群馬県に広がる高崎支社管内の上越線(高崎〜水上)・信越本線(高崎〜横川)・吾妻線・両毛線では、長らく国鉄時代から115系電車を主力として運用して来ました。しかし上野東京ライン開通を控えて2011年度より東海道本線・東北本線(宇都宮線)・高崎線の各線で運用されていた211系をE233系3000番台で置き換えが決定し、このうち東北・高崎線で運用されていた寒冷地向けの1000・3000番台は115系置き換え用として長野支社・高崎支社管内の普通列車向けに転用改造される事になり、高崎支社では2016年8月より先述の各線で運用を開始しています。
冬季の霜取りの為、パンタグラフを2基上昇させている4両のA編成(A31〜34・A36・37編成が該当)。寒冷地向けの1000・3000番台は5両編成を基本とし、将来の地方線区転用に伴う編成短縮を見越してクモハ211が設定されました。A編成は5両編成からサハ211を1両減車した格好です。転用に際しては先頭車のスカートがスノースロウ一体型の強化型に交換され、また他編成と連結することも無くなる為に貫通幌も撤去されました。
3両2本を連結したC編成。2004年10月のダイヤ改正より東北・高崎線へのグリーン車導入並びに東海道本線の全列車2階建てグリーン車化を進めることになり、E231系1000番台で置き換えられていた113系のグリーン車(サロ124)が東海道本線用の211系に編入され、代わりに捻出された平屋のサロ210+2階建てのサロ212が3000番台車に連結されることになり、組み込みに当たっては5両編成2本を連結した状態で上野寄りのサハ211を抜き、先頭車同士がグリーン車を挟み幌で繋げられる特徴的な組み合わせで運用されていました。この10両から付随車のサハ・サロを抜いて組成された形態で、見た目は分割可能に見えますが6両固定編成として扱われており、中間に入る先頭車の運転台には構内でのみ使用可能な旨の注意書きを掲出している他、スカート交換も見送られています。
長らく正面の表示は2004年まで存在した湘南新宿ラインの運用時の他、非常に稀に上野発着列車で「東北線」「高崎線」を出すことはあったものの基本的には種別(普通・快速)のみでしたが、2021年12月より常時路線名を表示するようになりました。行先が多岐に渡る為、誤乗防止の一環と思われます。
東北・高崎線の通勤需要に対応するためロングシート仕様とされた3000番台車内設備。登場から長らく座席は蘇芳色のモケットでしたが、2008年頃から青緑系の新品に更新され、袖仕切り部には風防を設置し半自動ドアボタンも交換されるようになりました。
2020年度の高崎支社の労組資料ではE233系の転用改造を2024年度以降より実施し導入する旨の記載があり、置き換えが決定的になりました。高崎支社と言えばSLや旧型客車による臨時列車が度々運転され多くの注目が集まりますが、今や数少なくなった伝統的な湘南色の帯で活躍する211系も記録しておきたいですね。