客数が増加傾向を見せ始めました。一方で、この当時はカルダン駆動化されてはいたものの、車体構造の関係で冷房の搭載が困難な初代500形の置き換えが検討されるようになり、同形式の走行機器を流用する形で登場したのがこの20形です。

10形のような装飾は省かれ、外観は簡素化されているものの、正面形状はどことなく欧州トラムのような雰囲気が漂い、在来車の緑系カラーを踏襲しつつ色調を改め細い金帯を巻いた事から高級感を感じさせるデザインになりました。この基本配色は2代目新500形でも引き継がれ、類似のパターンで他形式にも及んだことから事実上新標準色になっています。

20形の付番は藤沢寄りが2X、鎌倉寄りが6Xとされ、編成を紹介する時は21-61編成のように表記される事もあります。21編成は2002年に、22編成は2003年に運用を開始し前者は500形501編成を、後者は502編成を置き換え江ノ電の保有車両は全編成が冷房車になりました。

20形車内(61号車で撮影)。車内はロングシートに両開きドアも相俟って、より通勤電車の色合いが濃くなりました。座席は本来赤系ですが、21編成は全線開業100周年のラッピング車に起用された為、茶色系の座席に交換され、現在もそのままになっています。22編成もこのモケットに交換してくれれば個人的には嬉しいですが。

ドア上には営団地下鉄のごとき路線図式車内案内表示装置を設置。今日では珍しい設備になりましたが、新駅設置などの動きが無い小規模路線ではこれで十分用が足りるんでしょうね。ちなみに写真では伝わりませんが、IC式自動放送装置を設置したのは本形式が初めてで、その後テープ式自動放送の2000形・10形も同型のものに交換され、現在は全編成に波及しています。
名車と謳われた初代500形の遺志を継ぎ走り出した20形ですが、今年で運用から16年が経過しました。登場の経緯から走行機器こそ旧来の抵抗制御ですが、21世紀の江ノ電車両の基本仕様を確立したのは本形式と言え、この先も姿を変えずに細く長く活躍して欲しいですね。
 
 

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