goo blog サービス終了のお知らせ 

マツタコ

ヤプログが終了したので、とりあえず引っ越します。

蛙は一匹なのか

2012-11-23 21:15:38 | 本と雑誌と言葉
毎日、いろいろな学びがあるんですよ。今日はK庵主催のボランティアガイド研修会で、外国人に対するときのガイドの仕方のお話でした。
基本は日本人相手のときと同じなわけです。同じ人間ですからね。
で、面白かったのが、K庵は俳句に親しんでる人たちが来訪されることが多いのですが、
講師の先生がされた英語で俳句をつくる話。

今、米国の小学校の英語の授業でも俳句をつくらせたりするのだそうです。
流派によって違うらしいのですが、1行とか3行まで、とか単語の数が決まってたりとか、
切れ字的なものを入れたり、シーズンを表す言葉が必要だったり。。。

で、外国でも芭蕉、蕪村、一茶、子規とかは有名らしく、
その中でも超有名な「古池や蛙飛び込む水の音」
これを、どう英訳するかって話で。
そもそもまず古池のイメージが井戸なのか池なのか、
英語だと複数形があるから、一匹の蛙なのか、百匹の蛙なのか、
そうなると、水の音も、1回しかしなかったのか、
ばちゃばちゃと何回も音がしたのか、
飛び込むはing なのか、飛び込んだ後なのか、
決めないと、英訳できないことが多々あるらしく、
どうとでも取れる日本語って、味があるなあ、と再認識した次第です。
どうも「古池や」って言葉は、芭蕉が後から入れ替えたらしいですからね。

まあ、そういうことをごちゃごちゃと話し合える、
つくるまでの過程が楽しいんですよね。


響け言霊

2012-02-19 22:32:34 | 本と雑誌と言葉
言葉の合唱コンクールをお手伝いしてきました。主役の子どもたちは、もう一人一人が一生懸命で、それだけで涙が出ます。ほんと、聞かせてあげたい、子どもたちのことばのちからを。
とくに金賞をとったポエム・クローバーの自由課題は、オリジナルの詩で、3.11のニュースから彼、彼女が感じたこと、考えたことを、言葉にしていて。津波の表現を音で表しているのもすごいし、今、自分たちにできること、として、本当の自分たちの言葉で、お父さんやお母さんや周りの人たちへの感謝を語っていて、本当に言葉にちからがあるんです。盲学校の子たちなんですよね。だから余計に音がリアルなのかな。






朗読する力

2012-01-27 00:55:56 | 本と雑誌と言葉
Mさんが、またまた情報をくれました。お正月に放送された、松たか子さんが「村上春樹を読む」朗読についての興味深いコラムです。
http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/EN/calture/538011.html

私は「かえるくん、東京を救う」「七番目の男」「蜂蜜パイ」の3作品のうち、
前の2つはちゃんと聴いたけど、「蜂蜜パイ」はボケボケ聞いちゃったのですよね。
なんせ、日中はラジオの朗読なんて落ち着いて聞けないから、夜に放送された分を寝床で聴いてたのです。
イヤホンしながら、そんなんなんで、まあ、わりかし、眠りに落ちてたかな。
癒やしボイスなんだもの。でも、前者二つは聴いたし、意外とおもしろかった。お正月っぽくはなかったけど。

で、Mさんがおっしゃってるように、このコラムの執筆者:共同通信編集委員・小山鉄郎氏、
「松たか子さんの朗読の素晴らしさ」を語ってくださっています。

でも、その前に村上春樹さんは朗読で物語を聴くことをこう語ってらっしゃるそうです。
「活字ではなく朗読で聴いているとなぜか、話の流れをあるがまま、鷹揚に受け入れることができる。たぶんその癖のある文体が、活字を目で追うときほど直截な力を持って迫ってこないからだろう」

よく、松さんのことを「棒読み」って評する人がいるけど、
一聴、フラットでありながら、その実、登場人物の存在の確かさが半端じゃない、そこを捉えそこねてるよなあ、っていつも思うのです。
セリフってわかりやすい感情を込めてしゃべる必要なんてないんですよね。
それをした時点で、ものすごく浅薄で一面的なものになってしまう。
人間はもっと複雑だし、自分で自分がわかってなかったりする。
受け取り手も多様だし、同じ人物の同じ行動を見ていても、違う解釈をしている。

小山さんは、村上さんの思考法を「村上春樹のブーメラン的思考」と言われてるのですが、
「つまり、問題を相手に対する問題として捉えるだけでなく、その問題を自分の問題として捉え直して、常に二重に考えを進めていく、という思考法です。相手に向かって投げた問題がぐるっと回って、最後に自分の問題として問われる。」
この文章を読んで、ブレヒトの異化効果の感情移入させすぎない感じに似てるなと思いました。
このコラム本文は、そういったことを言いたいわけではないんですけどね。

この記事には、松さん自身がこの朗読について語った言葉が記されてました。
「距離感があまり遠くになりすぎないように、上から目線になるわけでもないし、へりくだるわけでもなく、すごく力の抜けた視線で読めたらと思いました。うねりというのか、お話がたんたんとして進んでいるようで、いきなり展開したりするようなところが、今回の3作には、皆あるので、話のうねりみたいなものは意識しながら、読めたらいいなと思っています」

彼女の凄いところって、俯瞰してる自分がいるところなんじゃないのかな。と、そんなことも思いました。

松さんの言葉は、もうひとつ載ってたので、気になる方は、小山さんの記事をちゃんと読んでね。